テラーク・インターナショナル・コーポレーション(Telarc International Corporation)
テラーク・インターナショナル・コーポレーションは、
1977年にジャック・レナーとロバート・ウッズによって
オハイオ州クリーブランドで設立された、
アメリカ合衆国の独立系レコードレーベルです。設立当初よりデジタル録音技術を積極的に採用し、高音質を追求する姿勢で、音楽ファンやオーディオ愛好家から高い評価を得てきました。
歴史
当初は
クラシック音楽のレーベルとして、
シンシナティ交響楽団や
クリーヴランド管弦楽団など、著名なオーケストラの録音を数多く手がけました。その後、
ジャズ、
ブルース、
カントリー・ミュージックなど、取り扱う音楽ジャンルの幅を広げていきました。
現在は、コンコード・ミュージック・グループの傘下にあり、コンコードの配給は
ユニバーサル ミュージック グループが行っています。日本での発売は、ユニバーサル ミュージック合同会社が担当しています。
沿革
1977年:ジャック・レナードとロバート・ウッズがオハイオ州クリーブランドに設立。ダイレクト・カッティングLPを発売し、音質を重視して西ドイツのテルデック社でプレスを行いました。
1978年:アメリカのレコード会社として初めてデジタル録音を導入しました。
1980年:オーディオテクニカの子会社テクニカエンタープライズを通じて、日本での輸入販売を開始しました。
1980年:エリック・カンゼル指揮、
シンシナティ交響楽団によるチャイコフスキー「1812年」を発売。大砲の実射音を収録したオーディオファイルレコードとして、クラシックレコードとしては異例のヒットを記録しました。
1981年:日本での輸入販売代理店が日本フォノグラムに移管されました。
1981年:
コンパクトディスク(CD)の登場を受け、ソニーのデジタルPCMプロセッサーとデジタル編集機を導入しました。
1983年:初のCDを発売。日本でプレスされました。
1987年頃:A/Dコンバーターに20ビット方式を採用した録音を開始しました。
1996年:コンテンポラリー・ジャズ・レーベル、ヘッズ・アップ・インターナショナルを合併し、子会社化しました。
1996年:24ビット方式の使用を開始しました。
1998年:DSD方式による録音を開始しました。
2000年:SACDの発売を開始しました。
2001年:初期のサウンドストリーム社の機器で録音したデジタルデータをDSD化したSACDを発売しました。
2005年:コンコード・ミュージック・グループがテラークとヘッズ・アップを買収しました。
2009年:事業縮小により自社録音を停止しました。
技術と音質
テラークは、元々スピーカーメーカーであるARC社の製品テストテープを制作していたことがきっかけで設立されました。そのため、音質には非常にこだわりを持っており、LPはテルデック社、CD/SACDは米Sony DADCでのみプレスを許可しています。この音質へのこだわりは「テラーク・サウンド」として知られています。
音作りの基準として、1950年代にマーキュリー・レコードが発売した「リヴィング・プレゼンス」シリーズを参考にしています。全指向性マイクロフォンを使用し、リミッターやイコライザーに頼らない、明瞭な定位を確保したサウンドが特徴です。
デジタル録音技術の導入にも積極的で、初期にはサウンドストリーム社のデジタル録音機を採用し、その後ソニー製のデジタル録音機に切り替えました。また、20ビットA/Dコンバーターや24ビット方式、DSD方式など、常に最新の技術を導入し、高音質を追求してきました。
2009年の事業縮小
2009年2月、コンコード・ミュージック・グループはテラークの事業縮小を発表し、自社録音を停止しました。これにより、長年テラークと協力関係にあったエリック・カンゼルとシンシナティ・ポップスとの関係も終了しました。
ロバート・ウッズは社長を辞任し、後任にはヘッズ・アップの社長デイヴ・ラヴが就任しました。また、テラークのプロダクション・チームは独立し、ファイヴ/フォー・プロダクションズを設立しました。
主なアーティスト
テラークでは、数多くの著名なミュージシャンや指揮者、オーケストラが録音を行ってきました。
クラシック
指揮者:エリック・カンゼル、
ユージン・オーマンディ、小澤征爾、
ロリン・マゼールなど
ピアニスト:ルドルフ・ゼルキン、ラン・ランなど
オーケストラ:アトランタ交響楽団、
クリーヴランド管弦楽団、
ボストン交響楽団、
シンシナティ交響楽団など
上原ひろみ(ピアノ)
ミシェル・カミロ(ピアノ)
オスカー・ピーターソン(ピアノ)
ジュニア・ウェルズ
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ジェイムズ・コットン