ネアルコス

ネアルコスの生涯と業績

ネアルコス（古希: Νεαρχος、生没年紀元前360年頃 - 紀元前300年）は、マケドニア王国の著名な将軍であり、アレクサンドロス3世（大王）に仕えました。彼はクレタのラトに生まれ、父アンドロティモスの元で育ちました。少年時代にはその家族と共にマケドニアのアンフィポリスで生活しており、アレクサンドロスの友人でもありました。

徐々に彼の軍事的才能が認められ、紀元前336年、ピリッポス2世の死後、彼はアレクサンドロスの召還によってマケドニアに戻り、彼の側近としての地位を確立しました。特に紀元前334年の東征では、リュキアとパンフィリアの太守として任命され、その後の戦闘でも重要な役割を果たしています。この時期の活動において、ネアルコスの軍事的リーダーシップは特筆に値します。

紀元前328年、彼はバクトリアに派遣され、アッサケノイ人の土地において彼が commandedした部隊は、偵察作戦にも参加しました。同年にはアグリアネス人と軽装歩兵部隊の指揮も任され、その戦略的思考が光ります。紀元前326年になると、ヒュダスペス川でアレクサンドロス大王が編成した艦隊の指揮を任され、インドの河川を航行しました。この航海中には大王との接触があり、彼の後継ぎとしての重要な任務を担いました。

ネアルコスは、インドに向かう航海中に訪れた異国の文化や人々について詳細な記録を書き残しました。これらの記録は後の歴史家アリアノスに影響を与え、彼の著作『インド誌』の重要な資料となりました。特に彼がテュロスと呼ばれていたバーレーンには、ギリシア人として初めて到達した指揮官としての評価が与えられています。

紀元前324年には、スサでの大規模な結婚式に参加し、アレクサンドロスの側室バルシネと結婚します。以後、彼は航海を続け、ペルシア湾を経由してユーフラテス川を遡り、大王のいるバビロンに到着しました。この際、大王からアラビア国家への探検の指示を受けましたが、紀元前323年の大王の死によってその計画は立ち消えとなりました。

アレクサンドロスの死後、ネアルコスはバビロン会議において、故大王とバルシネの子であるへラクレスを王位に推挙することを提案しますが、彼が庶子であるため支持を得られず、最終的にはピリッポス3世が王位を継承しました。以降、彼は再びリュキアとパンフィリアの太守として職務に就きましたが、ディアドコイ戦争が勃発すると、彼は様々な勢力間を移り変わりながら、抗争の渦巻く時代に身を置くこととなります。

最終的にネアルコスはアンティゴノスの下で部将として活動し、紀元前312年にはデメトリオスの顧問としても従軍しますが、その後の情報は途絶えており、彼の晩年や死去については不明です。彼の軍事的功績や記録が、後世における歴史の一部として重要な位置を占めていることは間違いありません。

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