スズキ (企業)

スズキ株式会社

スズキ株式会社は、1909年に鈴木道雄によって創業された、日本の大手輸送機器メーカーです。本社を静岡県浜松市に構え、自動車、二輪車、船外機など幅広い製品を世界中で展開しています。四輪車では世界販売台数で10位、国内販売台数では2位、二輪車では世界8位、国内2位、そして船外機では世界3位の実績を誇ります。また、TOPIX Large70の構成銘柄にも選ばれています。

創業と多角化

スズキの創業は、織機メーカー「鈴木式織機製作所」として始まりました。創業者の鈴木道雄は大工出身であり、その技術力と精密機械へのノウハウが、後の自動車産業への進出を支える基盤となりました。織機事業で成功を収めた後、将来の市場飽和を見越し、自動車産業への参入を検討し始めました。

本格的な自動車産業への参入は、1950年代初頭の自転車補助エンジンブームを機に、オートバイの開発から始まりました。1952年にオートバイの開発に着手し、1955年には四輪軽自動車市場にも進出しました。その後、小型オートバイと軽自動車を中心に、日本の小型自動車業界で確固たる地位を築き、1958年には現在のロゴが制定されました。

四輪車事業

スズキの四輪車事業は、軽自動車や小型車が主力です。軽自動車分野では、1973年から2006年までの34年間、販売台数日本一を誇りました。また、マツダ、日産自動車、三菱自動車工業へのOEM供給も行っています。

近年では、スイフトやSX4などの小型車、普通車の強化も進めています。2014年には、クロスオーバーSUVのハスラーが発売初年度に大ヒットし、軽乗用車販売台数の大幅アップに貢献しました。これにより、8年ぶりに軽自動車年間販売台数No.1の座を奪還しました。

海外展開

スズキは、新興国市場への進出に積極的です。特にインド市場では、自動車年間販売シェアの54%を占めるなど、圧倒的な強みを発揮しています。2002年には、インド政府との合弁会社であったマルチ・ウドヨグをマルチ・スズキ・インディアとして子会社化し、連結経常利益の4割を占めるまでに成長しました。また、ハンガリー（マジャールスズキ）とインド（マルチ・スズキ）の生産拠点では、日本国外市場向けの製造だけでなく、日本市場への輸出も積極的に行っています。

多岐にわたる事業展開

スズキは自動車事業以外にも、モーターサイクル、モーターボート（スズキマリン）、船外機、発電機、リース・クレジット事業（スズキファイナンス）、住宅（スズキハウス）、ハンガリー産ワイン・はちみつ、保険販売、カー用品事業（オートリメッサ）、ガソリンスタンド、ゴルフ場経営など、多岐にわたる事業を展開しています。これらの事業は、関連会社のスズキビジネスが担当しています。

企業の特徴

スズキは、創業100年を超える歴史を持つ老舗自動車メーカーでありながら、現在でも創業家一族が経営の中枢を担う、珍しい企業です。ただし、2000年から2008年までは創業家以外から社長が選出されました。また、創業家出身の社長は、初代社長の鈴木道雄と2015年に社長に就任した鈴木俊宏以外は、全て婿養子です。

沿革

1909年：鈴木道雄が鈴木式織機製作所を創業。
1920年：鈴木式織機株式会社として設立。
1954年：商号を鈴木自動車工業株式会社に変更。
1958年：社章「S」マークを制定。
1990年：商号をスズキ株式会社に変更。
2009年：スズキ歴史館をオープン。
2020年：創立100周年を迎える。

コーポレートスローガン

1970年代中期：乗りものをつうじてひとりひとりを豊かに
1987年 - 1997年：もっと個性的に、もっとあなたらしく Personal Best
1998年 - 現在：小さなクルマ、大きな未来。
* グローバルスローガン：Way of Life!

他社との関係

スズキは、日産自動車、三菱自動車工業、マツダ、トヨタ自動車とOEM供給や技術提携などの関係を築いています。特にトヨタ自動車とは、インド・欧州市場での車両の相互OEM供給や資本提携を行っています。

米GMとの提携

1981年にゼネラルモーターズ（GM）と提携を開始しましたが、2008年にGMが保有していたスズキ株式をすべてスズキが買い戻し、提携は解消されました。

独VWとの提携

2009年にフォルクスワーゲン（VW）との包括提携を発表しましたが、2015年に国際仲裁裁判所の判断により提携は解消されました。

製品の特徴

スズキは、「人と同じ事はやらない。やるなら世界一を目指す」という企業風土を持っています。「小少軽短美」という指標を掲げ、小さく、少なく、軽く、短く、美しい製品づくりを目指しています。二輪車分野では、レーサーレプリカやビッグスクーターの先駆けとなるモデルを開発し、その技術力と革新性が評価されています。

技術関連

スズキは、FF方式を日本で初めて採用した企業です。また、電動[パワーステアリング]を搭載した量産車を世界で初めて実用化・量産化しました。

生産拠点

スズキは、日本国内だけでなく、中国、インド、インドネシア、ハンガリー、タイなど世界各地に生産拠点を展開しています。

販売チャネル

国内では「スズキ店」と「スズキアリーナ店」の2つのディーラー体制に加え、副代理店、業販店というサブディーラーが存在しています。インド市場では、上級車チャネル「NEXA」を展開しています。二輪車は、「SBS」と「スズキワールド」の2つの販売チャネルがあります。

系列企業・統括拠点

スズキは、国内外に多くの系列企業と統括拠点を持ち、グローバルに事業を展開しています。

モータースポーツ

スズキは、四輪、二輪の両部門でモータースポーツ活動に積極的に取り組んでおり、ラリーやロードレース、モトクロスなど様々なカテゴリーで活躍しています。

スポンサー活動

スズキは、スポーツ大会やテレビ番組など、幅広い分野でスポンサー活動を行っており、企業イメージの向上に努めています。

主な提供番組

スズキは、テレビ、ラジオで数多くの番組に提供しており、長年にわたり、情報発信に貢献しています。

不祥事

スズキは過去に、申告漏れ・所得隠し、燃費偽装、完成車検査不正などの不祥事を起こしています。これらの問題に対して、企業としての責任を重く受け止め、再発防止に努めています。

博物館

スズキ本社の正門前には、スズキの歴史を学べるスズキ歴史館があります。

その他

スズキは、自動車製造だけでなく、様々な事業を通じて社会に貢献しています。今後も、革新的な技術と製品で、人々の生活を豊かにしていくことが期待されます。

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