セックス喜劇 鼻血ブー

セックス喜劇 鼻血ブー

『セックス喜劇 鼻血ブー』は、1971年に東映が製作・配給した日本映画です。高桑信が監督を務め、左とん平が主演しています。この映画は、早漏という男性特有の悩みをコミカルに描いた異色のセックスコメディとして知られています。R18+指定で公開され、当時の観客に衝撃と笑いを提供しました。

あらすじ

物語の主人公は、太平洋モーターズの営業マン・早田勇（左とん平）。彼は重度の早漏に悩まされており、そのせいで営業成績はいつも最下位。やっとのことで契約を取り付けそうになった顧客も、ライバル会社のセールスウーマン・小川夏子（桑原幸子）に奪われてしまいます。しかし、この夏子が実は太平洋モーターズの社長・小川幾太郎（太宰久雄）の娘だったことから、事態は思わぬ方向に展開します。

ひょんなことから夏子は早田に惹かれますが、早田は早漏のせいでなかなか関係を進展させることができません。焦れる夏子と、悩む早田。そんな中、早田は会社の同僚でトップセールスマンの加山達也（小池朝雄）の策略によって会社をクビになってしまいます。

失意の中、早田は大学時代の友人・細井友彦（小松政夫）と再会します。細井は早漏防止用のコンドームを研究しており、自身も早漏に悩んでいました。さらに、太平洋モーターズの社長をはじめ、周りの男たちも実は早漏だったことが発覚します。早田は細井と共に、世の早漏に悩む男たちを救うべく研究に協力することを決意します。

キャスト

早田勇：左とん平
細井友彦：小松政夫
小川幾太郎：太宰久雄
小川夏子：桑原幸子
小川勝子：根岸明美
清水大六：山城新伍
清水百合江：賀川雪絵
加山達也：小池朝雄
神村勢力斉：小松方正
加代子：集三枝子
寺沢：村上不二夫
鈴木：三角八郎
照代：桂ルミ
みどり：由紀梨絵
花代：英ミエ
ぽん太：松井康子
玉奴：小林千枝
晶子：竹村清女
京子：林家眠々
あけみ：梶原真由美
ドクトル西垣：松窪耕平
山辺トモコ：丹下キヨ子
葬儀屋：萩本欽一
紳士：東光生
綾子：三原葉子
老婦人：武智豊子
お多福の客：佐藤晟也、須賀良
トラックの運転手：五野上力
体操の指導員：ストレートコンビ
満州娘：杉本美樹
眼鏡さん：大村崑
太平：渡辺正美

スタッフ

監督：高桑信
脚本：山本英明、松本功
企画：扇沢要、安斉昭夫
撮影：仲沢半次郎
美術：中村修一郎
音楽：津島利章
録音：井上賢三
照明：銀屋謙蔵
編集：祖田富美夫
助監督：三堀篤

製作の背景

本作は、東映の岡田茂プロデューサーが企画した「㊙シリーズ」の一環として製作されました。ただし、タイトルには「㊙」は含まれていません。岡田は1969年に『謝国権「愛(ラブ)」より ㊙性と生活』という体位をテーマにした映画を製作しており、本作もその流れを汲む作品と言えます。

タイトルは、当時流行していた谷岡ヤスジの漫画『ヤスジのメッタメタガキ道講座』のセリフ「鼻血ブー」を拝借していますが、内容自体は谷岡ヤスジの漫画とは全く関係がありません。本作は早漏防止法をテーマにした珍しい映画として注目されました。

脚本制作にあたり、東映は一般男女から早漏に関する体験談を募集しました。この募集は、1970年9月17日号の『週刊平凡』に掲載されており、企画は1970年夏頃に始まったと推測されます。

監督の高桑信は、東映で長年助監督を務めた後、前年に監督に昇格。本作では、任侠路線とエロ路線の両方の監督を務めるという、当時の東映の特色を反映した作品となりました。葬儀屋役で出演している萩本欽一は、本作が唯一の東映映画出演です。また、杉本美樹は本作がデビュー作とされています。

タイトルについて

当初のタイトルは『セックス恐怖症・早漏防止法』でしたが、映倫の審査で「ストレートすぎる」という理由で変更を要請されました。その後、『男性強化法』というタイトルに変更されましたが、「ボディービル映画のようだ」という意見が出たため、最終的に『セックス喜劇 鼻血ブー』となりました。このタイトル変更は、当時流行していた「鼻血ブー」という言葉を無理やり取り入れたもので、一部からは批判の声も上がりました。

同時上映

本作は、『暴力団再武装』（主演：鶴田浩二、監督：佐藤純彌）と同時上映されました。

興行成績

公開3日後には、東映本社で記者会見が開かれました。この会見で、岡田茂常務は今後の製作方針について説明し、「今後は、鶴田浩二や高倉健といったスターに頼りすぎず、菅原文太や梅宮辰夫といった若手スターを起用していく」と語りました。当時の東映は、岡田茂の才能により、映画部門が波に乗っていました。

脚注

注釈

出典

外部リンク

セックス喜劇 鼻血ブー - KINENOTE
セックス喜劇 鼻血ブー - IMDb

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