ケプラー8

ケプラー8

こと座の領域に位置するケプラー8は、アメリカ航空宇宙局（NASA）が運用した太陽系外惑星探査ミッション、ケプラー宇宙望遠鏡によってその存在が明らかになった恒星です。この星は太陽よりもやや大きく高温であり、周囲には一つ、巨大なガス惑星が非常に短い周期で公転していることが確認されています。

名称と発見の経緯

ケプラー8という名前は、惑星の存在が確認された順番に由来します。ケプラー計画は、恒星の手前を惑星が通過する際に生じる明るさの変化（トランジット法）を観測し、太陽系外惑星を発見するミッションです。ケプラー8は、この計画によって惑星系を持つことが確定された8番目の恒星であったことから命名されました。

この星の周囲を巡る惑星は、ケプラー8bと名付けられています。ケプラー8bの発見は、2010年1月4日、アメリカ天文学会で、ケプラー4b、ケプラー5b、ケプラー6b、ケプラー7bとともに公表されました。これらはケプラー宇宙望遠鏡による初期の観測成果として発表された5つの惑星の一つです。

ケプラー8bの惑星としての性質を正確に把握し、その存在を確定するためには、地上からの追跡観測が不可欠でした。ハワイのケック第1望遠鏡、テキサス州のホビー・エバリー望遠鏡やハーラン・J・スミス望遠鏡、カリフォルニア州のヘール望遠鏡やC・ドナルド・シェーン望遠鏡、アリゾナ州のフレッド・ローレンス・ウィップル天文台にあるWIYN望遠鏡、MMT、ティリングハスト望遠鏡、そしてカナリア諸島の北欧光学望遠鏡といった、世界各地の著名な観測施設が協力してデータ収集にあたり、惑星の存在が最終的に確定されました。

恒星ケプラー8の特徴

地球から観測した場合、ケプラー8の視等級は13.9と非常に暗く、肉眼で見ることはできません。この恒星は、地球からおよそ4,340光年という遠い距離に位置しています。

恒星自体の物理的性質を見ると、ケプラー8は太陽と比較していくつかの違いがあります。質量は太陽の約1.213倍、半径は太陽の約1.486倍と、太陽より大きく重い星です。表面温度は約6,213 Kと、太陽の約5,777 Kより高温です。年齢は約38億年と推定されており、約46億年の太陽より若いと考えられています。

ケプラー8の金属量（ヘリウムより重い元素の存在比率）は、基準となる鉄と水素の比率で-0.055と、太陽よりわずかに少ない値です。一般的に金属量が多い恒星ほど惑星を持ちやすいとされる傾向がある中で、ケプラー8はこの傾向から外れる例として興味深い存在です。

ケプラー8惑星系

現在までに、ケプラー8の周囲では惑星が一つだけ発見されており、それがケプラー8bです。この惑星は、典型的なホットジュピター（恒星のごく近くを公転する木星サイズのガス惑星）として知られています。

ケプラー8bの質量は木星の約0.6倍ですが、半径は約1.4倍と非常に大きく膨張しており、平均密度はわずか0.27 g/cm³しかありません。これは木星の平均密度（約5.5 g/cm³）と比較して極めて低い値です。このような低い密度は、母星からの強い放射によって惑星の外層大気が加熱され、膨張しているためと考えられます。

軌道の詳細を見ると、ケプラー8bは母星であるケプラー8からわずか0.0474 au（天文単位）の距離を公転しています。これは太陽と水星の間の平均距離よりもずっと近く、結果として公転周期も極めて短い約3.5日となっています。軌道の形状は、解析では真円（離心率0）であると仮定されています。

ケプラー8星系は、ホットジュピターという興味深いタイプの惑星を持つ例として、太陽系外惑星研究において重要な観測対象の一つです。

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