コロリョフ (モスクワ州)

コロリョフ：ロシア宇宙開発の心臓部

コロリョフは、モスクワの北東に位置する都市で、ロシアの宇宙開発において他に類を見ない重要な役割を果たしてきました。その歴史は古く、12世紀には東スラヴ人の集落が存在していましたが、20世紀に入り、軍需産業、特に宇宙開発の拠点として急速に発展しました。

地理

モスクワ中心部から北東へ約23km、モスクワ環状道路（MKAD）からは約7kmに位置します。ロシヌイ・オストロフ国立公園に隣接し、豊かな自然に囲まれています。ムィチシ市やユビレイヌイ市とも隣接しており、モスクワ州内でも人口が集中している地域です。

歴史

コロリョフの地には、12世紀から東スラヴ人が住み着き、集落を形成していました。モスクワとウラジーミル・スーズダリ大公国を結ぶ交易路に位置していましたが、モンゴルのルーシ侵攻により衰退しました。

18世紀には、ロシア初期の繊維工場が建設され、19世紀末にはモスクワとヤロスラヴリを結ぶ鉄道が開通し、交通の便が向上しました。これにより、ポドリプキにはダーチャ（別荘）の集落が形成され、多くの知識人や芸術家が訪れるようになりました。コンスタンチン・スタニスラフスキー、アントン・チェーホフ、ワレリー・ブリューソフ、ボリス・パステルナークなど、ロシアを代表する文化人がこの地で過ごしました。

1918年には、ペトログラードから大砲工場が移転し、兵器生産が開始されました。この工場は、ソ連の対戦車兵器や対空兵器の開発の中心地となり、第二次世界大戦後の1946年には、セルゲイ・コロリョフの指揮のもと、ロケットと宇宙船の製造工場として再編されました。この工場は後にS.P.コロリョフ ロケット&スペース コーポレーション エネルギア（RKKエネルギア）となり、ミッションコントロールセンター「ツープ」も設置されました。

1924年には、OGPU（統合国家政治局）によって最初の労働コミューンが設立され、1928年には大砲工場の労働者の集落がミハイル・カリーニンにちなんでカリーニンスキーと名付けられました。1938年には市制が施行され、カリーニングラードに改名されました。

1996年7月、カリーニングラード市はセルゲイ・コロリョフの功績を称え、コロリョフ市に改名されました。2002年の国勢調査では、人口は142,568人でしたが、郊外の住宅都市として人口が増加し、2007年には173,600人に達しました。

産業

コロリョフ市の最大の雇用主は、S.P.コロリョフ ロケット&スペース コーポレーション エネルギア（RKKエネルギア）です。宇宙関連および防衛関連の企業や研究機関が集積しており、科学都市（ナウコグラード）に指定されています。その他、製材業、包装業、繊維工業なども盛んです。

交通

コロリョフへは、モスクワのヤロスラヴリ駅からエレクトリーチカ（近郊電車）が運行しています。また、周辺都市へのバスも利用できます。

姉妹都市

ジュコーフスキー、ロシア
モスクワ、ロシア
ヒムキ、ロシア
バイコヌール、カザフスタン

コロリョフは、過去と未来が交錯する都市です。宇宙開発の歴史に触れ、科学技術の最前線を感じることができるでしょう。

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