ウッドマン

ウッドマン：平凡な競走馬から伝説的種牡馬へ

ウッドマン (Woodman, 1983年 - 2007年) は、アメリカ合衆国で生まれ、アイルランドで調教された競走馬であり、種牡馬として名を馳せたサラブレッドです。
父は名種牡馬ミスタープロスペクター、母はプレイメイト。プレイメイトはウッドマンを出産後、日本へ輸入されました。

ウッドマン自身は現役時代、一流馬とは呼べない成績に終わりました。5戦3勝という戦績は、ミスタープロスペクター産駒にありがちな、早熟な短距離馬という印象を与えます。主な勝ち鞍は2歳時に挙げたもので、その後は目立った活躍はできず、4歳春に引退しています。

しかし、ウッドマンの真価は引退後、種牡馬として開花することになります。クールモア社が所有するアメリカのアッシュフォードスタッドで繋養されたウッドマンは、初年度から驚異的な活躍を見せます。45頭の登録馬の中から、1991年のアメリカ二冠馬ハンセルとG1競走5勝のヘクタープロテクターなど、4頭の重賞勝ち馬を輩出したのです。

その後も、ボスラシャム、ティンバーカントリーといった活躍馬を次々と送り出し、重賞勝ち馬の数は100を超えました。2003年には、インターナショナル・クラシフィケーションで133という高評価を得たホークウイングが、その代表的な産駒として挙げられます。

ウッドマン産駒の特徴として、2歳戦から活躍する早熟タイプが多いことが挙げられます。1990年と1998年には、フランス2歳リーディングサイアーに輝きました。ハンセルは2400メートルのベルモントステークスを制したものの、多くの産駒は短距離に適性を持っていました。

2007年7月、老衰のため安楽死の処置がとられましたが、その年も種付けを行っていたという精力的な種牡馬でした。

日本においては、1995年のJRA賞最優秀短距離馬ヒシアケボノが代表的な産駒として知られています。しかし、その他はそれほど目立った活躍はしていません。ヒシアケボノ自身も種牡馬としては成功せず、同じく日本に輸入されたハンセルも成績不振に終わりアメリカへ帰国しています。

日本にはハンセル以外にも、ヘクタープロテクター、ティンバーカントリー、ウェイオブライト、シーロなど複数のウッドマン産駒が輸入されました。中でもティンバーカントリーはアドマイヤドンやムガムチュウといった活躍馬を輩出しましたが、全体的に見ると、ウッドマンの血統は日本で大きな成功を収めたとは言えないでしょう。

ウッドマンはシャトル種牡馬として、ヨーロッパ、アメリカだけでなく、ブラジルやオーストラリアでも種付けを行いました。南半球での産駒はニュージーランドを含め420勝を超え、特に母の父としては顕著な成功を収めました。オーストラリアでは、2001年には繁殖牝馬の数が減少しましたが、それでもその影響力は認められています。

主な産駒

ウッドマンは数多くの活躍馬を輩出しました。その中でも特に有名な産駒を、日本国外調教馬と日本調教馬に分けて紹介します。G1競走勝ち馬、もしくは日本での重賞勝ち馬を記載します。

日本国外調教馬 (G1競走勝ち馬のみ)

ハンセル (Hansel): プリークネスステークス、ベルモントステークス
ヘクタープロテクター (Hector Protector): プール・デッセ・デ・プーラン、ジャック・ル・マロワ賞
ティンバーカントリー (Timber Country): シャンペンステークス、ブリーダーズカップ・ジュヴェナイル、プリークネスステークス
ボスラシャム (Bosra Sham): フィリーズマイル、英1000ギニー、チャンピオンステークス
ウェイオブライト (Way of Light): 仏グランクリテリウム
シーロ (Ciro): 仏グランクリテリウム、リュパン賞、セクレタリアトステークス
ホークウイング (Hawk Wing): 愛ナショナルステークス、エクリプスステークス、ロッキンジステークス

日本調教馬 (重賞勝ち馬のみ)

ヒシアケボノ: スプリンターズステークス、スワンステークス
アストンマーチャン: スプリンターズステークス、フィリーズレビュー
カノヤザクラ: アイビスサマーダッシュ (連覇)、セントウルステークス
* エイシンデピュティ: 宝塚記念、金鯱賞

さらに、ウッドマンはブルードメアサイアー（母の父）としても多くの成功を収め、数々のG1馬を輩出しています。

ウッドマンという名前は、一般的な単語であるため、人名や企業名などにも使われています。笠松競馬に在籍したウットマンという馬もいますが、これはウッドマンとは全く血統が異なる別個体です。

ウッドマンの母プレイメイトは、1994年に日本へ輸入されましたが、目立った活躍馬は産んでいません。また、ウッドマンの全弟であるガダボートも日本で種牡馬となりましたが、兄ほどの成功は収めませんでした。

ウッドマンの血統背景には、アサティスやリズムといった活躍馬が多く含まれます。彼の甥にあたるニューイングランドも日本で種牡馬となっています。

このように、ウッドマンは現役時代の平凡な成績とは裏腹に、種牡馬として世界的な成功を収め、競馬史に大きな足跡を残したと言えるでしょう。彼の血統は、今後も世界中の競馬界に影響を与え続けることでしょう。

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