タンジャーヴール

タンジャーヴール：歴史と文化が息づく古都

タンジャーヴール（タミル語：தஞ்சாவூர், Thanjavur）は、インド南部のタミル・ナードゥ州に位置する都市で、同名のタンジャーヴール県の県庁所在地です。カーヴェーリ川の豊かな恵みを受けたこの地は、古代から重要な拠点として栄えてきました。その歴史は古く、数々の王朝の興亡を見守ってきた、まさに生きた歴史博物館とも言えるでしょう。

名称の由来

タンジャーヴールは、イギリス統治時代にはタンジョール（Tanjore）と呼ばれていました。この都市の名前には、興味深い伝説が残っています。それは、阿修羅タンジャンの名に由来するというものです。アーナンダヴァッリ・アンマンとニーラメーガ・ペルマールによって討伐されたこの阿修羅にちなみ、「タンジャンの町」という意味でタンジャーヴールと名付けられたと伝えられています。また、インド大統領や首相が搭乗する政府専用機の名称「タンジョール」も、この都市名から取られています。

歴史

タンジャーヴールの歴史は、11世紀のチョーラ朝時代に遡ります。当時のチョーラ朝は全盛期を迎えており、ラージャラージャ1世の時代には、壮大なラージャラージェーシュヴァラ寺院が1010年に完成しました。この寺院は、現在ではブリハディーシュワラ寺院として世界遺産に登録されており、タンジャーヴールの象徴的な存在となっています。16世紀には、ヴィジャヤナガル王国のタンジャーヴール・ナーヤカ朝の首都となり、17世紀にはラグナータ・ナーヤカがゴールコンダ王国との戦いで活躍しました。1675年には、シヴァージーの弟であるヴィヤンコージー（エコージー）がタンジャーヴール・マラーター王国を建国。同国は、マラーター同盟の一翼を担いました。

地理

タンジャーヴールは、北緯10度48分、東経79度9分に位置しています。周辺の主要都市からの距離は、以下の通りです。

チェンナイまで：約334km
ティルッチラーッパッリまで：約55km
マドゥライまで：約158km
コーヤンブットゥールまで：約258km
カンニヤークマリまで：約400km

これらの距離からも、タンジャーヴールが南インドの主要都市との交通の要衝であったことが伺えます。

文化と現代

タンジャーヴールは、その豊かな歴史と文化から、今なお多くの人々を魅了し続けています。市内には、ブリハディーシュワラ寺院以外にも、数多くの寺院や歴史的建造物が点在しており、歴史好きや文化愛好家にとっては見逃せない場所でしょう。また、日本のフュージョンバンドT-SQUAREのアルバム「Sweet&Gentle」（1999年）には、「FROM TANJAVUR」という楽曲が収録されており、音楽を通じてタンジャーヴールを知るきっかけになるかもしれません。

関連情報

タミル・ナードゥ州
タンジャーヴール県
ユネスコ世界遺産 「タンジャーヴールのブリハディーシュワラ寺院」

タンジャーヴールは、歴史と文化が織りなす魅力的な都市です。インドを訪れる際には、ぜひ足を運んでみてください。

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