ファウンデーションと地球

ファウンデーションと地球

アイザック・アシモフによるSF小説『ファウンデーションと地球』は、ファウンデーションシリーズの第5作として1986年に発表されました。前作『ファウンデーションの彼方へ』から続く物語であり、シリーズ全体を繋ぐ重要な作品です。

概要

物語は、主人公のトレヴィズが、銀河系の未来を託した超有機体ガイアへの疑念から始まります。彼は、二つのファウンデーションによる支配を否定した自身の直感に確信が持てず、その根底にある心理歴史学に致命的な欠陥があるのではないかと考えるようになります。全ての謎を解く鍵は、伝説の人類発祥の地「地球」にあると確信したトレヴィズは、友人のペロラットとガイア人の女性プリスと共に、地球探索の旅に出発します。

この作品は、ロボット長編シリーズとの橋渡し的な役割も担っており、『夜明けのロボット』や『ロボットと帝国』の内容を踏まえた展開が特徴です。特に『ロボットと帝国』で示唆された「消え失せたソラリア人はどこへ行ったのか」という謎に対する、意外な答えが提示されます。

あらすじ

地球探索の旅に出たトレヴィズ一行は、まずセイシェルで友人コンパーから聞いた、コンポレロンに伝わる地球の伝説を確かめるため、コンポレロンを訪れます。そこで、ターミナスからのファースター号返還要請と、それに反発するコンポレロン当局との争いに巻き込まれますが、トレヴィズの機転で危機を脱します。そして、古代史の研究者デニアドールから、かつて高度なロボット文明を誇った「スペーサー・ワールド」に属する惑星の座標を教えられます。

一行は、その座標を基に、惑星オーロラ、ソラリア、メルポメニアを訪れます。オーロラでは人類が消え去り動物だけが残された世界、ソラリアでは地下に隔離され無性生殖を行う人々、メルポメニアでは大気が薄くコケのような植物しか存在しない荒廃した世界を目撃します。ソラリアでは、ロボットに育てられていた子供ファロムを連れ出すことになります。そして、メルポメニアに残された情報から、トレヴィズはついに地球の位置を特定します。

地球の位置を知るために立ち寄った隣星アルファを経て、ついに地球へと辿り着いたトレヴィズ一行。そこで彼らを待ち受けていたのは、2万年もの間銀河系の庇護者を務めてきた人物でした。そしてトレヴィズは、心理歴史学の盲点、すなわち銀河系の未来を左右する重要な解答に辿り着くのです。

書誌情報

『ファウンデーションと地球』、岡部宏之訳、早川書房海外SFノヴェルズ、1988年11月
『ファウンデーションと地球（上）』、岡部宏之訳、ハヤカワ文庫SF1201、1997年8月、ISBN 4-15-011202-9
『ファウンデーションと地球（下）』、岡部宏之訳、ハヤカワ文庫SF1202、1997年8月、ISBN 4-15-011201-0

関連項目

ファウンデーションシリーズ
ファウンデーション
ファウンデーション対帝国
第二ファウンデーション
ファウンデーションの彼方へ
ファウンデーションへの序曲
ファウンデーションの誕生
心理歴史学
銀河帝国
ロボット工学三原則
ローマ帝国衰亡史

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