バリーモス

バリーモス - アイルランドが生んだヨーロッパ最強馬

バリーモス (1954年 - 1979年) は、アイルランドで生産・調教されたサラブレッド競走馬にして、優れた種牡馬でした。161.3cmと小柄ながら、強靭な体躯と素晴らしい脚部を持つ栗毛の馬で、1956年から1958年にかけて17戦8勝という輝かしい戦績を残しました。

控えめな誕生とアメリカの実業家

バリーモスの父はイギリス産馬モスボロー。競走成績は平凡でしたが、優れた種牡馬となり、数々の活躍馬を輩出しました。一方、母のインディアンコールは良血でしたが、競走馬としては使われず、若い頃に低価格で売却されていました。

そんなバリーモスは、ドンカスター1歳馬セールでジョン・マクシャインというアメリカ合衆国の実業家によって購入されました。マクシャインはアイルランド移民の出身で、巨大な建設会社を経営する人物でした。バリーモスは、障害競走の調教師として知られていたヴィンセント・オブライエンの管理下に置かれ、オーストラリア人のスコービー・ブリースリーを主戦騎手として迎えました。

遅咲きの才能

2歳時は4戦して1勝のみと、その才能はなかなか開花しませんでした。しかし3歳になると才能が開花。距離が伸びるにつれて能力を発揮し始めました。アイリッシュダービーでは圧勝、そしてイギリスのクラシックレース、セントレジャーステークスでは豪雨の中、並み居る強豪を破り、アイルランド調教馬として史上初となる栄冠を手にしました。この勝利で、バリーモスはヨーロッパ屈指のミドルディスタンスホースとしての地位を確固たるものにしました。

4歳時 - 欧州制覇

4歳シーズンも勢いは衰えず。イギリスの主要競走であるコロネーションカップ、エクリプスステークスを制覇。そしてアスコット競馬場で行われたキングジョージ6世&クイーンエリザベスステークスでは、堂々の1番人気に応え、3馬身差の圧勝劇を演じました。

最高の舞台は凱旋門賞でした。悪天候の中、2番人気に支持されたバリーモスは、最後の直線で抜け出し、2馬身差をつけて優勝。アイルランド調教馬として初の凱旋門賞制覇という歴史的偉業を達成しました。この勝利により、バリーモスはヨーロッパのトップクラスの競走馬として名声を不動のものにしました。

ワシントンDCインターナショナル - 波乱の結末

バリーモスは引退レースとして、ワシントンDCインターナショナルに出走。ソ連からの初参戦など、多くの強豪が揃う中、1番人気に推されました。レースはスタート直後から混乱を極め、バリーモスは3着に終わりました。しかし、レース後の判定で2着馬が降着となり、バリーモスは2着に繰り上げられる可能性もありましたが、アメリカとイギリスの競馬ルール上の違いから、結局3着のままでした。この結果が、国際競走における様々な問題点を浮き彫りにしました。

種牡馬として

競走馬を引退したバリーモスは種牡馬となり、こちらも大きな成功を収めました。1967年にはリーディングサイアー2位、1968年には3位にランクイン。代表産駒にロイヤルパレス（エプソムダービー、2000ギニー優勝馬）などがいます。日本でも活躍馬を輩出し、その血統は現代の競走馬にも受け継がれています。

伝説の名馬

バリーモスは、小柄な体格ながら類まれな強さとスタミナ、そして勝利への強い意志を持った、まさに伝説的名馬でした。その輝かしい功績は、長く人々の記憶に刻まれ続けることでしょう。数々の重賞競走での勝利、種牡馬としての成功、そしてアメリカでの国際レースにおける出来事などは、競馬史における貴重なエピソードとなっています。彼の競走生活は、多くの競馬ファンに感動と興奮を与え続け、その名前はこれからも語り継がれることでしょう。

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