オリオン座パイ5星

オリオン座π5星の概要

オリオン座π5星（π5 Orionis）は、オリオン座内の連星系で、見かけの等級は3.7です。この明るさは肉眼でも確認できるレベルであり、地球からの距離は約860光年とされます。オリオン座の中で重要な位置を占めるこの星は、観測においてさまざまな特徴が明らかにされています。

特徴と分光連星の発見

オリオン座π5星は、スペクトル線を用いた視線速度の変化から、単独の星ではなく、二つの星からなる分光連星であることがわかりました。単独の星と見なした場合のスペクトル型はB2 IIIに該当します。さらに、明るさの変動が観測されており、この星は楕円体状変光星（ELL）に分類されています。

視線速度の変化と連星系の軌道

オリオン座π5星の視線速度の変化は、20世紀初頭にフロストとアダムズによって発見され、その後も観測が続けられました。約10年後には、軌道に関する詳細な要素が明らかになりました。この星系の軌道周期は約3.7日で、離心率は非常に小さく、軌道長半径は太陽の26倍程度と見積もられています。

主星は質量と半径がともに太陽の約12倍の平均的なB型巨星とされており、その有効温度は約21,000Kです。これに対して、伴星は質量が太陽の約3倍、半径が太陽の5倍で、有効温度は約16,500Kであるとされます。このシステムの年齢は約1,800万年と推定されています。

変光星としての特性

オリオン座π5星の変光性については、ステビンスが食連星であるおうし座λ星を観測中に変光を発見したことがきっかけでした。彼はオリオン座π5星の光度曲線において食連星の特徴を見出さず、近接した連星間の重力によって光球面が伸びることが原因で見かけの大きさが変化しているのではないかと考えました。これにより、オリオン座π5星は食のない楕円体状変光星として初めて確認された例となりました。

その後の研究により、オリオン座π5星が確かに楕円体状変光星であるとの結論に達し、変光星としてのカタログにも記載されています。この星の変光幅は、極大と極小の間でおおよそ0.05等級の変動があります。

名前の由来と文化的背景

アメリカのアマチュア博物学者アレンによると、オリオン座内のいくつかの星々—オリオン座ο1星、ο2星、π1星、π2星、π3星、π4星、π5星、π6星、さらにはオリオン座g星—は、ペルシア語で「冠」を意味する「Al Tāj」や、アラビア語で「衣服の袖」を意味する「Al Kumm」と呼ばれていました。また、中国ではオリオン座のπ4星が「參旗」として知られ、オリオン座の otros 星々と共に特定の星官を形成することが認識されています。

このように、オリオン座π5星は、科学的な観測から文化的な意味合いまで、さまざまな視点から多くの興味を引く存在といえます。

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