フランスによるアメリカ大陸の植民地化

フランスによるアメリカ大陸の植民地化は、16世紀に始まり、数世紀にわたって西半球におけるフランス植民地帝国の形成を導きました。フランスは北アメリカ東部、カリブ海の島々、そして南アメリカに植民地を設立し、これらの植民地は主に魚、砂糖、毛皮の輸出を通じて発展しました。

北アメリカ

ヴェラッツァーノ遠征隊

フランスが新世界に到達した当初の目的は、太平洋への航路と富の探求でした。1524年、フランソワ1世はイタリア人探検家ジョバンニ・ダ・ヴェラッツァーノを派遣し、フロリダからニューファンドランドにかけての地域を調査させました。ヴェラッツァーノは、この地を「フランチェスカ」や「ノバ・ガリア」と命名し、フランスの関心を引きました。

カルティエ遠征隊とヌーベルフランス

フランソワ1世の指示により、ジャック・カルティエはニューファンドランド沿岸とセントローレンス川の探検に3度派遣されました。1534年、カルティエはセントローレンス川河口に到達し、ガスペ半島に十字架を立てて、ヌーベルフランスの領有を宣言しました。1541年、カルティエは400人の開拓者とともに、ケベックに初のヨーロッパ人による恒久的な開拓地を設立しようと試みましたが、悪天候と先住民の攻撃により、翌年には放棄されました。

初期の苦難

その後、フランスは北アメリカの各地で植民地を設立しようと試みましたが、気候、病気、他国との紛争により、多くの試みが失敗に終わりました。1562年にサウスカロライナに築かれたシャルル砦、1564年にフロリダに建設されたカロリーヌ砦、1598年のセーブル島への入植計画、1599年のタドゥサックの交易基地、1604年のセントクロイ島の植民地化など、いずれも短期間で放棄されました。1685年には、テキサスにサンルイ砦が建設されましたが、これも1688年には放棄されました。

ヌーベルフランスの成功と終焉

北アメリカにおいて、フランスが長期的な経営に成功したのはヌーベルフランスのみでした。最盛期には、ハドソン湾からメキシコ湾、セントローレンス川からロッキー山脈まで広大な地域を領有しましたが、1713年のユトレヒト条約によってアカディアやニューファンドランドなどの領土を失いました。最終的には、1763年のパリ条約で北アメリカの領土を全てイギリスとスペインに譲渡し、約230年にわたる植民地経営は終焉を迎えました。その後、フランスはルイジアナを再領有しましたが、1803年のルイジアナ買収でアメリカ合衆国に売却しました。

カリブ海

サン＝ドマングとハイチ

カリブ海におけるフランスの主要な植民地は、現在のハイチとドミニカ共和国があるイスパニョーラ島でした。1664年に島の西側3分の1にサン＝ドマング植民地が設立され、その繁栄から「アンティルの真珠」と呼ばれました。しかし、1791年に黒人奴隷によるハイチ革命が勃発し、1794年に奴隷は自由を得、10年後にはハイチとして独立を果たしました。フランスは島の東側も短期間支配しましたが、現在はドミニカ共和国となっています。

小アンティル諸島

17世紀から18世紀にかけて、フランスは小アンティル諸島の大部分を支配しました。ドミニカ島、グレナダ、グアドループ、マリー・ガラント島、マルティニーク、サン・バルテルミー島、セント・クロイ島、セントクリストファー島、セントルシア、セント・マーチン島、セントビンセント島、トバゴ島などがフランスの支配下に置かれましたが、これらの島の多くはフランス、イギリス、オランダ間で争奪戦が繰り広げられました。七年戦争とナポレオン戦争を経て、フランスはグアドループ、マリー・ガラント島、マルティニーク、サン・バルテルミー島、セント・マーチン島の一部を保持し、これらは現在もフランス領です。グアドループとマルティニークはフランスの海外県であり、サン・バルテルミー島とセント・マーチン島は海外領土となっています。

奴隷制の問題

サン＝ドマングとは異なり、マルティニークではフランス革命の間も奴隷制は廃止されませんでした。一方、グアドループでは1795年に奴隷が解放されましたが、1802年にナポレオンが奴隷制度を復活させました。

南アメリカ

初期の試みと失敗

1555年から1567年にかけて、フランスのユグノーがブラジルに南極フランス植民地を設立しようとしましたが、失敗に終わりました。1612年から1615年には、同じくブラジルで赤道フランス植民地の建設が試みられましたが、これも成功しませんでした。

フランス領ギアナの成立

フランス領ギアナには1604年にフランスが初めて入植しましたが、先住民からの抵抗と熱帯病により放棄されました。1643年にカイエンヌ開拓地が設立され、1660年代に再度設立されました。17世紀にはイギリスやオランダ、19世紀にはポルトガルによる短期間の占領もありましたが、その後はフランスの支配下に留まっています。1851年から1951年は流刑植民地として使用され、「悪魔の島」として知られていました。1946年以降はフランス海外県となっています。

アラウカニア・パタゴニア王国

1860年、フランス人の冒険家オルリ・アントワーヌ・ド・トゥナンが南アメリカ南部のアラウカニア・パタゴニア王国の国王を自称しましたが、国際的な支持を得られず、チリとアルゼンチンにその地域を支配され、トゥナンは狂人扱いされました。

まとめ

フランスによるアメリカ大陸の植民地化は、探検、開拓、争奪が繰り返された歴史でした。北アメリカ、カリブ海、南アメリカにおいて、フランスは多様な植民地を設立し、文化や経済に大きな影響を与えました。しかし、同時に奴隷制や先住民との対立といった課題も抱え、その歴史は複雑で多面的なものでした。

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