チャリング・クロス駅 (ロンドン地下鉄)

ロンドン地下鉄チャリング・クロス駅：複雑な歴史と魅力的な現在

ロンドンのウェストミンスター地区、チャリング・クロスにある同名の地下鉄駅は、ノーザン線とベーカールー線の2路線が乗り入れる主要駅です。トラファルガー広場やナショナルギャラリー、そしてナショナルレールのチャリング・クロス駅にも近く、ロンドンの観光の中心地に位置しています。

この駅の最大の特徴は、その複雑で興味深い歴史にあります。現在の駅は、ノーザン線とベーカールー線の駅が統合された結果であり、それぞれの路線は異なる開業時期と駅名を持っていました。さらに、かつてはジュビリー線が乗り入れていた時期もあり、その痕跡は現在も駅に残されています。

複雑な歴史：複数の路線と駅名の変遷

ベーカールー線のホームは1906年、「トラファルガー・スクエア駅」として開業しました。一方、ノーザン線のホームは1907年、「チャリング・クロス駅」として開業しました。当初、両駅は独立しており、乗換には地上に出る必要がありました。

乗換の利便性を向上させるため、ノーザン線は1914年に延伸し、ベーカールー線やディストリクト線と接続する新駅が開業しました。この結果、狭い範囲に複数の駅が混在する状況となり、駅名は幾度となく変更されました。「チャリング・クロス駅」という名称も、様々な駅が名乗ってきた歴史があり、現在の駅が「チャリング・クロス駅」を名乗るようになったのは比較的最近のことです。

1979年にはジュビリー線が乗り入れを開始し、ノーザン線、ベーカールー線と統合された現在の駅が開業しました。しかし、ジュビリー線のチャリング・クロス駅は1999年に廃止され、グリーンパーク駅が終点となりました。これは、ジュビリー線の延伸計画によるものでした。

ジュビリー線ホームのその後

ジュビリー線のホームは現在、廃線となっているものの、映画やテレビドラマの撮影現場として人気があります。その独特な雰囲気と近代的な廃墟という、独特の美しさを持つ場所として、多くの作品に登場しています。「MI-5 英国機密諜報部」や「28週後...」などの作品で使用され、その存在感を示しています。また、ロンドン交通局のオーディション会場としても使用された歴史もあります。

将来的なドックランズ・ライト・レイルウェイの延伸計画で、このホームの再利用が検討されたこともありましたが、実現には至っていません。

芸術と文化：壁画と周辺環境

ノーザン線のホームには、チャリング・クロスにまつわる歴史を描いた長さ100メートルの壁画があります。エドワード1世の妻、エリナー・オブ・カスティルから始まる歴史が表現されており、駅を利用する人々に歴史を感じさせる空間となっています。

駅周辺は、トラファルガー広場、ナショナルギャラリー、カナダハウス、サヴォイホテルなど、ロンドンの主要な観光名所が集中しています。駅はこれらの観光地へのアクセス拠点として、多くの観光客に利用されています。

アクセスと周辺情報

チャリング・クロス駅は、ノーザン線とベーカールー線の複数の駅と接続し、ロンドンの広範囲へのアクセスを提供しています。多くのバス路線も乗り入れており、公共交通機関のハブとしての役割を果たしています。

チャリング・クロス駅は、その複雑な歴史、芸術的な空間、そしてロンドン中心部というロケーションから、単なる交通機関以上の存在感を示す、魅力あふれる駅です。

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