スペシャル・デリバリー・ジョーンズ

スペシャル・デリバリー・ジョーンズ：影のヒーローの軌跡

1945年3月30日、西インド諸島アンティグア島に生まれたコナード・エフライム。彼は後に、プロレス界でスペシャル・デリバリー・ジョーンズ（S.D.ジョーンズ）として知られる存在となる。幼少期に家族と共にニューヨークへ移住した彼は、そこでボディビルやウエイトリフティングに励み、逞しい肉体を手に入れた。

華麗なるキャリアの始まり

1971年、ニューヨーク出身のプエルトリコ系黒人レスラー、ジョニー・ロッズの指導の下、プロレスラーとしてのキャリアをスタートさせる。リングネームは「スペシャル・デリバリー・ジョーンズ」。その名の通り、彼のファイトスタイルはスピード感あふれるものであった。WWWF（後のWWF）を主戦場として活躍し、MSG定期戦の前座を飾る名ジョバーとして、瞬く間に人気を博していく。

多彩なタッグチームと挑戦

WWWFでの活躍後、彼はNWAミッドアトランティック地区へも進出。ここではルーファス・ジョーンズの「従兄弟」であるルーズベルト・ジョーンズとして活動し、ルーファスとタッグを組んでミネソタ・レッキング・クルーと激しい抗争を繰り広げた。また、NWAハリウッド・レスリングではポークチョップ・キャッシュ、トム・ジョーンズらとタッグを組み、NWAアメリカス・タッグ王座を3度獲得するなど、輝かしい実績を残した。

WWWFに戻った彼は、ボボ・ブラジルらとタッグを組み、ジ・エクスキューショナーズやスタン・ハンセン&ブルーザー・ブロディといった強豪タッグチームに挑戦。1981年には、トニー・アトラスとタッグを組み、ミスター・サイトー&ミスター・フジのWWFタッグ王座に挑戦した。

新日本プロレスでの活躍とヒール転身

1982年には、新日本プロレスに初来日。アブドーラ・ザ・ブッチャー率いるヒール軍団の一員として、ハルク・ホーガンや長州力らと対戦。特に、長州力との対戦は、長州力による「かませ犬」発言のきっかけとなった試合として知られている。

名ジョバーとしての地位確立

WWFでの活躍は、次第に「ジョバー」としての役割が中心となっていく。マディソン・スクエア・ガーデンでのデビュー戦で新鋭ヒールを迎え撃ち、その強さをアピールするための踏み台としての役割を担うこともあった。

レッスルマニアでの伝説と引退

1985年、レッスルマニア第1回大会で、キングコング・バンディに9秒で敗北。この試合は、彼のキャリアを象徴する、そして彼のジョバーとしての地位を決定づける瞬間となった。この9秒殺は、多くのファンに語り継がれる伝説となっている。1990年代にはアクションフィギュアも発売され、その人気は衰えることなく続いた。1991年に引退するまで、彼は常にリングに立ち続け、ヒール勢の引き立て役として、その存在感を示し続けた。

死後も続くレガシー

2006年には、盟友トニー・アトラスのWWE殿堂入り式典でインダクターを務めた。2008年10月26日、生誕地アンティグア島で脳卒中のため63歳で死去。WWEは彼を「WWEの影のヒーロー」と称え、2019年にはWWE殿堂のレガシー部門に迎えられた。彼の功績は、今もなお語り継がれている。

得意技

ヘッドバット
ドロップキック

獲得タイトル

NWAアメリカス・タッグ王座（3回）
WWE殿堂（レガシー部門）

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