ジャズィーラ

ジャズィーラ地方の詳細

ジャズィーラ地方は、アラビア語で「島」を意味し、その名の通り、ユーフラテス川上流からチグリス川上流にかけて、河川に囲まれた地域を指します。現在のイラク北部、シリア北部、トルコ南東部にまたがる広大な地域であり、古代メソポタミア文明の重要な舞台の一つでした。

地理的特徴

ジャズィーラ地方は、北をアナトリア高原、南をシリア砂漠に挟まれた平原地帯です。ハブール川とその支流が地域を貫き、肥沃な土地を形成しています。北にはトロス山脈が連なり、南にはアブダルアジーズ山地とシンジャル山地が東西に走ります。気候は、夏は高温乾燥、冬は比較的湿潤ですが、近年は旱魃に悩まされています。

主要都市

この地域には、歴史的に重要な都市が点在しています。イラク領ではモースル（古代のニネヴェ）、シリア領ではデリゾール、ラッカ、ハサカ、カーミシュリー、トルコ領ではマルディン、シャンルウルファ（エデッサ）、ヌサイビン（ニシビス）などが挙げられます。

歴史

ジャズィーラ地方は、新石器時代から農耕が発達し、都市文明が興った場所です。古代にはアッ[[シリア]]の一部をなし、その後、サーサーン朝ペルシャ、イスラム帝国と支配者が変わってきました。イスラム帝国時代には、経済的に豊かな地域として繁栄し、交易の中心地としても重要な役割を果たしました。アッバース朝の直轄領となり、高い税率が課せられていたものの、その経済力は維持されていました。

しかし、支配権を巡る争いが絶えず、ハムダーン朝などの地方政権が興亡し、最終的にはアイユーブ朝の支配下に入ります。13世紀末にはモンゴル帝国の侵攻によって多くの都市が破壊され、その後も様々な王朝がこの地を奪い合いました。15世紀にはオスマン帝国に統一され、第一次世界大戦後、イギリスとフランスによって分割されました。

宗教と民族

ジャズィーラ地方は、クルディスタンの一部であり、多くのクルド人が居住しています。スンニ派が多数を占める一方で、イラク北部からシリア東部にかけてはアッ[[シリア]]人が多く住み、キリスト教徒の比率が高い地域でもあります。第一次世界大戦後の混乱期には、トルコから多くのキリスト教徒が南へ逃れ、さらに1990年代にはイラクからの難民が流入するなど、複雑な民族構成となっています。近年の旱魃や紛争によって、人口移動が活発化しています。

まとめ

ジャズィーラ地方は、歴史と文化が深く交錯する地域です。その地理的特性から、古代文明の繁栄を支え、交易の要衝として重要な役割を果たしてきました。しかし、その一方で、支配権を巡る争いや民族、宗教間の対立が絶えず、常に歴史の荒波に揉まれてきた地域でもあります。近年の旱魃や紛争による人口移動が活発化しており、その状況は常に変化しています。

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