バラモンジン

バラモンジン (婆羅門参)

バラモンジンは、キク科のバラモンジン属に属する植物で、学名は Tragopogon porrifolius です。別名はムギナデシコと呼ばれ、英語ではパープルサルシファイやオイスタープラントとされています。この植物は地中海沿岸地域が原産で、後にブリテン諸島、北米、日本、オーストラリア、ハワイなどに順次広がりました。

和名の由来

和名はバラモンジンの他にセイヨウゴボウやムギナデシコとも呼ばれています。「バラモン」という言葉はインドの司祭を意味し、サンスクリット語の「ブラーフマナ」を基にしています。「ジン」は漢語の「参」から来ており、オタネニンジンに関連しています。この名前は、中国の李時珍が著した『本草綱目』に登場し、当時西域の僧侶がこの植物を皇帝に献じたことから名付けられました。日本では1877年頃に食用または観賞用として持ち込まれ、1911年までには外来種として根付いたとされています。

バラモンジンは日本でも根を煮たり、味噌漬けにして食べられています。

特徴

この植物は二年生または多年草で、成長した高さは約60cmから120cmに達します。茎は無毛で光沢があり、淡緑色が特徴です。また、茎は中空で直立します。葉は柔らかく無毛で、尖った先端を持ち、基部は茎を抱くように生えています。葉脈は細く、葉の長さに沿って平行に走ります。

バラモンジンの花は一般に枝先に一つずつ咲いており、紫色の舌状花が直径約5cmで開花します。花弁の先端には5つの歯があり、子房の基部と冠毛の間は明らかに離れています。イギリスでは6月から9月にかけて開花し、アメリカのカリフォルニアのような温暖な地域では4月に、また日本では7月に花を咲かせます。総苞は無毛で淡緑色で、総苞片は約10個あり、痩果形成時には約5cmの長さになります。痩果は円筒形で、長さは約9-14mmで淡褐色を呈し、表面にはざらつきがあります。

食用としての利用

バラモンジンの根や若芽は野菜として食用にされており、古代ローマの博物学者ガイウス・プリニウス・セクンドゥスの著作にも登場しています。16世紀にはフランスやイタリアで栽培が始まりました。当初、イギリスでは観賞用として育てられましたが、18世紀には食用としての人気が高まりました。最近ではフランス、ドイツ、イタリア、ロシアにおいて根が栽培されていますが、同じく根菜類としてはスコルツォネラヒスパニカが人気を博しています。

バラモンジンはその風味が牡蠣に似ているため、オイスタープラントという名前でも知られています。若根はサラダに、主根はスープやシチューの材料として使われ、根からはラテックスが抽出され、チューインガムの原料としても利用されます。また、若芽はアスパラガスと同様に調理され、発芽した種子はサラダやサンドウィッチに使用されます。

生薬としての利用

バラモンジンは生薬としても利用され、ペダニウス・ディオスコリデスの著作によれば、肝臓や胆嚢に効果があるとされています。さらに、利尿薬として用いられることもあります。

二次代謝産物

この植物は二次代謝産物としてジヒドロイソクマリンやビベンジルを生成します。また、バラモンジンは自然界で最初に二量体ジヒドロイソクマリンを生成する植物として知られており、これはトラゴノールと呼ばれます。この配合は十二員環のジラクトンを形成し、その他にもコーヒー酸やクマリン配糖体、C-グリコシド結合したフラボノイドなども生成します。

もう一度検索