サード (企業)

株式会社サード（SARD Corporation）

株式会社サードは、主にトヨタ系のアフターパーツを製造・販売する工業製品メーカーで、愛知県豊田市に本社を置いています。サードは、長年にわたりトヨタのレーシングチームとして知られ、これまで数々のモータースポーツイベントに参加してきました。その活動はレーシングカーの開発だけでなく、小型航空機やウェイクボード艇、マリンエンジンの分野にも拡大しています。

社名の由来は、集積記号の「Σ（シグマ）」にあり、SARDは「SIGMA Advanced Research & Development」の略称です。この名前には、先進的な研究と開発への取り組みが込められています。

沿革

サードの歴史は1972年（昭和47年）に設立されたレーシングチーム「株式会社シグマオートモーティブ」に遡ります。設立者の加藤眞は、トヨタ自動車のモータースポーツ部門で経験を持ち、1960年代の日本グランプリに参戦したトヨタ・7の開発に携わりました。1970年代初頭には、ル・マン24時間レースへの出場を目指し、シグマ・MC73/マツダの開発を開始。しかし、トヨタからのエンジン供給が断られ、急遽マツダからエンジンを調達してレースに出場し、その後もトヨタとの関係を強化していきました。

1985年に株式会社サードとして独立し、その後SARDブランドを立ち上げました。全日本ツーリングカー選手権や全日本耐久選手権にトヨタ・スープラを用いて参戦し、多くの成功を収めました。1990年代には、トヨタのワークスマシンの供給を受けるようになり、さらなる成長を遂げました。

ル・マン24時間レースとスポーツプロトタイプカー耐久選手権

サードは、ル・マン24時間レースにおいても様々な挑戦をしてきました。1990年にトヨタ・90C-Vで15年ぶりに参戦しましたが、リタイヤに終わりました。1992年には92C-Vで9位完走、1993年には総合5位を獲得し、カテゴリー2クラスで優勝を果たしました。特に1994年には、94C-Vで残り1時間まで首位を走行しながら、シフトリンケージのトラブルで後退し2位入賞となるなど、印象的なレースが展開されました。

SUPER GTと航空機事業

全日本GT選手権（現在のSUPER GT）にも1994年から参戦。サードは各種タイヤメーカーとの提携やドライバー交代を通じて、近年も活躍しており、2016年にはGT500クラスのチャンピオンを獲得しました。

また、2014年からは航空機事業にも進出。福島県のふくしまスカイパークを拠点にして、小型航空機の開発を行い、室屋義秀のチームへの技術支援を行うなど、幅広い事業展開をしています。特に、室屋義秀がレッドブル・エアレース・ワールドシリーズで優勝した際には、サードもエンジニアリングサポートを提供したことで話題になりました。

まとめ

株式会社サードは、トヨタ系としての強みを活かしながら、レーシングチームとしての伝統も大切にしつつ、航空機や船舶の分野でも進化を続ける企業です。モータースポーツの未来を支える企業として期待されています。

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