バート・ルータン

バート・ルータン（Elbert Leander "Burt" Rutan, 1943年6月17日 - ）は、アメリカ合衆国を代表する航空機設計家、航空宇宙技術者、そして実業家です。彼は、スケールド・コンポジッツの創業者兼元CEOとして、航空宇宙分野に多大な貢献をしてきました。オレゴン州エスタケイダで生まれ、カリフォルニア州ディヌバで育ちました。兄のディック・ルータンは、後に世界初の無着陸・無給油世界一周を達成した航空機「ボイジャー」のパイロットを務めています。

若年期と初期のキャリア

幼少期から航空機に強い関心を示し、8歳で自ら設計した模型飛行機を製作しました。1959年には、エアロンカ チャンピオンで初めて単独飛行を経験。カリフォルニア・ポリテクニック州立大学（カルポリー）で航空工学を専攻し、1965年に卒業後、アメリカ空軍関連の職に就きました。

航空機設計家としての活動

1968年、最初の設計機であるモデル27 バリ・ビゲンを自宅ガレージで製作開始し、1972年に初飛行を成功させました。1974年には、ルータン航空機製作所を設立し、主に複合材料を使用した組み立て式飛行機を販売しました。彼の設計した航空機は、エンテ型飛行機をはじめとする独特な形状が特徴で、多くの航空ファンを魅了しました。しかし、独特な操縦性に起因すると考えられる死亡事故も発生しています。

1982年には、スケールド・コンポジッツを設立し、無着陸・無給油での世界一周飛行を達成した「ボイジャー」や、2004年にAnsari X Prizeを受賞した「スペースシップワン」など、数々の革新的な航空機を開発しました。2011年に同社を引退した後も、個人としての活動を続け、2015年にはルータン・スキーガルを初飛行させています。

その他、他社の機体設計にも携わっており、モデル54 ルータン・クイッキーや、斜め翼実験機AD-1、ビーチクラフト スターシップなどが挙げられます。

受賞歴と評価

ルータンは、その功績が認められ、2005年にはTIME誌の「最も影響力のある100人」に選出された他、1986年と2004年にはコリアー・トロフィーを受賞するなど、数々の航空賞を受賞しています。彼の設計した航空機5機は、アメリカの国立航空宇宙博物館に展示されています。また、地球温暖化説に対しては懐疑的な見解を示しています。

ルータンの設計した主な航空機

ルータン航空機製作所

モデル27 バリ・ビゲン (1972年)
モデル27 バリ・ビゲンSP (1973年)
モデル31 バリ・イージー (1975年)
モデル33 バリ・イージー (1976年)
モデル61 ロング・イージー (1979年)

スケールド・コンポジッツ

モデル76 ボイジャー：世界初の無着陸・無給油世界一周飛行を達成 (1986年)
モデル115 スターシップ：ビーチクラフト スターシップの開発用試作機 (1982年)
モデル276 NASA X-38 (1998年)
モデル281 プロテウス (1998年)
モデル326 ノースロップグラマン X-47 ペガサス (2001年)
Tier One (2003年)
モデル316 スペースシップワン
モデル318 ホワイトナイト
モデル311 ヴァージン・アトランティック グローバルフライヤー (2004年)
Tier 1b (2008年)
モデル339 スペースシップツー
モデル348 ホワイトナイトツー
モデル367 BiPod（空飛ぶ車の実験機、2011年）

バート・ルータンは、その革新的な設計と起業家精神によって、航空宇宙業界に大きな足跡を残した人物です。

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