スリランカの鉄道

スリランカの鉄道

スリランカの鉄道は、19世紀にイギリスによって敷設が開始され、その歴史は植民地時代にまで遡ります。当初は、コーヒーや紅茶などの農産物輸送を主な目的としていましたが、その後、山岳地帯や海岸沿いなど、島内の様々な地域へと路線が拡大していきました。現在では、総延長1,561kmに及ぶ路線網が整備され、旅客輸送において重要な役割を担っています。

概要

スリランカの鉄道は、1858年にイギリスによって建設が開始されました。これは、当時イギリスの植民地であったセイロン島における農産物の輸送を効率化するためでした。建設当初は、狭軌（762mm）の軽便鉄道規格でしたが、後に広軌（1676mm）に統一されました。現在、鉄道の運営は運輸省の直轄で行われています。電化区間は存在せず、主要路線を中心に複線化が進められています。蒸気機関車は全廃され、現在はドイツ、日本、アメリカ、イギリス、ハンガリーなど、様々な国から輸入されたディーゼル機関車が使用されています。輸送面では自動車に押され気味ですが、都市間列車「Intercity Express」などの速達列車を運行し、旅客輸送における鉄道の比率は6.0%を維持しています。毎日約372,000人が鉄道を利用しており、食堂車や寝台車、観光客向けの展望車も連結されています。

2019年3月8日には、国際女性デーに合わせて女性専用車両の導入が発表され、女性の利用者の利便性向上に努めています。

歴史

スリランカの鉄道は、1858年8月3日にコロンボ～キャンディ間で建設が始まりました。これは、プランテーションからの農産物輸送を目的としたものでした。1864年12月27日には、最初の機関車がコロンボ・ターミナス駅～アンベプッサ駅間を走行し、1865年10月2日に正式開業しました。その後、1867年4月26日にはキャンディ駅までが開業し、メインラインは順調に延伸しました。また、支線も建設され、1880年にはマータレーライン、1885年にはコーストライン、1905年にはノーザンラインが開業しました。1914年には、インドとの物資輸送のためにマンナールラインが建設されました。

当初は全線単線でしたが、1926年10月にはメインラインの一部区間が、1933年9月にはコーストラインの一部区間が複線化されました。内戦中は北部・東部の鉄道網が寸断されましたが、終戦後は復旧工事と高速化工事が並行して進められています。2019年1月6日には、中国の融資によってコーストラインの延伸区間が開業しました。

2018年には、日本の国際協力機構（JICA）の支援でコロンボ市内にライトレールを建設する計画が始まりましたが、2020年に事業は撤回されました。

事業者

スリランカ鉄道が運営しています。

主要路線

メインライン: コロンボ～ポルガハウェラ～キャンディ～バンダラウェラ～バドゥッラを結ぶ路線。1865年に一部開業し、1924年に全線開通しました。ポルガハウェラ以東は山岳路線で、ヌワラ・エリヤなどの紅茶畑が広がる美しい景観が楽しめます。
コーストライン: コロンボ～ゴール～マータラ～ベリアッタを結ぶ路線。1877年に一部開業し、1895年にマータラまで全線開通しました。海岸沿いを走るため、海の景色を一日中楽しむことができます。しかし、2004年のスマトラ島沖地震の際には津波の被害を受けました。2019年1月6日には、ベリアッタまで延伸されました。
プッタラムライン: ラーガマ～プッタラムを結ぶ路線。1912年に一部開業し、1926年に全線開通しました。沿線にはバンダラナイケ国際空港があり、空港関係者向けの輸送も行われています。
ケラニバレィライン: コロンボ～アビッサウェッラを結ぶ路線。1919年に全線開通しました。開通当初は狭軌でしたが、後に広軌に改軌されました。
マータレーライン: キャンディ～マータレーを結ぶ路線。1880年に全線開通し、メインラインの支線です。
ノーザンライン: ポルガハウェラ～バブニヤ～ジャフナ～カンカサントゥレイを結ぶ路線。1903年に一部開業し、1905年に全線開通しました。内戦中は大きな被害を受けました。
マンナールライン: メダワッチチーヤ～マンナール～タライマンナールを結ぶ路線。1914年に全線開通しました。インドへの航路があったタライマンナールへ向かいます。
バッティカロアライン: マーホ～ポロンナルワ～バッティカロアを結ぶ路線。1928年に全線開通しました。東海岸のバッティカロアへと続いています。
トリンコマリーライン: ガル・オヤ～トリンコマリーを結ぶ路線。1928年に全線開通しました。バッティカロアラインの支線で、東海岸北部のトリンコマリーへと続いています。

車両の等級

昼行列車:
1等車: コロンボ～キャンディ間のインターシティなど、限られた列車に連結。全席指定席です。
展望車: 観光客向けに設定されており、主に列車の最後尾に設置されています。
エアコン車: 通常の1等車です。
2等車: 2人がけの座席が通路を挟んで両側にあります。
3等車: 2～3人が座れる対面シートが通路を挟んで両側にあります。

夜行列車:
1等車: 寝台が付いています。
2等車、3等車: 寝台はなく、昼行列車と同じような座席のみです。

車内では、果物やお菓子、飲料などの車内販売も行われています。

その他の情報

車内販売では、「kalada」と呼ばれる大豆のような豆を茹でて薄く塩味をつけたものも販売されています。

関連項目

スリランカの鉄道駅一覧
スリランカ鉄道
インドの鉄道
スリランカの交通

外部リンク

* スリランカ鉄道局（英語）（シンハラ語）（タミル語）

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