ニューオーリンズ (重巡洋艦)

重巡洋艦「ニューオーリンズ」（USS New Orleans, CL/CA-32）

「ニューオーリンズ」は、アメリカ海軍が建造したニューオーリンズ級重巡洋艦の1番艦です。艦名はルイジアナ州ニューオーリンズに由来し、この名を持つ艦としては2隻目となります。本来は先に建造された「アストリア」がネームシップとなる予定でしたが、「アストリア」の竣工が遅れたため、「ニューオーリンズ」がネームシップとなりました。

艦歴

大戦前

1931年3月14日にニューヨーク海軍造船所で起工、1933年4月12日に進水し、1934年2月15日に就役しました。就役後、北ヨーロッパでの整調巡航を経て、ルーズベルト大統領が乗艦する重巡「ヒューストン」とパナマ運河を通過し、飛行船「メイコン」との演習を行いました。その後、アメリカ西海岸や太平洋での作戦活動に従事し、1939年にはハワイ分艦隊に配属されました。開戦が近づくにつれて警戒巡航を実施していました。

第二次世界大戦

真珠湾攻撃

1941年12月7日、真珠湾攻撃時、「ニューオーリンズ」は海軍工廠の修理地区に停泊していました。急襲を受け、機関を始動させようとしましたが、陸上からの電力供給が断たれ、砲弾もすぐに使用できない状況でした。乗組員は手作業で砲弾を運び出し、ライフル銃や拳銃で応戦しました。この際、従軍牧師のハウエル・M・ホーギィが「主をあがめ、弾薬を運べ」と乗組員を激励した逸話が残っています。日本軍機の攻撃で至近弾を受けましたが、大きな損害は免れました。

珊瑚海海戦

1942年、「ニューオーリンズ」は修理後、輸送船団の護衛任務に就き、その後レーダーと20ミリ機銃を装備しました。空母「レキシントン」を基幹とする第11任務部隊に合流し、珊瑚海海戦では、被弾して炎上した「レキシントン」の乗組員を救助しました。「ニューオーリンズ」は、580名もの乗組員を救助し、その直後に「レキシントン」は爆発し沈没しました。

ミッドウェー海戦

「ニューオーリンズ」は、空母「エンタープライズ」と「ホーネット」を基幹とする第16任務部隊に加わり、ミッドウェー海戦に参加しました。この海戦で日本軍の空母3隻が撃沈されましたが、「ニューオーリンズ」は損害を受けずに帰投しました。

ガダルカナル島の戦い

「ニューオーリンズ」は、ガダルカナル島への上陸作戦を支援しました。第一次ソロモン海戦、第二次ソロモン海戦に参加し、日本軍の空襲を撃退しました。潜水艦の攻撃で損傷した空母「サラトガ」を護衛し、真珠湾に帰投しました。

ルンガ沖夜戦（タサファロング沖海戦）

1942年11月30日、ルンガ沖夜戦で「ニューオーリンズ」は日本軍の魚雷攻撃を受け、艦首を喪失するという深刻な損傷を負いました。艦全体の4分の1を失いながらも、乗組員の懸命な努力と巧みな操艦により、自力でツラギ島に入港しました。応急修理の後、シドニーの海軍造船所で仮艦首が装着され、その後ピュージェット・サウンド海軍造船所にて本格的な修理が行われました。

1943年 - 1945年

修理完了後、「ニューオーリンズ」はウェーク島攻撃、ギルバート諸島上陸作戦、クェゼリンの戦い、トラック島空襲などに参加しました。トラック島空襲では、撃沈された軽巡「香取」などを撃破する戦果を挙げました。また、マリアナ諸島、カロリン諸島、ホーランディアへの攻撃など、太平洋各地で作戦を支援しました。マリアナ沖海戦では、日本軍の空母3隻を撃沈する大戦果を挙げました。レイテ沖海戦にも参加し、小沢艦隊の空母「千代田」を撃沈しました。

沖縄戦

1945年4月、「ニューオーリンズ」は沖縄戦に参加し、艦砲射撃や沿岸砲台との交戦に従事しました。終戦時はスービック湾にありました。

「ニューオーリンズ」は第二次世界大戦中、17個の従軍星章を受章しました。

戦後

終戦後、「ニューオーリンズ」は中国、朝鮮半島での任務に従事し、帰還兵を輸送しました。その後、アメリカ本国に帰還し、1947年2月10日に退役。1959年3月1日に除籍され、同年9月22日にスクラップとして売却されました。

脚注

注釈

脚注

参考文献

木俣滋郎『日本空母戦史』図書出版社、1977年
木俣滋郎『日本水雷戦史』図書出版社、1986年
ドナルド・Ｍ・ゴールドスチン、キャサリン・V・ディロン、Ｊ・マイケル・ウェンジャー『パール・ハーバー　THE WAY IT WAS：ＰＥＡＬＨＡＲＢＯＲ』千早正隆(訳)、光人社〈フォト・ドキュメント〉、1991年11月。ISBN 4-7698-0582-9。
「世界の艦船増刊第36集　アメリカ巡洋艦史」海人社、1993年
「世界の艦船増刊第57集　第2次大戦のアメリカ巡洋艦」海人社、2001年
A・J・バーガー『PEARL HARBOR　パールハーバー　われ奇襲に成功せり』中野五郎訳　、株式会社サンケイ出版〈第二次世界大戦文庫2〉、1984年12月。
トーマス・B・ブュエル/小城正訳『提督スプルーアンス』学習研究社、2000年、ISBN 4-05-401144-6
E・B・ポッター/秋山信雄（訳）『BULL HALSEY/キル・ジャップス！ブル・ハルゼー提督の太平洋海戦史』光人社、1991年、ISBN 4-7698-0576-4

外部リンク

history.navy.mil: USS New Orleans
navsource.org: USS New Orleans (CL/CA-32)
* Navy photographs of New Orleans (CA-32)

この記事はアメリカ合衆国政府の著作物であるDictionary of American Naval Fighting Shipsに由来する文章を含んでいます。

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