カラカルパクスタン共和国

カラカルパクスタン共和国は、中央アジアのウズベキスタン西部に位置する自治共和国です。ウズベキスタンの主権下にあり、独自の憲法、国旗、国章、国歌を制定しています。公用語はカラカルパク語とウズベク語です。

名称の由来

「カラカルパク」とは「黒い帽子」を意味し、「カラカルパクスタン」は「黒い帽子を被る民族の国」という意味を持ちます。この地域は、かつてホラズム帝国の一部であり、民族のアイデンティティは口承叙事詩に基づいていたとされています。ソ連時代に、言語学の研究により、この地の言語がウズベク語とは異なりカザフ語と近い別の言語であることが判明し、「カラカルパク族」という民族が創出されました。

地理

カラカルパクスタン共和国は、西部に位置し、ウズベキスタンのホラズム州、ブハラ州、ナヴォイ州と隣接しています。また、カザフスタン、トルクメニスタンと国境を接しており、北部にはアラル海が広がっています。

歴史

1924年の民族境界画定により、旧ヒヴァ・ハン国の一部とロシア帝国領の一部が統合され、1925年にカラカルパク自治州が設置されました。その後、1930年にキルギス自治ソビエト社会主義共和国の管轄下となり、1932年に自治共和国に昇格しました。1936年にはウズベク・ソビエト社会主義共和国の管轄下に移管され、1992年にウズベキスタンの独立に伴い、現在のカラカルパクスタン共和国となりました。

国家機関

カラカルパクスタン共和国は、独自の憲法を持ち、国旗、国章、国歌を制定しています。国家の代表者は最高会議議長であり、行政府は閣僚会議議長が統括します。ウズベキスタンとの関係は、両国の条約と協定により調整されています。憲法には、カラカルパクスタン国民が国民投票によりウズベキスタンから離脱する権利が規定されています。ただし、ウズベキスタン憲法の枠を超えることはできず、外交権などは有していません。

2022年7月には、この離脱の権利を否定する憲法改正案に対する大規模な抗議デモが発生し、政府が鎮圧を図る出来事がありました。

行政区分

カラカルパクスタン共和国は、12の地区、16の町、120の村で構成されています。

主な地区として、アムダリオ地区、ベルニイ地区、チンボイ地区、エリクカラ地区、ケゲイリ地区、モイナク地区、ヌクス地区、カンリコリ地区、コンギラト地区、カラウーザク地区、シュマナイ地区、タフタクピル地区、トゥルトクリ地区、ホジェリ地区があります。

主要都市

首都はヌクスで、その他にホジェリ、モイナクなどの主要都市があります。

経済

経済は、綿花、米、メロンなどの農業が中心です。かつて盛んだった漁業は、アラル海の縮小により衰退しました。クングラード西方では、中国資本による苛性ソーダ工場が稼働しています。南部では、かつて原油が産出されていました。

住民

2005年の推計では人口は約120万人でしたが、カザフ人、ロシア人、朝鮮族などが国外へ移住しており、人口減少傾向にあります。

民族

民族構成は、ウズベク人が最大勢力で36%、次いでカラカルパク人が32%、カザフ人が25%となっています。その他、トルクメン人、ロシア人、タタール人、朝鮮民族なども居住しています。

言語

公用語はカラカルパク語とウズベク語であり、ロシア語も共通語や学術語として使われています。

宗教

住民の多くはスンナ派イスラム教を信仰しており、ロシア人や朝鮮族は正教、一部にプロテスタントを信仰する人々もいます。

文化

首都ヌクスには、イゴール・サヴィツキー記念カラカルパクスタン共和国国立美術館と共和国国立博物館があります。

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