ニッケイ属

ニッケイ属 (Cinnamomum) について

ニッケイ属は、クスノキ科に属する常緑性の木本植物のグループで、約300種以上が熱帯から亜寒帯に広く分布しています。別名としてクスノキ属とも呼ばれます。この属の植物は、その多くが特有の芳香成分を持っており、古くから人々の生活に深く関わってきました。

特徴

ニッケイ属の植物は、常緑性で、一年を通して緑の葉を茂らせています。葉や樹皮には芳香成分が含まれており、種によって様々な香りを放ちます。

主な利用

ニッケイ属の植物は、その芳香成分から、香料や香辛料、生薬として利用されています。

樟脳: クスノキから抽出される樟脳は、防虫剤や医薬品として利用されます。
シナモン: セイロンニッケイ（シナモン）の樹皮やニッケイの根から採取されるシナモン（肉桂）は、香辛料としてだけでなく、生薬としても用いられます。

薬効

シナニッケイの樹皮は桂皮（けいひ）という生薬で、日本薬局方にも収録されています。桂皮には、体を温める作用、発汗・発散作用、健胃作用があり、多くの漢方薬に配合されています。

また、ニッケイの若い枝である桂枝（けいし）も桂皮と同様の作用がありますが、こちらは日本薬局方には収録されていません。

日本国内では、ニッケイが徳之島、沖縄島、久米島、石垣島に自生しており、その根皮が桂皮の代用として用いられることがあります。

桂皮を含む主な漢方薬

十全大補湯
八味丸
木防已湯

桂枝を含む主な漢方薬

葛根湯
安中散
柴胡桂枝湯
桂枝加芍薬湯

主な種

ニッケイ属には、以下のような種が含まれています。

クスノキ (C. camphora)
ホウショウ (C. camphora var. normale suvb. hosho)
シナニッケイ（ケイ、トンキンニッケイ、カシア）(C. cassia)
マルバニッケイ（コウチニッケイ）(C. daphnoides)
シバニッケイ (C. doederleinii)
ケシバニッケイ (C. doederleinii var. pseudodaphnoides)
ヤブニッケイ (C. japonicum)
オガサワラヤブニッケイ (C. pseudo-pedunculatum)
ニッケイ (C. sieboldii, シノニム: C. okinawense, C. pedunculatum)
シバヤブニッケイ (Cinnamomum × takusii) - シバニッケイとヤブニッケイの雑種
セイロンニッケイ (C. verum, シノニム: C. zeylanicum)

参考文献

佐竹義輔 他『日本の野生植物 木本I』平凡社、ISBN 4-582-53504-6
初島住彦・天野鉄夫 『増補訂正 琉球植物目録』 沖縄生物学会、1994年。

外部リンク

ケイヒ｜生薬について｜養命酒製造株式会社
ケイヒ｜生薬一覧｜日本漢方生薬製剤協会
* ケイヒ末｜薬の成分ディクショナリー｜エスエス製薬

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