コーラス・グループ

コーラス・グループの歴史とその魅力

コーラス・グループとは、主旋律に副旋律が重なり合う形式で歌う音楽集団を指します。特に楽器を用いずに歌うスタイルは「ア・カペラ・グループ」と称され、リズムとハーモニーがいかに生き生きと表現されるかが魅力として際立っています。本記事では、日本とアメリカにおけるコーラス・グループの主な特徴やその影響を考えてみます。

日本のコーラス・グループ

日本のコーラス・グループは1950年代から60年代にかけて特に注目を浴びました。この時期、ムード歌謡の影響を受けた男性コーラスグループが多く登場し、多くのファンを魅了しました。特に、鶴岡雅義と東京ロマンチカ、黒沢明とロス・プリモス、和田弘とマヒナスターズなどのアーティストが、その甘美なハーモニーでナイトクラブの舞台を彩り、多くの人気を博しました。これらのグループは、ムード歌謡の独特の世界観を演出し、大人の恋愛を歌い上げる存在でした。

さらに、大学の合唱クラブ出身のダークダックスやデューク・エイセス、ボニージャックスなどもこの時期に活躍しました。彼らは歌声喫茶の流行を受け、親しみやすい唱歌やロシア民謡などをレパートリーとし、広く愛されました。また、ザ・キング・トーンズなど黒人音楽の影響を受けたグループもおり、ヒット曲「グッド・ナイト・ベイビー」はアメリカのビルボードR&Bチャートにランクインした実績があります。

女性コーラスグループでは、スリー・グレイセス、スリー・キャッツ、シンガーズ・スリーといったアーティストが活躍し、テレビ主題歌やCMソングを通じて多くの人々にその声が知られるようになりました。

また、1960年代に流行したグループ・サウンズ（GS）においては、ザ・ワイルドワンズがコーラスワークで特に注意を引きました。ザ・タイガースも甘い曲を多くリリースしましたが、ライブではコーラスをあまり披露しない傾向がありました。しかし、ピンキーとキラーズや平田隆夫とセルスターズなども、当時のシーンでヒットを飛ばしました。

1970年代以降のニューミュージック系では、ハイ・ファイ・セットやサーカスによる男女混声のコーラスが特徴づけられ、テンションの高いジャズコーラスを融合させたスタイルが評判になりました。この流れの中で、キャンディーズなどのアイドルも一世を風靡し、ムード歌謡界でも活躍を見せたのです。

80年代以降は、ラッツ＆スターやゴスペラーズなど黒人音楽の影響を強く受けたコーラスグループが人気を集め、またア・カペラブームの波に乗ってRAG FAIRなども登場しました。さらに、EVEのように主にスタジオミュージシャンとして活動するグループも注目を浴びました。

アメリカのコーラス・グループ

一方、アメリカにおいてもコーラスグループは非常に重要な位置を占めています。コーラスはジャズやゴスペル音楽に由来し、1950年代にはドゥーワップスタイルが確立され、多くの黒人コーラスグループがショービジネスに登場しました。この時期はロックンロールの流行と共に黒人音楽が大衆に認識され、1960年代には数多くのコーラスグループが生まれました。

主な男性グループとしては、プラターズ、ドリフターズ、テンプテーションズ、フォー・トップス、ミラクルズなどが有名で、彼らのヒット曲は今でも幅広く歌われています。また、シュープリームスやマーヴェレッツ、ロネッツ、シャングリラスといった女性グループも、当時の音楽シーンで強い影響力を持っていました。

ビーチ・ボーイズのようなバンドはコーラスワークに特化したスタイルを持ち、後にソフト・ロックやウエストコースト・ロックに大きな影響を与えました。1970年代以降のグループとしては、スタイリスティックス、ジャクソン5、ニュー・エディション、ボーイズIIメン、アン・ヴォーグが挙げられ、多くのヒット曲を生み出し続けています。

また、スウィングル・シンガーズやマンハッタン・トランスファー、TAKE 6なども、ジャズとポピュラー音楽を融合させたアーティストとして知られています。1950年代にアメリカで人気を得たミッチ・ミラー合唱団は映画の主題歌を多数歌い、ポピュラー音楽の一端を担ったものの、そのスタイルは一般的なコーラスとは異なる評価を受けることがあります。

まとめ

コーラス・グループは、特に日本とアメリカの音楽シーンにおいて、豊かなハーモニーと感情を歌唱する重要な存在として歴史を刻んできました。彼らの音楽は、様々なジャンルやスタイルの基礎を築き、今もなお多くのアーティストに影響を与え続けています。コーラスの豊かさと美しさは、聴く者に深い感動を与えるものであり、今後も様々な形で進化し続けることでしょう。

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