ジョージ・スティール

ジョージ・スティール：狂乱のヒールから愛されるベビーフェイスへ

ジョージ・スティール、本名ウィリアム・ジェームズ・マイヤーズ。1937年4月16日生まれ、ミシガン州デトロイト出身のプロレスラーです。彼は「ジ・アニマル」の異名で知られ、スキンヘッドに全身の剛毛という風貌で、狂獣のようなヒールとして一世を風靡しました。しかし、キャリアの中盤からはコミカルなベビーフェイスへと転身し、子供たちから絶大な人気を得るという、プロレスラーとして稀有な転身を遂げた人物でもあります。

教員からプロレスラーへ

ミシガン州立大学卒業後、高校の体育教師として勤めながら、地元デトロイトのプロモーター、バート・ルビーに師事。1960年、プロレスラーとしてのキャリアをスタートさせました。当初は教員生活との両立を図り、素性を隠すため覆面レスラー「ザ・ステューデント」として活動していました。しかし、その後覆面を脱ぎ捨て、狂乱のファイター「ジョージ・“ジ・アニマル”・スティール」として生まれ変わります。ハイスクールでアメリカンフットボールとレスリングの非常勤コーチを務めながら、本格的にプロレスに打ち込むようになりました。

ヒールとベビーフェイスの両面

1967年にはWWWF（後のWWF）に進出。ブルーノ・サンマルチノのWWWF世界ヘビー級王座に挑戦するなど、NWAビッグタイム・レスリングとWWWFを主戦場に活躍しました。デトロイトではザ・シークやボボ・ブラジルと激しい抗争を繰り広げ、1980年にはフランキー・レインと組んでNWA世界タッグ王座を獲得。ニューヨークでは、ゴリラ・モンスーンやチーフ・ジェイ・ストロンボーらと抗争し、数々のレジェンドレスラーと対戦しました。日本にも1971年、1974年、1979年に参戦、ジャイアント馬場やアントニオ猪木と対戦しましたが、当時の日本のプロレスファンの嗜好には合わず、大きな成功は収められませんでした。1981年にはキラー・カーンとタッグチームを組むなど、WWFでも様々な経験を積みました。

1984年、ビンス・マクマホン・ジュニア率いるWWFと再契約。ミスター・フジをマネージャーに迎え、ヒールとしてハルク・ホーガンらと激闘を繰り広げましたが、1985年には仲間割れをきっかけにベビーフェイスに転向。 これにより、彼のコミカルなキャラクターが爆発的に人気を呼び、一躍人気者となりました。ランディ・サベージとの抗争では、サベージのマネージャー、ミス・エリザベスへの恋という、美女と野獣を思わせるストーリーが展開され、大きな話題を呼びました。

引退後も続く活躍

1988年にはクローン病を患い引退しましたが、その独特のキャラクターを生かし、俳優としても活躍。ティム・バートン監督の映画『エド・ウッド』に出演するなど、第二の人生を歩みました。1995年にはWWE殿堂入りを果たし、1997年には『Raw is War』に、1998年にはジ・オディティーズのマネージャーとしてWWFに復帰するなど、引退後もプロレス界に貢献しました。その後もインディー団体にスポット参戦を続け、2008年にはTNAのPPV "Slammiversary" にも登場するなど、その人気は衰えることはありませんでした。2010年にはWWE『Raw』のスペシャル版に出演し、往年の得意技「Big Bite」を披露しました。2017年2月16日、79歳で亡くなりました。

ジョージ・スティールの残したもの

ジョージ・スティールは、ヒールとして観客を圧倒し、ベビーフェイスとして子供たちの心を掴んだ、唯一無二の存在でした。彼の緑色の舌や「Big Bite」といった奇抜なキャラクターは、後進のレスラーたちに大きな影響を与え、多くのプロレスファンに強烈な印象を残しました。WWE殿堂入りを果たした彼の功績は、プロレス史に永遠に刻み込まれることでしょう。 彼の残したレガシーは、これからもプロレス界に受け継がれていくことでしょう。

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