デスティニー (チャカ・カーンのアルバム)

アメリカの著名な歌手、チャカ・カーン1986年にリリースしたソロ名義としては6枚目のスタジオ・アルバムが『デスティニー』(Destiny)です。

アルバムの背景



このアルバムには、後の映画で使用されることとなる楽曲が含まれています。例えば、「アザー・サイド・オブ・ザ・ワールド」は、ジェネシスのメンバーであるマイク・ラザフォードがソングライティングに貢献しており、アルバムのリリースに先駆けて1985年公開のアメリカ映画『ホワイトナイツ/白夜』のサウンドトラックに採用されました。また、「マイ・デスティニー」は、1986年5月に公開されたアメリカ映画『ジョ・ジョ・ダンサー』で使用され、同作品のサウンドトラック・アルバムにも収録されています。収録曲の一つである「ラヴ・オブ・ア・ライフタイム」は、イギリスのバンド、スクリッティ・ポリッティの中心人物グリーン・ガートサイドとデヴィッド・ガムソンによって共作されました。

収録曲



アルバムには以下の全11曲が収録されています。主要なプロデューサーはアリフ・マーディンです。

1. ラヴ・オブ・ア・ライフタイム (Love of a Lifetime)
- 作詞・作曲: David Gamson, Green Gartside
- 時間: 4:21
- プロデュース: グリーン・ガートサイド, デヴィッド・ガムソン, アリフ・マーディン
2. アース・トゥ・ミッキー (Earth to Mickey)
- 作詞・作曲: Charlie Singleton
- 時間: 5:41
- プロデュース: アリフ・マーディン
3. ウォッチング・ザ・ワールド (Watching the World)
- 作詞・作曲: Richard Page, Steve George, John Lang
- 時間: 4:44
- プロデュース: アリフ・マーディン, ジョー・マーディン
4. アザー・サイド・オブ・ザ・ワールド (The Other Side of the World)
- 作詞・作曲: B. A. Robertson, Mike Rutherford
- 時間: 3:41
- プロデュース: アリフ・マーディン, ジョー・ブキャナン
5. マイ・デスティニー (My Destiny)
- 作詞・作曲: Chaka Khan
- 時間: 4:39
- プロデュース: アリフ・マーディン, フィリップ・セス, チャカ・カーン
6. あなただけに (I Can't Be Loved)
- 作詞・作曲: Glen Ballard, Randy Goodrum
- 時間: 4:30
- プロデュース: レジー・グリフィン, ジョー・マーディン, アリフ・マーディン
7. イッツ・ユー (It's You)
- 作詞・作曲: Tony Patler, Portia Griffin
- 時間: 4:19
- プロデュース: アリフ・マーディン, レジー・グリフィン
8. ソー・クロース (So Close)
- 作詞・作曲: Pam Tillis, Richard Feldman, Marcy Levy
- 時間: 4:19
- プロデュース: ボー・ヒル, アリフ・マーディン
9. タイト・フィット (Tight Fit)
- 作詞・作曲: Bunny Siegler, Marvin Morrow
- 時間: 4:39
- プロデュース: ラス・タイトルマン, アリフ・マーディン
10. フーズ・イット・ゴナ・ビー (Who's It Gonna Be)
- 作詞・作曲: Gary Goetzman, Mike Picirillo
- 時間: 4:37
- プロデュース: アリフ・マーディン, ジョー・マーディン
11. コルトレーン・ドリームス (Coltrane Dreams)
- 作詞・作曲: Arif Mardin, Julie Mardin, C. Khan
- 時間: 1:41
- プロデュース: アリフ・マーディン, センギッツ・ヤルトカーヤ

反響と評価



『デスティニー』は商業的にも一定の成功を収めました。アメリカの総合アルバム・チャートであるBillboard 200では72位、ビルボードのR&Bアルバム・チャートでは25位にランクイン。特に先行シングル「ラヴ・オブ・ア・ライフタイム」はBillboard Hot 100で53位に達し、そのリミックス・バージョンはビルボードのダンス・ミュージック/クラブ・プレイ・シングル・チャートで11位、R&B/ヒップホップ・チャートで21位を記録しています。国際的には、スウェーデンのアルバム・チャートで最高13位をマークし、8週連続でトップ40に留まる健闘を見せました。

このアルバムは評価の面でも注目されました。第29回グラミー賞において、本作は最優秀女性R&Bパフォーマンス賞にノミネートされています。音楽評論家のアレックス・ヘンダーソンはオールミュージックでのレビューで、5点満点中3点を付与し、「Watching the World」「The Other Side of the World」「So Close」といった楽曲はR&Bよりもポップやロックの色が濃いと指摘。全体としては「完璧ではないが、マイナス面よりプラス面が圧倒的に多い」と評価し、R&Bファンのみならずポップやロックのリスナーにも推薦できる作品であると総評しています。

参加ミュージシャン



アルバム制作には、チャカ・カーン本人に加え、多くの才能あるミュージシャンが参加しました。


『デスティニー』は、チャカ・カーンのダイナミックな歌声と、R&Bに留まらない多様な音楽性を融合させた意欲的なアルバムとして、彼女のキャリアにおいて重要な作品の一つと言えるでしょう。

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