ウタイターニー県

ウタイターニー県（จังหวัดอุทัยธานี）

タイ北部中央に位置するウタイターニー県は、肥沃なチャオプラヤー川とその支流サケークラーン川を中心に広がる県です。北はナコーンサワン県、南東はチャイナート県、南はスパンブリー県、南西はカーンチャナブリー県、そして西は広大なターク県と境を接しています。

県土の中央を流れるチャオプラヤー川は、この地の自然景観と農業に大きな影響を与えています。また、ターク県との県境には、広大なジャングルが広がるフワイ・カーケン野生生物保護区があります。この保護区の一部は、隣接するトゥンヤイ野生生物保護区と共に、ユネスコの世界遺産（自然遺産）「トゥンヤイ-フワイ・カーケン野生生物保護区」として登録されており、貴重な生態系が保護されています。

歴史的変遷

ウタイターニーの歴史は古く、かつてはモン族やラワ族といった非タイ系の民族が暮らしていた土地でした。地元の歴史書（タムナーン）によれば、スコータイ王朝時代にターオ・マハープロムと呼ばれる有力者によってタイ族の入植が始まったと伝えられています。この時、この地は「タイ族のゆりかご」を意味するムアン・ウータイと名付けられました。しかし、河川の水流変化により入植が困難となり、一時期は放棄されました。

時代を経て、アユタヤ王朝時代にはカレン族が入植し、彼らのリーダーであったパタブートという人物の指導のもと、貯水池が建設されました。これにより、ウタイターニーは豊かな農業地帯として再び発展を遂げます。この時期には、名称がムアン・ウータイからムアン・ウタイへと変化していきました。

アユタヤ王朝後期になると、ビルマ（現ミャンマー）軍のアユタヤへの侵攻が活発化し、侵攻経路の一つであったムアン・ウタイは軍事的な要衝としての価値を高めます。この頃、アユタヤ宮廷はプラ・ポンソンクラームとプラ・インタラデートという二人の武人にこの地域の警備を任せました（ただし、実際の赴任地は現在のターク県ウムパーン郡であったとされています）。

エーカートッサロット王の時代には、この地は現在の「ウタイターニー」と改称され、綴りもサンスクリット語の影響を受けた形に変更されました。現在の名称であるウタイターニーは、「夜明けの町」や「始まりの町」といった意味を持つとされています。

ターイサ王の治世には、モン族出身でアユタヤ王朝の官吏であったトーンダムがこの地に移り住みました。彼の息子であるトーンディーは、後に初代チャクリー王朝の王となるラーマ1世の父にあたる人物です。チャクリー王朝が始まった初期には、ラーマ1世の父ゆかりの地であったことから、ウタイターニーはある程度の開発が進められました。

近代に入ると、1892年にウタイターニーはモントン・ナコーンサワンに編入されますが、その後1898年には単独の県として独立を果たしました。

県の象徴

ウタイターニー県の県章には、サケークラーン山の頂上にあるワット・カオサケークランの建造物がデザインされています。この建造物の中には、ラーマ1世の父であるトーンディーの像が祀られています。

県旗は、中央に県章が配置されています。上部の黄色は王権やチャクリー王朝の色を表し、下部の緑色はタイの太陰暦におけるラーマ1世の誕生色とされています。旗の下部にはタイ語で「ウタイターニー県」の文字が記されています。

県の自然を象徴するものとして、県木にはインドセンダン（ต้นสะเดา, 学名: Azadirachta indica）が、県花にはキバナワタモドキ（ดอกสุพรรณิการ์, 学名: Cochlospermum gossypium）が定められています。

行政区分

ウタイターニー県は、以下の8つの郡（アムプー）によって構成されています。

ムアンウタイターニー郡
タークレープ郡
ノンクーンシー郡
カオバンコップ郡
バンライチャルーンパッタナー郡
ラートヤーイ郡
トゥンナーチャーン郡
フワイコット郡

これらの郡の下には、70の町（タムボン）と589の村（ムーバーン）が設置されています。

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