シュフラン (戦艦)

シュフラン級前弩級戦艦

シュフランは、フランス海軍が建造した前弩級戦艦であり、同型艦は存在しない単艦建造の戦艦です。艦名は、フランスの海軍提督であるピエール・アンドレ・ド・シュフラン・ド・サントロペに由来します。

艦形

シュフランの船体形状は、前級に引き続き平甲板型を採用しており、大西洋での作戦行動における凌波性を高めるため、乾舷が高く設計されました。艦首水面下には、依然として衝角（ラム）が装備されています。主砲は「1893-1896年型 30.5cm（40口径）砲」を楕円筒形の連装砲塔に収めて艦首に1基配置。司令塔を組み込んだ操舵艦橋、単脚式の前部ミリタリー・マスト、2本の煙突は船体中央部よりやや前方に配置されており、煙突の周囲は艦載艇の搭載スペースとして利用され、片舷2基ずつのクレーンで運用されました。左右の甲板上には、16.4cm速射砲を椀を伏せたような形状の単装砲塔に3基ずつ計6基、さらに単装砲架で船体中央部に2基、合計5基が搭載されました。後部甲板には後部ミリタリー・マストが立ち、その後ろ向きに2番主砲塔が配置されました。

主砲、その他備砲、水雷兵装

主砲は前級と同じ「1893-1896年型 30.5cm（40口径）砲」を採用しています。この砲は、349kgの砲弾を仰角15度で12,000mまで射出する能力を持ち、連装砲塔に収められました。砲塔の俯仰能力は仰角15度、俯角5度です。旋回角度は、艦首尾線を0度として左右150度でした。砲身の俯仰、砲塔の旋回、砲弾の揚弾・装填は主に電力で行われましたが、補助として人力も必要でした。発射速度は毎分1発でした。

副砲には、新設計の「1893年型 16.4cm（45口径）速射砲」が採用されました。この砲は、52kgの砲弾を仰角25度で主砲の射程を超える15,400mまで射出する能力を持ち、単装式の副砲塔に装備されました。俯仰能力は仰角25度、俯角10度で、旋回角度は舷側方向を0度として左右150度でした。砲身の俯仰、砲塔の旋回、砲弾の揚弾・装填は主に電力で行われ、補助として人力も必要でした。発射速度は毎分3発でした。

対水雷艇用の兵装としては、「カネー 1892年型 10cm（45口径）速射砲」が単装砲架で8基、4.7cm（43口径）単装機砲が22基、3.7cm（23口径）五連装ガトリング砲が2基、そして45cm魚雷発射管が水上に2基、水線部に2基搭載されました。

艦歴

シュフランはブレスト工廠で起工され、1904年2月3日に就役しました。

第一次世界大戦

第一次世界大戦が勃発すると、シュフランは地中海方面での作戦に参加しました。1914年9月26日、巡洋戦艦「ゲーベン」と巡洋艦「ブレスラウ」の地中海進出を阻止するため、ダーダネルス海峡を封鎖するイギリス艦隊を支援するため派遣されました。11月3日には、ダーダネルス海峡入り口のオスマン帝国軍要塞に対するイギリス艦隊の砲撃に加わりましたが、フランス軍の砲撃は限定的な損害しか与えられず、オスマン帝国軍に防備強化の必要性を認識させることとなりました。11月16日には修理のためトゥーロンへ回航されました。

1915年1月9日にダーダネルスに戻り、4隻のフランス戦艦からなる戦隊の旗艦となりました。2月19日には、ダーダネルス海峡アジア側のクム・カレ要塞を砲撃し、戦艦「ブーヴェ」からの情報を受けて砲撃を修正しました。同日、イギリス戦艦「ヴェンジャンス」が要塞からの激しい砲撃を受けた際には、「シュフラン」と「ゴーロア」が砲撃に加わり、敵砲台を制圧し、「ヴェンジャンス」を撤退させました。この日、「シュフラン」は305mm砲弾30発と164mm砲弾227発を発射しました。2月25日にも同じ目標に対する砲撃に参加し、3月2日にはガリポリ半島付け根のサロス湾で艦砲射撃を実施しました。3月7日には、イギリス戦艦部隊による要塞砲撃を支援し、3月11日には再びサロス湾で砲撃を行いました。

3月18日、オスマン帝国軍要塞からの砲撃で損傷し、3月25日には損傷した戦艦「ゴーロア」をマルタ経由でトゥーロンまで護衛するよう命じられました。2日後、嵐に遭いナバリノ湾へ避難し、4月3日にトゥーロンに到着、5月20日まで修理が行われました。修理完了後、再びダーダネルス海峡に戻り、12月31日までそこに滞在しました。コス島のケファロス泊地に戻った際、イギリス船「Saint Oswald」と衝突し、「Saint Oswald」は沈没、「シュフラン」も大きな損傷を受けました。1916年1月20日に修理のためトゥーロンに到着し、4月まで修理が行われました。その後、サロニカ戦線での連合国軍の作戦に対するギリシャの干渉を阻止する任務に就きました。7月9日には、戦艦「パトリー」が修理のためにトゥーロンへ向かったため、戦隊旗艦となりました。10月7日には、ギリシャ戦艦への砲撃準備のため、エレウシナ港に入港しましたが、事態は平和的に解決され、フランス戦艦は離れました。

シュフランは当初、ビゼルトで修理を行う予定でしたが、ロリアンに変更されました。11月15日に石炭補給のためビゼルトへ向かい、11月18日に到着。20日にビゼルトを出航し、ジブラルタルへ向かいました。悪天候のため到着が遅れましたが、23日に到着。石炭を補給し、翌日護衛なしでジブラルタルを離れました。11月26日朝、リスボン付近のポルトガル海岸から約50海里沖で、ドイツ潜水艦U52の雷撃を受け、弾薬庫が誘爆し、瞬く間に沈没しました。乗員648人全員が死亡しました。

参考文献

Caresse, Philippe (2010). "The Drama of the Battleship Suffren". In Jordan, John. Warship 2010. London: Conway. pp. 9–26. ISBN 978-1-84486-110-1
Corbett, Julian (1997). Naval Operations. History of the Great War: Based on Official Documents. II (reprint of the 1929 second ed.). London and Nashille, TN: Imperial War Museum in association with the Battery Press. ISBN 1-870423-74-7

外部リンク

Suffren at Battleships-Cruisers.co.uk
Navies of World War I: French Navy

もう一度検索