ドイツ合同福音ルター派教会

ドイツ合同福音ルター派教会（VELKD）

ドイツ合同福音ルター派教会（Vereinigte Evangelisch-Lutherische Kirche Deutschlands, VELKD）は、ドイツ国内の福音主義ルター派教会が結集した連合体です。第二次世界大戦後の1948年に設立され、ルター派の信仰と教会の一致を促進することを目的としています。

歴史的背景

VELKDの設立は、1945年のドイツ福音主義教会（EKD）の発足と深く関連しています。EKDはルター派、合同教会、改革派教会を含む幅広い教会連盟として、単一の教会を目指しましたが、ルター派州教会は教派的信仰告白を持たないEKDに対し、ルター派信仰に基づく教会を求めました。また、告白教会内の急進的な反ナチス路線に対する不満も、VELKD結成の背景にありました。

告白教会は、ナチスに対する教会闘争を担いましたが、その内部にはマルティン・ニーメラーやディートリヒ・ボンヘッファーらに代表される急進的なグループ（ダーレム主義者）と、ルター派州教会を中心とする穏健なグループが存在し、対立していました。VELKD設立においては、後者の穏健派グループが重要な役割を果たしました。

組織と加盟教会

現在、VELKDは約780万人の信徒を擁する7つの州教会で構成されています。加盟教会は、アウクスブルク信仰告白とマルティン・ルターの小教理問答を保持することを信仰告白の立場としています。

設立当初の構成教会は、バイエルン、ブラウンシュヴァイク、ハノーファー、リューベック、メクレンブルク、ザクセン、シャウムブルク＝リッペ、シュレスヴッヒ＝ホルンシュタイン、ハンブルク、テューリンゲンの10教会でした。その後、統合などを経て、現在の形になっています。

現在の加盟教会

バイエルン福音ルター派教会
ブラウンシュヴァイク福音ルター派州教会
ハノーファー福音ルター派州教会
中部ドイツ福音主義教会
北ドイツ福音ルター派教会
ザクセン福音ルター派州教会
シャウムブルク＝リッペ福音ルター派州教会

EKDとの関係

設立当初はEKDとの間に緊張関係もありましたが、現在は密接な協調関係が確立されています。VELKD加盟州教会は同時にEKDにも加盟しており、合同教会など他の州教会と共に活動しています。

VELKDの事務局は、ハノーファーのEKD本部会館内に置かれ、事務局長がトップを務めています。ここでは、VELKDとルター派世界連盟ドイツ国内委員会の職務が行われています。

指導部と職務

VELKDの重要事項は、神学的な働き、礼拝、共同体形成、教会一致運動です。指導部は、教会常議員会と監督会議で構成され、そのトップには指導監督がいます。教会総会も指導に当たります。

教会常議員会: 指導監督が選出されて成立し、指導監督が長となります。
監督会議: 監督たちと任命された教会指導部局のメンバーで構成されます。
教会総会: 立法機関であり、代議員によって構成されます。

ルター派世界連盟との連携

VELKDは、ルター派世界連盟（LWF）とも密接に連携しています。VELKDに加盟していない教会も、LWFドイツ国内委員会に加盟している場合があります。

その他のルター派教会

ドイツには、VELKDに加盟していない独立したルター派教会も存在します。これらの教会は、神学的な違いなどからVELKDに加盟していません。

シュレスヴィヒ・デンマーク人教会（DKS）
バーデン福音ルター派教会(ELKiB)
福音ルター派[自由教会]
独立福音ルター派教会(SELK)

現代におけるVELKD

東西ドイツ分断時代にも、VELKDは両地域のルター派教会を結びつける役割を果たしました。現在では、ドイツ国内のルター派教会間の協力、信仰の擁護、そしてエキュメニカルな対話に積極的に取り組んでいます。

福音主義合同教会（UEK）と対をなす組織として、VELKDはドイツにおけるルター派の重要な柱であり続けています。

もう一度検索