ジョン・マイアング

ジョン・マイアング：ドリーム・シアターを支える寡黙な技巧派ベーシスト

ジョン・マイアング（John Ro Myung）は、1967年1月24日生まれ、アメリカ合衆国のプログレッシブ・メタルバンド、ドリーム・シアターのベーシストとして知られています。また、チャップマン・スティックの奏者としてもその才能を発揮しています。

生い立ちと音楽との出会い

イリノイ州シカゴで韓国系アメリカ人の家庭に生まれたマイアングは、幼少期にニューヨーク・ロングアイランドへ移住。5歳から15歳までヴァイオリンを習っていましたが、友人の勧めでベースを始めました。ハイスクール卒業後、バークリー音楽大学に進学。そこで出会ったジョン・ペトルーシ、マイク・ポートノイ、そして旧知のケヴィン・ムーアと共に、ドリーム・シアターの前身となる「Majesty」を結成しました。

ドリーム・シアターでの活躍と多様なプロジェクト

ドリーム・シアターでの活動が中心ですが、プラティパス、タイ・テイバー、ザ・ジェリー・ジャムなど、様々なプロジェクトにも参加。5thアルバム『メトロポリス・パート2: シーンズ・フロム・ア・メモリー』のワールドツアー後には、東南アジアで初のベースクリニックツアーを開催しました。

卓越したプレイスタイル

マイアングのプレイスタイルは、フィンガー・ピッキング、タッピング奏法、Hi-C弦を活用した多彩なハーモニクス奏法が特徴です。そのプレイスタイルは、ヘヴィメタルの先達よりも、ギタリストのスタンリー・ジョーダンから強い影響を受けたとされています。

基本は3フィンガー・ピッキングで、ギターとの超高速ユニゾンからバラードまで幅広く対応。高速フレーズと複雑な運指、柔らかな音色からスラップ奏法に近いハードタッチまで、多様なニュアンスをフィンガリングで表現します。ドリーム・シアターの9thアルバム『システマティック・ケイオス』では、一部ピック奏法も使用しています。

幅広いテクニックと安定したプレイを持ち味とし、楽曲のインストパートではリードギターと完璧にユニゾンしたり、要所で凝ったタッピング奏法を披露したりする一方で、目立つことを意識せず、楽曲に貢献するプレイを心がけています。

使用機材

Majesty結成当初は、フェンダー、アーニーボール、スペクターなどの一般的な4弦ベースを使用していましたが、2ndアルバム『イメージズ・アンド・ワーズ』の製作を機に多弦ベースへ移行。トバイアスの他、現在は希少価値の高いタング（Tung Bass）の6弦モデルを複数所有し、メインベースとして愛用。WingBassシリーズの名を広めるきっかけとなりました。その後、ヤマハとエンドース契約を結び、2種類の専用6弦モデルを使用。9thアルバム『システマティック・ケイオス』からは、ミュージックマンとエンドース契約を結び、現在は同社のBongoシリーズの6弦バージョンを使用しています。エレクトリックベースの他、12弦チャップマン・スティックも演奏し、4thアルバム『フォーリング・イントゥ・インフィニティ』で使用。元シニックのベーシスト、ショーン・マローンのソロプロジェクトアルバムにもゲスト参加しています。

ヤマハとの契約時には、ベース本体の剛性や、ポジション移動をスムーズに行うための弦間幅など、細部にまでこだわった仕様を追求。現在使用しているミュージックマン・ボンゴについても同様です。

サウンド面では、バンド初期は若干歪ませたドライブ感のあるサウンドでしたが、時代と共にシンプル志向に転換。曲によってコーラスやフェイザーを使用し、クリーンサウンドとドライブサウンドをミックスしてコンプレッサーで整えるのが、現在の主なサウンドセッティングとなっています。

人柄

アグレッシブなプレイとは対照的に、物静かで寡黙な性格。公の場での発言は非常に少なく、特にメンバー全員でのインタビューではほとんど発言しません。自身の教則ビデオ『プログレッシヴ・ベース・コンセプト』での解説は貴重な音源と言えるでしょう。ただし、2016年後半以降は、YouTubeなどの公式動画で発言する機会が少しずつ増えています。

ミュージシャンとして徹底した自己管理を行い、早寝早起きを実践。取材や広報などのサイドワークは午前中に済ませ、午後は練習時間にあてています。日本国内で行われたベースクリニックでは、ウォーミングアップに数時間、ライブ前には腕立て伏せを100回行うことを明かしています。

ベースの練習に多くの時間を費やすため、学校の成績や長髪に関して父親と対立したこともありました。かつては「ジョン・ミュング」と表記されることが多かった彼の名前は、現在では本国アメリカでの発音に近い「ジョン・マイアング」と表記されています。

外部リンク

* [ドリーム・シアター]]公式サイト: [Dream Theater - The Official Site

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