エドマンド・カービー・スミス

エドマンド・カービー・スミスの生涯

エドマンド・カービー・スミスは、1824年 5月16日にフロリダ州セントオーガスティンで生まれました。アメリカ陸軍の職業軍人であり、教育者としても活躍した人物です。特に、南北戦争ではアメリカ連合国（南軍）の大将として、ミシシッピ圏方面軍を指揮したことで知られています。

生い立ちとアメリカ陸軍でのキャリア

スミスは、ジョセフ・リー・スミスとフランシス・カービー・スミスの息子として生まれました。両親はコネチカット州出身で、父親がフロリダ州の連邦判事に任命される直前にフロリダに移住しました。1836年、スミスはバージニア州の全寮制軍事学校に入学し、1841年に陸軍士官学校に進学しました。1845年に士官学校を卒業後、第5アメリカ歩兵連隊の名誉少尉に任官しました。

米墨戦争では、ザカリー・テイラー将軍の下でパロ・アルトの戦いやレサカ・デ・ラ・パルマの戦いに参加しました。その後、ウィンフィールド・スコット将軍の下で、セルロ・ゴードの戦いで中尉、コントレラスの戦いとチュルブスコの戦いで大尉に名誉昇進しました。スミスの兄であるエフレイム・カービー・スミスも正規軍の大尉で、共に第5アメリカ歩兵連隊に所属し、米墨戦争で戦いましたが、モリノ・デル・レイの戦いで負傷し、後に亡くなりました。

米墨戦争終結後、スミスは第2アメリカ騎兵隊の大尉としてテキサス州で任務に就き、ウェストポイントの士官学校で数学を教えることもありました。1859年には、テキサス州でインディアンとの戦闘で負傷しました。テキサス州がアメリカ合衆国から脱退すると、当時少佐であったスミスは、テキサス州兵への降伏を拒否し、南軍への参加を表明しました。

南北戦争での活躍

バージニア戦線

南北戦争勃発後、スミスはシェナンドー渓谷でジョセフ・ジョンストン将軍の補佐官を務め、1861年 6月17日に准将に昇進しました。シェナンドー軍の旅団指揮官として、第一次ブルランの戦いに参戦し、首と肩に重傷を負いました。療養後、北バージニアで少将に昇進し、南軍ポトマック軍の師団指揮官として復帰しました。

ケンタッキー戦線

1862年2月、東テネシー軍の指揮官として西部に派遣されました。ケンタッキー州侵攻では、ブラクストン・ブラッグ将軍と協調し、8月30日のリッチモンドの戦いで勝利を収めました。この功績により、10月には中将に昇進し、テネシー軍の軍団指揮官となりました。リッチモンドの戦いの勝利に対し、アメリカ連合国議会から感謝状が贈られました。

ミシシッピ圏方面軍

1863年1月、スミスはミシシッピ圏方面軍の指揮官に任命され、ミシシッピ川以西の地域を担当することになりました。しかし、北軍のユリシーズ・グラント少将率いる軍がミシシッピ川を制圧していたため、スミスの部隊は十分な兵力を集めることができず、北軍に対抗することが困難でした。南軍の重要拠点であったビックスバーグとポートハドソンが陥落し、ミシシッピ川が封鎖されたことで、南軍の首都リッチモンドとの連絡が途絶え、スミスの管轄地域は事実上独立した状態になりました。この地域は「カービー・スミス王国」と呼ばれるようになりました。

1864年春、スミス直属のリチャード・テイラー中将がレッド川方面作戦で北軍に勝利しましたが、スミスはテイラー軍の一部をアーカンソー州に派遣したため、テイラーとの間に不和が生じました。スミスはミシシッピ川東への援軍派遣を試みましたが、北軍海軍の支配により実現しませんでした。代わりに、スターリング・プライス少将に騎兵隊を与え、ミズーリ州への侵攻を試みましたが、これも失敗に終わりました。その後、ミシシッピ川以西での戦闘は小規模な襲撃やゲリラ戦が中心となり、1864年 2月19日に大将に昇進したスミスは、1865年 5月26日にミシシッピ圏方面軍と共に降伏し、戦争終結を迎えました。

戦後の経歴と晩年

戦後、スミスは電報事業と教育に携わりました。1866年から1868年まで、大西洋・太平洋電報会社の社長を務めましたが、事業は失敗に終わりました。その後、ケンタッキー州で予備校を設立し、1870年にはナッシュビル大学の学長に就任しました。1875年には辞任し、その後はテネシー州スワニーの南部大学で数学教授として教鞭を執り、1893年に死去しました。スミスは南北戦争で大将になった人物の中で最後に生存した人物でした。

スミスの遺産

エドマンド・カービー・スミスの功績は、今日でも多くの場所で記念されています。ルイジアナ州立大学の男子寄宿舎は彼にちなんで命名され、フロリダ州はアメリカ合衆国議会議事堂に彼の銅像を建立しました。また、フロリダ州のジャクソンビルにはカービー・スミス中等学校、テネシー州スワニーにはカービー・スミス記念碑など、多くの記念物が彼の名を冠しています。彼の業績は、アメリカの歴史に深く刻まれています。

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