サール4型ミサイル艇

サールIV型ミサイル艇

サールIV型ミサイル艇は、イスラエル海軍が運用していたミサイル艇であり、レシェフ級とも呼ばれます。「レシェフ」とはヘブライ語で「閃光」を意味します。

開発の背景

イスラエルは1954年から艦対艦ミサイルの開発を進めており、その技術を基に、1962年からは西ドイツのリュールセン社と共同でミサイル艇の設計に着手しました。その結果、200トン級で40ノットの高速を発揮できるサールII/III型ミサイル艇が1967年から1969年にかけて10隻建造されました。

しかし、1967年の第三次中東戦争により、イスラエルが占領したシナイ半島によって、イスラエル海軍が防衛すべき海岸線は5倍に増加しました。これにより、従来の地中海に加えて紅海での作戦も求められるようになりました。紅海は地中海よりも海況が悪く、従来のミサイル艇よりも耐航性に優れた艦艇が必要とされていました。また、モーシェ・ダヤン国防相は、紅海の南端であるバブ・エル・マンデブ海峡で作戦可能な戦力の整備を要望しました。

これらの背景から、サールII/III型の実績を踏まえ、艦型を拡大し、耐航性と独立行動能力を向上させた新型ミサイル艇として建造されたのが、このサールIV型です。

設計

サールIV型は、基地への依存から脱却するため、サール型の派生型ではなく、リュールセン社が当時設計していた大型艇をベースとした設計が採用されました。これにより、満載排水量は200トン、全長は13メートルと大型化されました。その結果、耐航性は大幅に向上し、1973年の第四次中東戦争の際には、就役直後にもかかわらず、ジブラルタル海峡・喜望峰を経由して、地中海から紅海のアカバ湾への無寄港・大迂回航海を、洋上補給を含めて成功させました。

主機関は新世代のMTU 16V956 TB91に更新されましたが、合計出力はサールII/III型と変わらなかったため、最大速度は32ノットに低下しました。

艦型の拡大に伴い、主兵装である艦対艦ミサイルの搭載数が増加しました。当初の設計では、国産のガブリエルを7発（3連装発射筒と4連装発射筒を各1基）搭載する予定でしたが、実際の搭載数は6発にとどまりました。1978年からはアメリカ製のハープーンの導入が開始され、ハープーンは連装発射筒を操舵室後方の両舷に1基ずつ、ガブリエルはその後に単装発射筒を6～8基搭載しました。ハープーンの水平線超え（OTH）射撃能力を活用するため、1979年には「タルシーシュ」に仮設式のヘリコプター甲板が設置されました。

対地艦砲射撃も想定されていたため、当初は船首と船尾の甲板に62口径76mm単装速射砲を1基ずつ装備していました。その後、1983年に「レシェフ」が船首甲板の砲をファランクス20mmCIWSに換装したのを皮切りに、1985年までに全艇が同様の換装を行いました。また、「ニッツホーン」と「コメミユート」では、換装までの間、一時的にボフォース40mm機関砲を装備していました。

同型艦

サールIV型は、先行するサールII/III型ミサイル艇がフランスのシェルブールにあるCMN社で建造された結果、フランスの武器禁輸措置の影響で引き渡しが困難になった教訓から、全艦がイスラエル国内で建造されました。

この他に、南アフリカ海軍では、サールIV型の改良型であるミニスター型（ウォリアー型）ミサイル艇が9隻導入されました。

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