フォロ・ロマーノ

フォロ・ロマーノ：古代ローマの中心

フォロ・ロマーノは、古代ローマ時代の遺跡で、かつては政治、経済、宗教の中心地として栄えました。現在では、その遺跡が観光地として公開され、多くの人々が訪れています。ラテン語の古名「フォルム・ロマヌム」に由来し、ローマ帝国の歴史を語る上で欠かせない場所です。

歴史

フォロ・ロマーノは、紀元前6世紀頃からローマ帝国の政治・経済の中心として機能していました。しかし、ローマ帝国の東西分裂後、首都機能がラヴェンナに移されると、異民族の略奪に遭い、西ローマ帝国滅亡後は土砂に埋もれてしまいました。1[[9世紀]]から本格的な発掘が始まり、現在ではその一部が公開されています。ただし、帝政時代初期までに何度も開発が繰り返されたため、様々な時代の遺構が混在しており、発掘調査は非常に困難です。

発祥

フォロ・ロマーノがいつからローマ市の中心となったかは正確には分かっていません。伝説では、紀元前753年頃にロムルスとレムス兄弟によってローマが建設されたとされています。フォロ・ロマーノの整備は紀元前6世紀頃に始まりましたが、それ以前は湿地帯であり、小川が流れ込んでいました。各丘に存在した村落が連合を形成するにつれて、中立の地としてこの場所が選ばれたと考えられています。

整備

紀元前6世紀のタルクィニウス・プリスクス王の時代に、大下水溝（クロアカ・マキシマ）が建設され、湿地帯の排水が進められました。これにより、フォロ・ロマーノは都市の中心としての機能を果たすようになりました。共和政ローマ時代には、東西南北に4つの門が設置され、都市の輪郭が形成されました。フォロ・ロマーノでは、定期的に民会が開催され、広場や元老院議事堂、神殿などが建設されました。特に、ガイウス・ユリウス・カエサルによる大改装によって、現在の輪郭が形成され、その後も歴代皇帝によって整備が進められました。

中世以降

西ローマ帝国滅亡後、フォロ・ロマーノは忘れ去られ、放牧場となりました。しかし、ルネサンス時代に古典建築が復興すると、古代建築の装飾が建築資材として利用され、破壊の危機に晒されました。その後、発掘調査が進められ、現在は貴重な遺跡として保存されています。

概要

フォロ・ロマーノは、東西約300m、南北約100mの広さを持つ古代ローマの中心部「フォルム・ロマヌム」の遺跡です。古代ローマでは、多くの都市に政治・宗教の中心として広場（フォルム）が設けられていましたが、フォロ・ロマーノは首都に開設された最初のフォルムであり、最も重要な存在でした。フォロ・ロマーノには、バシリカや元老院議事堂、神殿などが建てられ、政治、宗教の中心としての役割を果たしました。

周辺の施設

フォロ・ロマーノの北東にはフォーリ・インペリアーリ通りが通り、古代にはフォルム・ユリウム、フォルム・ネルウァエ、フォルム・ウェスパシアヌムが隣接していました。現在、これらの遺跡の一部が公開されています。南側にはパラティーノの丘が聳え、その頂上には皇帝宮殿があります。北西部はカピトリーノの丘へと繋がっています。かつてローマの凱旋式は、フォロ・ロマーノのウィア・サクラ（聖なる道）を通って行われました。東にはコロッセオ、西にはテヴェレ川があります。

主な遺跡

フォロ・ロマーノには、数多くの遺跡が残っており、その一部は以下のようなものです。

タブラリウム

国家公文書館として紀元前78年に建設され、フォルムの西端に位置します。フォルムの背景としての役割を果たし、カピトリーノの丘の神殿と接続していました。

コンコルディア神殿

初代皇帝アウグストゥスが起工し、次代のティベリウスが完成させた神殿で、現在は基礎部分のみが残っています。

ウェスパシアヌス神殿

皇帝ドミティアヌスによって建設された神殿で、現在は3本のコリント式の柱のみが残っています。

セプティミウス・セウェルスの凱旋門

皇帝セプティミウス・セウェルスのパルティア遠征の戦勝記念として建設された記念門で、白大理石の彫刻で装飾されています。

ロストラ

演説をするために造られた演壇で、周囲に敵船の船首が飾られていました。

サトゥルヌス神殿

国家宝物庫として機能した神殿で、共和制から帝政時代にかけて重要でした。

クリア・ユリア

元老院議事堂として使用された建物で、ガイウス・ユリウス・カエサルによって起工され、アウグストゥスが完成させました。

フォカスの記念柱

東ローマ帝国の皇帝フォカスによって建てられた記念柱で、西ローマ帝国滅亡後に建設された最後の建築物です。

バシリカ・ユリア

ガイウス・ユリウス・カエサルによって起工され、アウグストゥスが完成させた巨大なバシリカで、民事裁判所として使われました。

ウェヌス・クロアキナ祠

かつてフォロ・ロマーノを流れていた小川の女神を祭った祠で、ほとんど残っていません。

バシリカ・アエミリア

重要な裁判が行われたバシリカで、商店も併設されていました。

カストルとポルックス神殿

古代ローマの金融の中心地で、度量衡の管理事務所が備えられていました。

サンタ・マリア・アンティクァ聖堂

ローマ最古の教会堂の一つで、皇帝宮殿の図書館を改装して利用されていましたが、9世紀に地震で倒壊しました。

カエサル神殿

アウグストゥスによって建てられた神殿で、神格化されたユリウス・カエサルを祀っています。

アウグストゥスの凱旋門

戦勝を記念して造られた凱旋門で、現在はほぼ失われています。

レギア

王宮として使用された建築物で、大理石が初めてローマで使われた場所です。

ウェスタ神殿

ローマの竈の火を象徴する神殿で、円形の構造が特徴です。巫女たちが火を絶やさないように守っていました。

巫女たちの家

ウェスタ神殿の巫女たちの住居でした。

アントニヌス・ピウスとファウスティナ神殿

皇帝アントニヌス・ピウスが皇后のために建てた神殿で、後に自身も葬られました。現在は教会堂として再建されています。

ロムルス神殿

皇帝マクセンティウスが息子のために建てた神殿ですが、未完に終わりました。

マクセンティウスのバシリカ

マクセンティウスが起工し、コンスタンティヌス1世が完成させたバシリカです。

ウェヌスとローマ神殿

女神ウェヌスと女神ローマのための神殿で、ギリシア建築を模して建てられました。

ティトゥスの凱旋門

現存するローマ市最古の記念門で、ユダヤ戦争の戦勝記念として建てられました。

まとめ

フォロ・ロマーノは、古代ローマの心臓部であり、政治、経済、宗教の中心として重要な役割を果たしました。現在では、その遺跡が観光地として公開され、古代ローマの歴史を今に伝えています。フォロ・ロマーノを訪れることで、古代ローマの繁栄と歴史を肌で感じることができるでしょう。

もう一度検索