ヒスイ輝石

ヒスイ輝石（ジェダイト）とは

ヒスイ輝石（翡翠輝石、英: jadeite）は、輝石グループに属する鉱物であり、宝石として非常に高い価値を持つ「硬玉」の一種です。一般的には「本翡翠」とも呼ばれます。化学組成はNaAlSi2O6で、ナトリウムとアルミニウムを含む単斜輝石です。純粋なものは白色ですが、微量の鉄やクロムを含むと緑色、鉄やチタンを含むと紫色を呈します。

特徴と産地

ヒスイ輝石は、現在ではミャンマー、ロシア、グアテマラ、メキシコなどが主な産地として知られていますが、一部の研究者によると、世界最古の産地は日本である可能性が指摘されています。特に日本海沿岸に存在した古代国家「越」が、翡翠を採掘・加工していたという記録が残っています。しかし、その後採掘は途絶え、鉱床も放置されていました。昭和初期になり、新潟県糸魚川市周辺でかつての鉱床が再発見されました。

翡翠は、古くから世界中で珍重されており、特に中国ではネフライト（軟玉）が工芸品として広く使われてきました。ビルマ（現在のミャンマー）産のジェダイトは、さらに希少価値が高いとされてきました。日本では、翡翠はジェダイトとして知られていますが、本翡翠（ヒスイ輝石）は産出量が少ないため、非常に高価で取引されています。

利用の歴史

ヒスイ輝石は、その硬さから石器時代には石斧として利用されていました。日本では、縄文時代前期末から北海道から沖縄まで広く流通していたことが確認されています。日本国内における硬玉の主な産地は、新潟県糸魚川と青海川上流の2ヶ所のみです。富山県境の境A遺跡では、硬玉原石の集散地であり、加工拠点集落であったことが判明しており、数千点もの原石や加工途中の製品が出土しています。完成品は交易によって各地に運ばれたと推測されています。

その他の情報

ヒスイ輝石は、Al（アルミニウム）がFe3+（鉄イオン）に置き換わるとエジリン輝石、Cr3+（クロムイオン）に置き換わるとコスモクロア輝石に変化します。ヒスイ輝石の色の変化は、微量に含まれる元素によって引き起こされます。

参考文献

N. Morimoto (1989). “Nomenclature of pyroxenes”. Mineralogical Journal 14 (5): 198-221.
森本信男『造岩[[鉱物]]学』東京大学出版会、1989年。
豊遙秋、青木正博『検索入門 鉱物・岩石』保育社、1996年。
松原聰『日本の鉱物』学習研究社〈フィールドベスト図鑑〉、2003年。
国立天文台 編『理科年表 平成20年』丸善、2007年。

関連項目

鉱物
ケイ酸塩鉱物
輝石
鉱物の一覧
造岩[[鉱物]]
ヒスイ
軟玉（ネフライト）
糸魚川のヒスイ

外部リンク

Jadeite (mindat.org) （英語）
Jadeite Mineral Data (webmineral.com) （英語）
Pyroxeneグループ（地球資源論研究室）

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