サイード・アフマド・ギラニ

サイード・アフマド・ギラニの生涯

サイード・アフマド・ギラニ（1932年 - 2017年1月20日）は、アフガニスタンの政治家であり、ムジャーヒディーンの指導者でした。彼は、ソ連のアフガン侵攻時にアフガニスタン民族イスラム戦線を率い、その生涯を通じてアフガニスタンの政治に重要な役割を果たしました。

生い立ちと教育

ギラニは、ナンガルハール州（別の説ではカーブル）出身で、パシュトゥーン人でした。父はサイード・ハサン・ギラニです。彼はカーブルのメドレセで学び、1960年にカブール大学のシャリーア学部を卒業しました。その後、イラク、エジプト、サウジアラビアの大学で神学を学び、イギリスとフランスの大学で一般教養を修めました。これらの教育経験は、彼の後の政治活動に大きな影響を与えたと考えられます。

政治活動

ギラニは、ザーヒル・シャーの側近として政治の世界に入りました。1978年の四月革命後、新政権に一時的に忠誠を誓い、閣僚を務めましたが、土地の収用が実施されたことをきっかけにパキスタンへ亡命しました。その後、1979年末にアフガニスタン民族イスラム戦線を創設し、ムジャーヒディーンの統一組織「ペシャワール7」の一員として、ソ連軍と戦いました。

彼の率いるアフガニスタン民族イスラム戦線は、パクティヤー、ガズニー、カーブルの一部を支配下に置きましたが、実働部隊は少数でした。しかし、パキスタンの連邦直轄部族地域には1万5千人もの支持者がいました。

1981年には、アフガニスタン・ムジャーヒディーン・イスラム同盟を共同で設立しましたが、すぐに脱退しました。その後も、1983年から1985年にかけて「三者同盟」を共同で設立するなど、ムジャーヒディーンの組織化に尽力しました。

1985年5月には、再びアフガニスタン・ムジャーヒディーン・イスラム同盟（「七者連合」）の創設に参加し、1986年に一部のメンバーが脱退した後は、「五者グループ」を共同で設立しました。1988年には、パキスタンで組閣されたムジャーヒディーン移行政権において、最高裁判所所長に任命されました。

その後の活動

ムハンマド・ナジーブッラー政権崩壊後、1992年4月から指導者会議のメンバーとなりましたが、ブルハーヌッディーン・ラッバーニーやアフマド・シャー・マスードとの対立から入閣を拒否しました。1993年からは、ロヤ・ジルガの召集とザーヒル・シャーの復位を支持するようになりました。2001年10月には、ペシャーワルで開かれた「平和・救国会議」に出席し、穏健派ターリバーンを政権に入れることを提案しましたが、アメリカの支持を得ることはできませんでした。

死去

ギラニは、2017年1月、カーブルの病院で亡くなりました。彼の生涯は、アフガニスタンの激動の時代と深く結びついており、その政治的、宗教的な影響は非常に大きいものでした。

家族

ギラニの妻アデルは、ハビーブッラー・ハーン国王のひ孫にあたります。彼らには5人の子供がおり、息子のハメドはアフガニスタン民族イスラム戦線の副官を務め、娘のファーティマはアフガニスタン赤新月社の代表を務めました。

宗教的な背景

ギラニは、アリー・イブン・アビー＝ターリブとファーティマの直系の子孫であり、イラクでカーディリー教団を創設したアブド・アルカーディル・アルジーラーニー（1077年 - 1166年）の直系子孫でもあります。彼はカーディリー教団アフガン支部長の称号を有し、広大な土地と財産を相続していました。彼の宗教的な背景は、彼の政治活動にも大きな影響を与えました。

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