スプリアス

スプリアスとは

スプリアス（spurious）とは、主に高調波から構成される、交流信号に含まれる設計上意図されていない周波数成分のことです。無線通信においては、送信機から発射される電波のうち、高調波、低調波、寄生振動などによって発生する目的外の電波を指します。

無線におけるスプリアス

総務省令電波法施行規則第2条第1項第63号では、「スプリアス発射」を「必要周波数帯外における一又は二以上の周波数の電波の発射であって、そのレベルを情報の伝送に影響を与えないで低減することができるものをいい、高調波発射、低調波発射、寄生発射及び相互変調積を含み、帯域外発射を含まないもの」と定義しています。

関連する定義として、同条同項には以下のものがあります。

帯域外発射: 必要周波数帯に近接する周波数の電波の発射で、情報の伝送のための変調の過程において生じるもの
不要発射: スプリアス発射及び帯域外発射

不要発射は、テレビやラジオへの混信などの電波障害の原因となるため、無線設備規則第7条にその許容値が定められています。スプリアスの計測にはスペクトラムアナライザなどが用いられます。

旧技術基準の機器の使用

無線設備規則のスプリアス発射等の強度の許容値に関する技術基準の改正により、旧技術基準の無線設備の使用には期限が設けられました。具体的には以下の通りです。

旧技術基準の無線設備の使用期限は「平成34年11月30日」まで
旧技術基準の無線設備による免許・登録や変更の申請が可能な期間は「平成24年11月30日」まで

対象となるのは、

「平成17年11月30日」までに製造された機器
無線機器型式検定規則による検定に合格した「検定機器」
特定無線設備の技術基準適合証明等に関する規則により認証された適合表示無線設備

経過措置として、「平成19年11月30日」までに製造された機器（一部例外あり）、検定に合格した検定機器、または認証された適合表示無線設備も対象となります。

2017年（平成29年）12月1日以降は再免許・再登録のみ可能となっています。

例外措置

宇宙局の無線設備（人工衛星局、衛星基幹放送局、衛星基幹放送試験局）は、設置し続ける限り再免許が可能です。
検定機器は設置が継続される限り検定合格の効力が有効とされ、再免許が可能です。
さらに、新型コロナウイルス感染症の影響により、一部を除き、使用期限が「当分の間」延期されました。

2021年（令和3年）8月3日以降、新たな使用期限が設定されるまでの旧技術基準の無線設備を用いた既設局の免許・登録及び使用については以下のようになります。

再免許・再登録は可能
「令和4年12月1日以降は、新たな使用期限が設定されるまで他の無線局の運用に妨害を与えない場合に限り使用可能」
「平成29年12月1日」以降の免許状・登録状にあった「免許・登録の有効期限（新技術基準の無線設備と混在する場合は旧技術基準の無線設備の使用期限）は令和4年11月30日まで」の条件は、「令和4年12月1日以降、他の無線局の運用に妨害を与えない場合に限り使用することができる」との条件が付されているとみなされます。
上記の人工衛星に搭載された無線局の無線設備及び検定機器の使用が継続できることは変わりません。
免許不要局（市民ラジオと小電力無線局）は適合表示無線設備によるため、同様に使用期限が「当分の間」延長されます。ただし、一部には規制の適用が除外されるものがあります。

発振回路におけるスプリアス

水晶振動子やセラミック発振子には、主振動以外に高調波振動や別の振動モードに起因するスプリアスが存在します。これにより、意図しない周波数で発振が起こることがあります。これをスプリアス発振と呼びます。意図的に整数倍の周波数の共振点で発振させる場合はオーバートーン発振と言い、おおむね20MHz以上の水晶発振子はオーバートーン発振で意図した周波数を得るように設計されています。

まとめ

スプリアスは無線通信において避けて通れない問題であり、適切な対策が求められます。技術基準の改正や旧技術基準の機器の使用期限など、関連する情報を常に把握しておくことが重要です。

関連項目

電波障害
周波数
高調波

外部リンク

* 無線設備のスプリアス発射の強度の許容値 - 総務省 電波利用ホームページ

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