キラウエア火山

キラウエア火山：ハワイの活火山

キラウエア火山（Kīlauea）は、ハワイ諸島のハワイ島に位置する活火山であり、マウナロア山と並びハワイ火山国立公園を構成しています。ハワイ語で「噴き出す」または「多く撒き散らす」を意味し、その名の通り活発な火山活動を続けています。

火山の形成と特徴

キラウエア火山は約60万年前から形成が始まり、約10万年前に海面上に現れたと推定されています。ハワイ・ホットスポットによって生成された火山の中では、ロイヒ火山に次いで新しい火山であり、ハワイ‐天皇海山列の中でも特に活発な地域に位置します。

歴史的には、マウナロア山の活動期と重なっていたため、かつてはマウナロア山の付属火山と考えられていました。しかし、実際には独立した火山であり、頂上付近には大きなカルデラ、東西に伸びる2つのリフトゾーン、そして活断層が存在します。

標高は1247mとマウナロア山（4169m）に比べて低いですが、ハワイ諸島の中では最も活発な火山活動を誇ります。1983年以降、ほぼ継続的に噴火を続けており、これはキラウエアの歴史の中で最も長い噴火活動となっています。

火山活動の様子

キラウエア火山の噴火は、玄武岩質のマグマによるハワイ式噴火が特徴です。溶岩噴泉や溶岩流が比較的穏やかに発生し、爆発的な噴火は稀です。そのため、観光客にも比較的安全な火山として知られています。しかし、溶岩流は時に集落を飲み込み壊滅的な被害をもたらすこともあり、1990年にはカラパナ、2018年にはカポホの集落が溶岩流によって消滅しています。

主な地形

キラウエア火山には、以下のような特徴的な地形があります。

キラウエア・カルデラ: 火山体の中央に位置する直径5km×3kmのカルデラ。
ハレマウマウ火口: キラウエアカルデラ内にある直径1kmの円形の火口。過去には溶岩湖が存在し、水蒸気爆発や陥没を繰り返しています。2018年の噴火で大きく陥没しました。
イーストリフトゾーン: カルデラから東に伸びる噴火帯。山体の側方移動により湾曲しています。
キラウエアイキ火口: キラウエアカルデラの東に隣接する火口。1959年の噴火では数百mの溶岩噴泉が観測されました。
プウ・オオ火口: 1983年の噴火で生じた火口。2018年の噴火で溶岩の流出が停止しました。
カポホ火口: 東端部にあるタフコーン。2018年の噴火でグリーン湖と共に溶岩流に飲み込まれました。
サウスウエストリフトゾーン: カルデラから南西に伸びる噴火帯。

近現代の噴火史

20世紀には45回の噴火が記録されており、1983年から始まったプウ・オオ火口の噴火は34年間も継続しました。この噴火では、溶岩流がカラパナの集落を埋め尽くし、海岸線を海まで広げました。2014年にはパホアの集落近くまで溶岩流が達しましたが、大きな被害は免れました。2018年にはレイラニ・エステーツやカポホの集落が溶岩流によって破壊され、カポホ湾が埋め立てられるなど大きな被害が出ました。

交通と観光

ハワイ州道11号線がキラウエアとマウナロア山の境界付近を通っています。かつて海岸線を走っていた州道130号線は、1983年以降の溶岩流によって分断されたままです。

キラウエアカルデラ周辺は、観光客に人気のスポットです。ジャガー博物館やサーストン溶岩洞、キラウエアイキ火口などが訪れる人を魅了します。カルデラから海岸線へと続くチェーン・オブ・クレーターズ・ロードは、景色の良いドライブコースとして知られています。ハワイ火山国立公園内には、トレイルコースも整備されています。また、ヒロ空港からは観光用のセスナやヘリコプターを利用することもできます。

かつては溶岩流が海に流れ込む様子を観察できる場所がありましたが、2017年までで、その後は溶岩流が停止しています。過去には溶岩デルタが海中に崩落する事故も発生しており、注意が必要です。

その他の情報

キラウエア火山は、その活発な火山活動と美しい景観から、多くの人々を魅了しています。訪れる際は、火山の状況や安全情報を十分に確認するようにしてください。

関連項目

世界遺産の一覧
* ハワイ式噴火

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