ジョン・ラッセル (初代ベッドフォード伯爵)

初代ベッドフォード伯爵ジョン・ラッセル

初代ベッドフォード伯爵ジョン・ラッセル（John Russell, 1st Earl of Bedford, 1485年頃 - 1555年3月14日）は、イングランドの廷臣、商人、そして貴族です。彼は、一介の貿易商からテューダー朝の廷臣に取り立てられ、1539年にラッセル男爵、1551年にはベッドフォード伯爵に叙せられました。ベッドフォード公爵ラッセル家の貴族としての祖にあたる人物として知られています。

生い立ちと初期のキャリア

1485年頃、ジョン・ラッセルはイングランドのドーセット・キングストン・ラッセルで、ジェイムズ・ラッセルの息子として生まれました。ラッセル家はウェイマスを中心に貿易商を営んでおり、ジョン自身も貿易商として活動していました。

1506年1月、ドーセットに難破した神聖ローマ皇帝マクシミリアン1世の長男フィリップとその妃フアナの通訳を務めたことが、彼の運命を大きく変えました。この功績により、1507年にヘンリー7世の宮廷官（Gentleman of the Privy Chamber）に取り立てられ、ヘンリー8世の時代にもその地位を維持しました。

軍事と政治での活躍

ジョン・ラッセルは、軍事面でもその才能を発揮しました。1513年のフランス遠征軍に従軍し、1522年のモルレーの戦いにも参加。同年7月2日に騎士に叙任されました。1523年にはナイト・マーシャルに任じられ、1525年のパヴィアの戦いにも参加しています。また、1528年にはドーセットとサマセットのシェリフを務めました。

1529年から1536年にかけては、バッキンガムシャー選挙区から選出されて庶民院議員を務め、政治の世界でも存在感を示しました。1538年には枢密顧問官に任命され、政治的な影響力をさらに強めていきました。

1539年3月9日、ジョン・ラッセルはラッセル男爵（Baron Russell）に叙せられました。同年7月にはスズ鉱山裁判所長官に就任。さらに、イングランド西部に影響力を持っていたエクセター侯爵ヘンリー・コートニーが、西部のカトリックの反乱（恩寵の巡礼）に参加して処刑された後、新設された西部辺境評議会長官（Lord President of Council of the West）に任じられ、コーンウォールをはじめとする西部の統治を担いました。反乱への対処として、統監にも任じられています。

修道院解散と所領拡大

修道院解散の際には、その荘園や土地を次々と奪い、所領を拡大しました。ベッドフォードシャーのウォバーン・アビーの荘園をはじめ、コーンウォール、サマセット、デヴォンなどにあるタヴィストックの修道院に属していた30の荘園を獲得。さらに、ロンドン中心部のコヴェント・ガーデンの土地も与えられました。バッキンガムシャー・アマーシャムには屋敷も手に入れています。

1540年から1542年にかけては海軍卿、1542年から1555年の死去まで王璽尚書を務めました。これにより、西部での活動よりも中央での活動が多くなりました。

エドワード6世の治世

ヘンリー8世の宮廷では重臣の粛清が相次ぎましたが、ジョン・ラッセルは処刑されることなく、1547年に即位した少年王エドワード6世の治世まで生き延びました。ヘンリー8世の遺言により、エドワード6世を補佐する高官の一人に指名されています。1549年6月にイングランド西部でカトリックの反乱が発生すると、その鎮圧軍の指揮官として出陣。反乱は鎮圧しましたが、出陣中に政争が起こり、護国卿のサマセット公エドワード・シーモアが失脚し、ロンドン塔へ投獄されました。ラッセルは反乱鎮圧に手を焼き、事前に西部地域の反乱の芽を摘んでおく必要性を痛感し、再び積極的に西部統治に関与するようになり、庶民院議員選挙にも干渉するようになりました。

1550年1月19日にはベッドフォード伯爵に叙せられました。1552年にはコーンウォール統監、デヴォン統監、ドーセット統監に就任しています。

1555年3月20日、ジョン・ラッセルはバッキンガムシャー・チェニーズで死去しました。爵位は一人息子のフランシス・ラッセルが継承しました。

栄典

爵位

1539年3月9日：ベッドフォード州におけるチェニーズの初代ラッセル男爵 (1st Baron Russell, of Chenies in the County of Bedford) （勅許状によるイングランド貴族爵位）
1550年1月15日：初代ベッドフォード伯爵 (1st Earl of Bedford) （勅許状によるイングランド貴族爵位）

勲章

* 1539年4月24日：ガーター騎士団(勲章)ナイト(KG)

家族

1526年にサー・ガイ・サップコートの娘アンと結婚。この結婚により、チェニーズの荘園を手に入れました。彼女との間に一人息子でベッドフォード伯爵位を継承するフランシス・ラッセルを儲けました。

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