フランクリン郡 (テネシー州)

フランクリン郡は、テネシー州の南部に位置し、アラバマ州との州境を接する郡です。2010年の国勢調査によると、人口は41,052人で、郡庁所在地はウィンチェスター市です。郡内には、南部大学という高等教育機関が存在し、神学部も併設されています。

歴史

1800年頃からヨーロッパ系アメリカ人による開拓が始まり、1807年にフランクリン郡が組織されました。郡名は、アメリカ合衆国の建国者であるベンジャミン・フランクリンにちなんでいます。郡域は、その後の再編によって何度か縮小されましたが、初期の開拓者にはデイヴィッド・クロケットも含まれています。彼は一時的に居住したものの、長くは留まらなかったとされています。

南北戦争以前のフランクリン郡は、合衆国からの分離主義者の勢力が強い地域でした。テネシー州が合衆国から脱退しなければ、テネシー州から脱退すると宣言したほどです。しかし、1863年には北軍の支配下に入り、連合国テネシー州知事のアイシャム・G・ハリスはフランクリン郡出身でした。戦後、彼はアメリカ合衆国上院議員となりました。

19世紀後半には、禁酒運動が盛り上がり、州法の抜け穴を突いて、法人化された町での酒類販売が認められました。これにより、酒類販売を禁止するために、全ての法人化された町が認可を放棄するという現象も起きました。

20世紀には、世界恐慌の中でフランクリン・ルーズベルト政権が推進したテネシー川流域開発公社の事業によって恩恵を受け、新たな産業が生まれました。また、湖の造成によって水辺でのレクリエーション機会が増えた一方、大勢の郡民が転居を余儀なくされました。連邦政府のアーノルド技術開発センターが郡内の一部に設置され、経済成長と技術開発を加速させました。高速道路は郡内を通らなかったものの、近隣を通る州間高速道路24号線によって、チャタヌーガ市へのアクセスが容易になりました。

20世紀初頭には、歌手のダイナ・ショアや、投資家のジョン・テンプルトンなど著名な人物も輩出しました。テンプルトンは後にイギリスのナイトの爵位を授与されました。

19世紀末から20世紀初頭にかけては、人種隔離政策であるジム・クロウ法が制度化され、公民権運動の進展は遅れました。人種統合が進んだのは、1960年代になってからです。20世紀後半には、ディチャードに日産自動車のエンジン製造工場が建設され、工業が発展しました。また、南北戦争の史跡やハナミズキの森などの観光資源を活用して、観光にも力を入れています。

地理

フランクリン郡は、テネシー州南部の郡に位置し、アラバマ州との州境を接しています。地形は多様で、ナッシュビル盆地からカンバーランド高原まで変化に富んでいます。標高差は約400メートルあり、水流と森林が多く、高原の急峻な斜面を除いては農業に適しています。植物栽培に適した季節が長く、冬も比較的温暖です。

郡域の総面積は1,491.8平方キロメートルで、陸地が1,437.4平方キロメートル、水域が54.4平方キロメートルです。スワニー自然橋という自然の砂岩アーチや、ロストコーブ洞窟などの自然景観も存在します。

隣接する郡

フランクリン郡は、北にコーフィ郡、北東にグランディ郡、東にマリオン郡、南にアラバマ州のジャクソン郡、南西にアラバマ州のマディソン郡、西にリンカーン郡、北西にムーア郡と隣接しています。

都市と町

郡内には、ウィンチェスター市やフランクリン市、ディチャード市などがあります。また、ベルビディア、スワニー、シャーウッドなどの未編入の町も存在します。

著名な出身者

ダイナ・ショア（歌手、女優）
ジョン・テンプルトン（投資家、慈善事業家）

フランクリン郡は、その豊かな歴史と自然、そして多様な文化を持つ地域として、訪れる人々を魅了し続けています。

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