シュトラールズント攻囲戦 (1715年)

シュトラールズント攻囲戦（1715年）

シュトラールズント攻囲戦は、大北方戦争中のポメラニア戦役における重要な戦いの一つです。1715年7月15日に始まり、同年12月23日にスウェーデン軍守備隊が降伏したことで終結しました。この戦いは、プロイセン、デンマーク、ザクセンの連合軍が、当時北ヨーロッパ最大級の要塞都市であったシュトラールズントを攻略したことで、大北方戦争の帰趨に大きな影響を与えました。

前史

1711年と1713年にもシュトラールズント要塞は包囲されましたが、いずれも攻略には至りませんでした。1715年、プロイセンのアンハルト＝デッサウ侯レオポルト1世率いる25,000人の軍団がシュトラールズントに進軍を開始しました。この軍団は、プロイセン、デンマーク、ザクセンの部隊で構成され、プロイセン国王フリードリヒ・ヴィルヘルム1世とデンマーク国王フレゼリク4世もそれぞれ本営を構えました。

アンハルト＝デッサウ侯にとって、シュトラールズント制圧の鍵は、ウーゼドム島とリューゲン島の占領にありました。これらの島々は、先の攻囲戦においてスウェーデン軍が物資を補給するための重要な拠点となっていたためです。

シュトラールズント要塞

シュトラールズント要塞は、17世紀から18世紀にかけて北ヨーロッパ最大級の要塞・防衛施設として知られていました。司令官のカール・グスタフ・デューカー大将は、1711年の攻囲戦の経験を活かし、フランケン門付近に強固な防衛線を構築していました。また、要塞施設の前面には、角面堡、塁壁、稜堡を備えた防衛線を展開し、湿地や冠水させた平野を利用して、小部隊でも抗戦できるような地形を作り上げていました。

攻囲戦当初、町の守備兵力は約9,000名でしたが、シュトレーゾウの戦いでスウェーデン軍が敗北すると、カール12世国王とともに約2,000名が要塞に逃れてきました。

攻囲戦の経過

連合軍はまず、ウーゼドム島の制圧に取り掛かりました。ゲオルク・アブラハム・フォン・アルニム中将が指揮するザクセン＝プロイセン連合軍は、デンマーク海軍の支援を受け、ヴォルガスト、ヴォリン、そしてスヴィーネミュンデ砦を次々と占領しました。スヴィーネ河口の砦陥落後、カール12世は島を離れ、船でシュトラールズントへ向かいました。8月21日、ペーネミュンデ砦が陥落し、ウーゼドム島は完全に連合軍の手に落ちました。

連合軍は、前回の攻囲戦の教訓から、十分な攻城砲がないことを考慮し、包囲網に沿って塹壕を掘削しました。スウェーデン軍守備隊は、絶えず出撃を繰り返し、この作業を妨害しようとしましたが、10月19日には塹壕が完成しました。

9月末には、デンマーク海軍がグライフスヴァルト湾の海戦で勝利し、スウェーデン海軍をシュトラールズント要塞の港に封じ込めることに成功しました。これにより、シュテッティーンからアンクラムへ攻城砲を船で運び込むことが可能となり、陸路を通じて分散配置されました。

11月2日、24門の大砲と12門の臼砲によるトリープゼー門への砲撃が開始されました。ヴァッカーバート伯爵大将率いるザクセン軍とプロイセン軍は、11月4日から5日にかけての夜、フランケン門前面のスウェーデン軍3個連隊を攻撃し、シュトラールズントに直接接する包囲網を構築しました。プロイセン軍のケッペン大佐は、1,800名を率いてスウェーデン軍の後背を突くことに成功し、守備隊を圧倒しました。

11月には、アンハルト＝デッサウ侯の指揮下、リューゲン島が制圧されました。11月15日には連合軍が上陸し、続く戦いでスウェーデン軍の突撃を阻止しました。シュトラールズントから密かにリューゲン島へ移動していたカール12世は敗れ、傷を負って戦場を離脱せざるを得なくなり、リューゲン島は占領され、シュトラールズントは両側から包囲されることになりました。

11月22日以降、連合軍は町への砲撃を強化し、12月3日からは焼夷弾を用いて火災を発生させました。12月5日からは、3つの突撃部隊が要塞の堀の通路へと進み、通路のスウェーデン軍守備隊を迅速に撃退しました。12月16日には、要塞を最終的に占領するための砲台設置作業が開始されましたが、カール12世は無血開城を拒否しました。12月17日午後、大規模な攻撃が開始され、スウェーデン軍は激しく抵抗しましたが、大きな損害を被り、外堡からの撤退を余儀なくされました。

12月18日、カール12世は1,800名を率いて出撃を敢行し、デンマーク軍陣地を奇襲しましたが、グロースドルフ将軍率いる予備隊の反撃により撃退されました。この出撃は、カール12世がドイツで行った最後の作戦行動となりました。

カール12世の脱出

その後の抗戦が全て失敗に終わったため、カール12世は連合軍に5週間の休戦を要請しましたが拒否されました。12月19日、カール12世は最後のフリゲート艦に乗り込み、スウェーデンへの帰国を図りました。デンマーク艦隊の哨戒と港の凍結により、その帰途は困難を極めましたが、夜間にデンマーク艦隊の間をすり抜けて脱出に成功しました。リューゲン島沿岸を航行中にはデンマーク砲兵からの砲撃を受けましたが、外海への到達を果たし、巡洋艦2隻に迎えられてスコーネ地方へと運ばれました。

要塞の降伏

カール12世が町を去った後、攻囲軍は要塞の主壁に最初の突破口を開きました。司令官のデューカー大将は、国王から要塞を明け渡す許可を得ており、12月22日には降伏交渉が完了しました。6,000名の守備隊は捕虜となり、士官117名を含むスウェーデン出身の軍人1,000名は故国への帰還を許可されました。残りの軍人は、勝利した各国の軍に編入されました。

攻囲戦の影響

シュトラールズントの陥落後、1716年にはヴィスマールが開城し、大北方戦争はドイツの地においては終息を迎えました。1720年、フレゼリクスボー講和条約が締結され、シュトラールズントは再びスウェーデンの統治下に戻りました。

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