クルアン

クルアン（Kluang）

マレーシア・ジョホール州のほぼ中央に位置するクルアンは、ジョホールバルから北へ約110km、バトゥパハッから南東へ、メルシンから西へ、セガマッから南へそれぞれ約110kmの距離にあります。クルアン郡には約25万人が居住し、クルアン市には14万人を超える人々が暮らしています。

地理

クルアンはマレーシアの首都クアラルンプールから南東へ約215kmに位置し、起伏のある丘陵地に広がっています。市街地は国道50号線と鉄道の交差点を中心に発展し、幹線道路沿いに都市が形成されています。クルアンの最高峰はランバ山（Gunung Lambak）で、標高510m。山頂からは市内を一望でき、マレーシア最南端の主要な山脈の一部を成しています。市内にはメンキボル川が流れ、内陸部に位置するため海岸線はありません。

クルアンは鉄道と道路網を通じて周辺地域と繋がっており、クルアン駅はバスターミナルとしても機能しています。南北高速道路の最寄りのインターチェンジはアイール・ヒタムですが、南から来る場合はシンパンレンガムの方が便利です。クルアンには軍用の飛行場がありますが、一般市民は利用できません。

クルアン都市圏の無秩序な拡大は、1970年代から2000年にかけて主に主要道路沿いで発生しました。中心市街地は商業施設や小売店が3倍に拡大し、ゴムやアブラヤシのプランテーションは住宅地に再開発されています。

クルアン郡の人口構成は、マレー系が52%、中国系が36%、その他の民族が約12%です。年齢層は、年少人口（0-14歳）が33%、生産年齢人口（15-64歳）が63%、老年人口（65歳以上）が4%となっています。

歴史

クルアンという名前は、マレー語でオオコウモリの一種を意味する「keluang」に由来します。かつては多くのオオコウモリが生息していましたが、狩猟と森林伐採によりほぼ絶滅しました。1915年にジョホール州の中央行政の中心地として成立し、イギリス領マラヤを南北に結ぶ鉄道が建設されたことが都市の発展を促しました。道路整備も進み、ジョホールバル、バトゥパハッ、メルシンと結ばれました。

クルアン郡は2つの郡議会に分割され、シンパンレンガム郡議会とクルアン市郡議会が置かれました。第二次世界大戦中、クルアンは日本軍に占領され、山下奉文大将は一時的にここを本営としました。その後、日本軍はクルアン飛行場を空襲の拠点として利用しました。戦後はイギリス軍が飛行場を軍事施設として使用していましたが、1970年代初頭に閉鎖されました。1981年にはジョホール州で4番目の人口を持つ都市でしたが、1991年には州で2番目に人口の多い都市へと成長しました。

1997年にはクルアンスタジアムが完成し、マレーシアオープン陸上競技大会が開催されました。

経済

かつては農業が主産業でしたが、現在は製造業が盛んになっています。経済成長に伴い、多くの家庭で自家用車が普及しています。

農業

クルアンは1915年の成立以来、ゴム栽培地として発展しました。グスリー・ローペルグループ、アジアティック・プランテーションズ、ハリソン・クロスフィールドなどのゴム会社が大規模なゴム園を経営していました。その後、ゴム農園は他の作物へと転換され、現在ではアブラヤシ、パイナップル、ココヤシ、茶などのプランテーションが広がっています。アブラヤシ農園は、マレー系や中国系の企業が外国人労働者を雇用して経営しています。ドラゴンフルーツや有機野菜などの新しいプランテーションも盛んです。

商工業

クルアンでは、高分子化学、製紙、織物、セラミックス、塗料、電気製品などの工業が発展しています。幹線道路沿いの工業地域には、日本企業を含む海外企業も進出しています。市内にはマレーシアの主要銀行の支店や、証券会社も進出しています。商業地区は、中心街、インタン地区、クルアンバル地区の3つが中心です。マレーシアでは外食が一般的で、ホーカーからファーストフード店、カラオケバー、高級レストランまで多様な飲食店があります。カラオケバーは主に中国系やインド系の住民向けで、ホーカーは他の飲食店が営業していない時間帯に開店していることが多いです。

社会基盤

クルアンには郡の病院、警察署、消防署があり、教育機関としては、小学校27校、中等学校13校、公共図書館1館があります。ジョホール理科中等学校は理科に特化した国立の寄宿学校です。クルアン高等学校は地元で最も有名な学校の一つであり、チョン・ホァ高等学校はマレーシアで3番目に大きい華人学校です。2000年から2006年にかけて、他の学校も相次いで建設されました。

クルアンには、BCBプラザ、クルアンパレード、クルアンモールの3つのショッピングモールがあります。これらのショッピングモールやザ・ストアなどの商業施設は互いに近接しており、徒歩で移動できます。タマン・スリ・クルアン地区には、ハイパーマーケットのジャイアントがあります。

観光

ベルムット山とランバ山は、ジャングルトレッキングを楽しむ人々に人気があります。ベルムット山には滝があり、市民の憩いの場となっています。ランバ山では乗馬が可能で、多くの人が健康のために登山します。シンパンレンガムとアイールヒタムの間にあるマチャップは、陶器で有名です。ランバ通りにあるトン・フォン・カフェは、イギリス統治時代から続く歴史あるコーヒーショップで、地元の人々や観光客に親しまれています。

飲食は、屋台形式のホーカーや小規模なレストランが主流です。インド料理、マレーシア料理、中華料理が特に人気で、中華料理は点心など多様な料理が楽しめます。ナイトライフは比較的控えめで、モダンなナイトクラブやKTVラウンジがあります。

健康

クルアン市民の健康調査によると、男性の方が女性よりも骨密度が低い傾向にあり、特にマレー系男性はその傾向が強いです。マレー系の人は中国系の人に比べてウエスト値やBMI値が高いですが、血圧は正常な人が多いです。運動習慣のある人は多く、肥満の人の多くも運動をしています。

クルアンは、歴史と文化、多様な民族が共生する魅力的な都市です。

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