ファウンデーションの誕生

『ファウンデーションの誕生』（Forward the Foundation）は、SF作家アイザック・アシモフが晩年に手がけた作品であり、彼の死後、1993年に発表されました。この作品は、壮大なスケールで描かれるファウンデーションシリーズの7作目にあたり、著者の最後の長編小説として、SFファンにとって特別な意味を持っています。

物語は、『ファウンデーションへの序曲』で心理歴史学の実用化に目処をつけたハリ・セルダンが、銀河帝国の未来を託す二つのファウンデーションを設立するまでの道のりを描いています。セルダンは、その生涯をかけて心理歴史学を完成させようとしますが、その過程で多くの困難に直面し、親しい人々との別れを経験します。

物語はセルダンの死をもって幕を閉じますが、その結末は、まるでアシモフ自身の人生を暗示しているかのようです。作中には、銀河百科事典からの引用が挿入されており、読者はセルダンの生涯を振り返りながら、アシモフが込めたメッセージを感じ取ることができます。

物語は、宰相デマーゼルの庇護のもと、ストリーリング大学で心理歴史学の研究に没頭するセルダンの姿から始まります。しかし、10年の歳月が流れたある日、デマーゼルが失脚の危機に瀕します。ダールの反体制運動グループが、「デマーゼルはロボットである」という大胆なキャンペーンを展開し始めたのです。セルダンの活躍によってこの危機は回避されるものの、デマーゼルは宰相の座を辞し、セルダンが後任に指名されるという波乱の展開を迎えます。

その後も、セルダンは次々と襲いかかる危機に立ち向かいながら、心理歴史学の完成を目指します。しかし、彼が帝国の崩壊を予測していることが公になると、人々はセルダンに敵意を抱き始めます。さらに、帝国の経済状況が悪化し、セルダンの研究プロジェクトは打ち切りの危機に直面します。絶体絶命の状況に陥ったセルダンを救ったのは、意外な人物でした。その救世主とは一体誰なのでしょうか。

日本語訳書誌情報

『ファウンデーションの誕生』、岡部宏之訳、早川書房海外SFノヴェルズ、1995年10月、ISBN 4-15-207965-7
『ファウンデーションの誕生（上）』、岡部宏之訳、ハヤカワ文庫SF1236、1998年6月、ISBN 4-15-011236-3
『ファウンデーションの誕生（下）』、岡部宏之訳、ハヤカワ文庫SF1237、1998年6月、ISBN 4-15-011237-1

関連項目

ファウンデーションシリーズ
ファウンデーション
ファウンデーション対帝国
第二ファウンデーション
ファウンデーションの彼方へ
ファウンデーションと地球
ファウンデーションへの序曲
心理歴史学
銀河帝国
ロボット工学三原則
ローマ帝国衰亡史

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