スプレッド (食品)

スプレッドとは、パンやクラッカーなどに塗る「塗り物」を指します。英語の動詞「spread（広げる、薄く延ばす）」に由来する言葉で、その用途を的確に表しています。

スプレッドの種類

スプレッドは、その原料や製法によって多岐にわたります。代表的なものをいくつかご紹介しましょう。

乳製品
バター：牛乳から作られる、風味豊かなスプレッドの定番。料理にもお菓子作りにも欠かせません。
ムナボイ：牛乳を原料とした、中央ヨーロッパ発祥のスプレッド。
クリーム：生クリームを泡立てたもの。ケーキやデザートのデコレーションによく使われます。
カスタードクリーム：牛乳、卵、砂糖などを煮て作る、甘くて濃厚なクリーム。
クロテッドクリーム：イギリスの伝統的なクリーム。スコーンにジャムと一緒に添えられることが多いです。
チーズ・スプレッド：チーズをベースに、ハーブやスパイスなどを加えたもの。
リプタウアー：ハンガリー発祥のチーズ・スプレッド。パプリカなどの香辛料が使われています。
クリームチーズ：柔らかく、なめらかなチーズ。パンやベーグルによく合います。
ドゥルセ・デ・レチェ：牛乳と砂糖を煮詰めて作る、濃厚な甘さのキャラメル。
油脂
マーガリン：植物油を原料とした、バターの代替品。
ファットスプレッド：マーガリンよりも植物油の割合が高いもの。
獣脂：動物の脂肪を精製したもの。ラードやシュマルツがあります。
シュマルツ：豚の背脂を溶かして作る、風味豊かなスプレッド。
ラード：豚の脂肪を精製したもの。揚げ物や炒め物に使われます。
種子由来
ピーナッツバター：ピーナッツをすり潰して作る、香ばしいスプレッド。
タヒーニ (Tahini)：ゴマをすり潰して作る、中東発祥のペースト。
フムス：ひよこ豆をペースト状にした、中東発祥の料理。パンや野菜につけて食べます。
ハルヴァ：穀物やナッツ、野菜などを練り上げて作る、甘いお菓子。
ヌテラ：ヘーゼルナッツとチョコレートのスプレッド。
チョコスプレッド：チョコレートをベースにしたスプレッド。
マーシャルビーンズ（チョコ大豆）：大豆にチョコレートをコーティングしたお菓子。
師管液由来
メープルシロップ、メープルクリーム、メープルバター：カエデの樹液から作られる、甘くて風味豊かなスプレッド。
モラセス：砂糖を精製する際にできる、黒くて粘り気のある液体。
果物由来
ジャム：果物と砂糖を煮詰めて作る、甘くて美味しいスプレッド。
マーマレード：柑橘類の果皮を煮詰めて作るジャム。
スラトコ：バルカン半島発祥の、果物をシロップで煮たもの。
肉由来
パテ：肉やレバーなどをペースト状にしたもの。
フォアグラ：ガチョウやアヒルの肝臓を肥大化させたもの。
リエット：豚肉などを長時間煮込んで、繊維状にしたもの。
クレトン：豚肉を煮込んで作る、カナダの伝統的なスプレッド。
その他
蜂蜜：ミツバチが集めた蜜から作られる、自然な甘さのスプレッド。
マーマイト：酵母エキスを原料とした、独特の風味を持つスプレッド。
ベジマイト：マーマイトと同様に、酵母エキスを原料としたスプレッド。
香辛料由来
ビベルサルチャ（唐辛子）：唐辛子をペースト状にしたもの。

食品に関する基準（アメリカ食品医薬品局 FDA）

アメリカ食品医薬品局（FDA）は、ジャムとスプレッドを区別する基準を設けています。この基準によると、果実と砂糖を煮詰めて作る「ジャム」のうち、糖度65%以上でかつフルーツを45%以上含むものをジャムと定義し、糖度65%以下のものをスプレッドと呼びます。

スプレッドの多様な楽しみ方

スプレッドは、パンやクラッカーに塗るだけでなく、様々な料理やお菓子作りにも活用できます。例えば、チーズ・スプレッドを野菜スティックにつけたり、ピーナッツバターをクッキーの生地に混ぜたり、ジャムをヨーグルトに入れたりするなど、アイデア次第で楽しみ方が広がります。

関連項目

ディップ (調味料)
ペースト
トースト
菓子パン
フィリング
コンフィテューレ（Konfitüre）

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