ジュリアーノ・ジェンマ

ジュリアーノ・ジェンマ：マカロニ・ウェスタンのスター、その生涯と作品

ジュリアーノ・ジェンマ（Giuliano Gemma、1938年9月2日 - 2013年10月1日）は、イタリア・ローマ出身の俳優であり、彫刻家としても活動しました。彼は、マカロニ・ウェスタンというジャンルでトップスターとして名を馳せ、その魅力的で力強い演技は世界中の観客を魅了しました。

生い立ちと初期のキャリア

ジェンマは幼少期を母親の故郷である北イタリアのレッジョ・エミリアで過ごしました。幼い頃から肉体労働で家計を支え、高校時代にはボクシングと器械体操で数々の賞を獲得するなど、その身体能力の高さを示しました。卒業後、兵役を経て、バーテンダー、セールスマン、消防士など様々な職業を経験した後、1957年に演劇学校に入学し、俳優としての道を歩み始めます。

映画界での最初の仕事は、アメリカ映画『ベン・ハー』のエキストラ出演でした。当初はチャールトン・ヘストンのスタンドインを務める予定でしたが、身長が足りなかったため実現しませんでした。その後、『タイタンの逆襲』やルキノ・ヴィスコンティ監督の『山猫』などに出演し、着実にキャリアを積み重ねていきました。

マカロニ・ウェスタンでの成功

1965年、ジェンマは“モンゴメリー・ウッド”という芸名でマカロニ・ウェスタン『夕陽の用心棒』に主演し、これが世界的な大ヒットとなりました。この成功を機に、彼は本名のジュリアーノ・ジェンマに芸名を変更します。その後も、『荒野の1ドル銀貨』、『南から来た用心棒』、『星空の用心棒』、『怒りの荒野』といったマカロニ・ウェスタンに立て続けに主演し、世界的なスターとしての地位を確立しました。

私生活と晩年

私生活では、人気が出る前から彼を支えていたマネージャーのナタリア・ロベルティと結婚しました。1980年代には、スズキのスクーター「ジェンマ」のイメージキャラクターとしてCMに出演し、日本でもその名を知られるようになりました。

晩年は彫刻家としても活動していましたが、2013年10月1日、ローマ近郊で交通事故により75歳でこの世を去りました。彼の突然の死は、世界中のファンに深い悲しみをもたらしました。

主な出演作品

ジェンマは、数多くの映画に出演しており、その作品は多岐にわたります。以下に主な出演作品を挙げます。

剣闘士の反逆 (1958)
ベニスと月とあなた (1958)
ベン・ハー (1959)
メッサリーナ(1959)
ボッカチオ'70 (1961)
タイタンの逆襲 (1962)
山猫 (1962)
史上最大の喜劇 地上最笑の作戦 (1962)
鉄腕マチステ (1963)
シエラザード (1963)
二人の剣闘士 (1964)
親衛隊の反逆 (1964)
ヘラクレス対太陽の子 (1964)
アンジェリク はだしの女公爵 (1965)
アンジェリク2/ヴェルサイユへの道 (1965)
バイキング・エリック (1964)
こむすめ (1965)
夕陽の用心棒 (1965)
荒野の1ドル銀貨 (1965)
続・荒野の1ドル銀貨 (1965)
続・さすらいの一匹狼 (1965)
南から来た用心棒 (1966)
さいはての用心棒 (1966)
キス・キス・バン・バン (1967)
星空の用心棒 (1967)
荒野の一つ星 (1967)
怒りの荒野 (1967)
バスタード (1968)
暁のガンマン (1968)
欲情の島 (1969)
怒りの用心棒 (1969)
荒野の大活劇 (1969)
火の射手 (1970)
特攻大戦線 (1970)
女にしっぽがあったころ (1970)
はるかなる国境 (1971)
新・さすらいの用心棒 ベン&チャーリー (1972)
イタリア式恋人アタック作戦 (1972)
ザ・ビッグマン (1972)
くたばれカポネ (1973)
アフリカ特急 (1975)
サファリ特急 (1976)
ゴールデン・ボーイ 危機また危機 (1973)
縄張(シマ)はもらった (1974)
ミラノの恋人 (1975)
ザ・サムライ 荒野の珍道中 (1975)
カリフォルニア〜ジェンマの復讐の用心棒 (1977)
鉄人長官 (1977)
ザ・ビッグ・バトル (1977)
シルバー・サドル 新・復讐の用心棒(1978)
獲物はおまえだ (1979)
警告 (1980)
シャドー (1982)
ドン・コルレオーネの娘 禁断 (1983)
クラレッタ・ペタッチの伝説 (1984)
秘宝を追え! ―イタリア特捜警察― (1984)
魔境のガン・ファイター (1985)
アルジェント・ザ・ナイトメア／鮮血のイリュージョン (1986)
女たちのテーブル (1986)
仁義なき街 (1987)
オポネント (1987)
フィレンツェの風に抱かれて (1991)
女王フアナ (2001)
シークレット・ポワゾン 背徳の蜜事 (2001)

日本語吹き替え

ジェンマの作品の日本語吹き替えを担当したのは、主に以下の2人です。

野沢那智: キャリア初期からジェンマの吹き替えを担当し、専属の声優として知られています。1970年代に来日したジェンマ本人から公認を得ています。
松橋登: 主に日本テレビで放送されたジェンマ主演作品を担当し、野沢に次いで多く吹き替えました。

その他にも、伊武雅刀、木下秀雄、柴田侊彦、山田康雄、江原正士などが吹き替えを担当したことがあります。

日本のテレビCM

スズキ・ジェンマ
大丸 紳士服 トロージャン（帰ってきたガンマン篇、1978年）

外部リンク

公式ウェブサイト（イタリア語）
ジュリアーノ・ジェンマ - allcinema
ジュリアーノ・ジェンマ - KINENOTE
オールムービーのURL'>Giuliano Gemma - オールムービー（英語）
IMDbのURL'>Giuliano Gemma - IMDb（英語）
Giuliano Gemma - TCM Movie Database（英語）

ジュリアーノ・ジェンマは、その才能と魅力で、世界中の映画ファンを魅了し続けました。彼の作品は、これからも長く愛され続けるでしょう。

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