ノエル・ハワード

ノエル・ハワード（Noël Howard, 1920年12月25日 - 1987年2月7日）は、アメリカ合衆国の映画監督、脚本家、映画プロデューサーとして知られています。

生い立ちと初期のキャリア

1920年、ハワードはフランスのパリで生まれました。映画業界でのキャリアは、1953年のアナトール・リトヴァク監督によるアメリカ・フランス合作映画『想い出』で美術デザイナーとして参加したことから始まりました。22歳という若さで、海外ロケ作品に携わったことが、後のキャリアを方向づけることになります。

1955年には、ハワード・ホークス監督の『ピラミッド』でB班監督を務めました。この作品は、ウィリアム・フォークナーの原作を基に、エジプトでのロケーション撮影とローマのスタジオでのセット撮影を組み合わせて制作されました。その後も、ビリー・ワイルダー監督の『昼下りの情事』（1957年）など、MGMの海外大ロケーション作品でB班監督として活躍しました。

1960年代に入ると、デイヴィッド・リーン監督の『アラビアのロレンス』（1962年）やニコラス・レイ監督の『北京の55日』（1963年）といった大作の現場で、B班監督としてその手腕を発揮しました。これらの作品では、職人的な仕事ぶりで、大規模な撮影を円滑に進めることに貢献しました。

監督としてのキャリア

1964年、ハワードはフランス映画『ジョニーはどこに』で監督デビューを果たしました。この作品は、歌手のジョニー・アリディとシルヴィ・ヴァルタンが主演を務め、レイ・ヴァンチュラがプロデュースしました。しかし、その後のキャリアは必ずしも順風満帆とは言えませんでした。

フランスのプロデューサー、ラウール・レヴィが手がけた大作『マルコ・ポーロ 大冒険』では、ドニス・ド・ラ・パテリエール監督との共同監督として参加しましたが、興行的に失敗し、製作会社は破綻してしまいました。この作品は、1962年から撮影が進められていましたが、現場の混乱が収まらず、ハワードが共同監督として招集されました。しかし、1965年に公開されたものの、結果は惨憺たるものでした。

その後、ハワードはロバート・シオドマク監督の『カスター将軍』など、再びB班監督として活動しましたが、1969年以降は、フランスやイギリスでテレビ映画の監督や脚本を手がけるようになりました。

死去

1987年2月7日、ノエル・ハワードはアメリカ・カリフォルニア州ロサンゼルスで亡くなりました。66歳でした。

フィルモグラフィ（主な作品）

『想い出』 (1953年) - 美術デザイナー
『ピラミッド』 (1955年) - B班監督
『昼下りの情事』 (1957年) - B班監督
『ハッピー・ロード』 (1957年) - アソシエイトプロデューサー
『恋の手ほどき』 (1958年) - 助監督
『旅』 (1959年) - B班監督
『ソロモンとシバの女王』 (1959年) - B班監督
『キング・オブ・キングス』 (1961年) - B班監督
『死んでもいい』 (1962年) - アソシエイトプロデューサー
『アラビアのロレンス』 (1962年) - B班監督・スクリプト
『北京の55日』 (1963年) - B班監督
『ジョニーはどこに』 (1963年) - 監督・脚本
『マルコ・ポーロ 大冒険』 (1965年) - 共同監督・脚本・出演
『カスター将軍』 (1967年) - B班監督
『パリの秘めごと』 (1968年) - B班監督
One on a Desert Island - Journey to the Unknown (1969年) - 監督（テレビ映画）
* 『伯爵夫人の不幸』 (1973年) - 脚本（テレビ映画）

ノエル・ハワードは、そのキャリアを通じて、数多くの映画作品に様々な形で貢献しました。特にB班監督としての実績は、映画史にその名を刻むものでしょう。

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