ダイレクト三々

ダイレクト三々とは

ダイレクト三々とは、囲碁の序盤において、相手が打った星に対して、間を置かずに直接三々に打ち込む手法のことです。かつては、星への三々入りは相手に厚みを与えるとして、慎重に打つべきとされていました。しかし、囲碁AI「AlphaGo」がこの手法を多用し、有力な戦略として認識されるようになりました。

この名称は、2018年5月から河野臨九段が週刊碁の連載タイトルに使用したことで定着しました。

ダイレクト三々の登場

従来、星への三々入りは、相手の勢力を強化する恐れがあるため、タイミングを見計らって打つのが一般的でした。例えば、星から両辺に展開した後に、相手の勢力を削る目的で打たれることがありました。

しかし、「AlphaGo」は、序盤の早い段階で三々入りを打ち、勝利を重ねました。このことがきっかけとなり、ダイレクト三々が注目されるようになったのです。

ダイレクト三々への対応策

ダイレクト三々に対しては、様々な対応策が研究されています。主なものとして、以下の3つが挙げられます。

二段バネ

黒が三々に打ち込まれた際、二段バネで応じるのは古くからある手法ですが、ダイレクト三々への対抗策としても有効です。白が抱えてきた場合、黒は隅を確保して一段落となります。また、白がハネ切ってきた場合は、黒はツギ、白は一子を取るのが一般的です。

ノビ

黒が単にノビるのも、有力な対応策です。白がスベリで応じれば一段落となります。また、白がハネてきた場合は、黒もハネて、その後の展開を考えます。

ケイマ

黒がケイマに外す手も有力です。白が応じれば、ノビと同様の形になります。また、黒が二段バネで応じる手や、内側に切る手も有力です。特に内側に切る手は複雑な変化を含んでいます。

ダイレクト三々の活用

ダイレクト三々は、右辺の黒の星と小ゲイマジマリの布石に対して、有効な攻め方として活用されています。従来は、白がワリウチを打った場合、黒が封鎖して模様を広げるのが有力とされていましたが、現在では、白がダイレクト三々に打ち込むことで、黒の模様を広げさせない打ち方が有力とされています。

ダイレクト三々の評価

ダイレクト三々は、星に対する従来のアプローチに代わる新たな手法として、囲碁の世界に大きな影響を与えました。AIが開発した数々の手法の中でも、特に代表的なものとされています。井山裕太九段は、ダイレクト三々を「AI時代を象徴する新しい定石」と評しています。

しかし、ダイレクト三々の登場によって星の価値が下がったわけではありません。また、ケイマに外す手から難戦となるケースも増えており、囲碁の戦略はさらに多様化しています。

まとめ

ダイレクト三々は、AIの登場によって生まれた新しい囲碁の戦略です。この戦法の登場は、従来の囲碁の常識を覆し、囲碁の戦術に大きな変革をもたらしました。今後も、ダイレクト三々に関する研究や対応策は進んでいくと考えられます。

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