フローレンス (小惑星)

小惑星フローレンス (3122 Florence)

フローレンスは、アモール群に属する小惑星であり、その直径はおおよそ5kmです。特筆すべきは、2つの衛星を持つことが確認されている点で、地球近傍天体および潜在的に危険な小惑星に分類されています。これは、最小交差距離が地球に近く、衝突の可能性があるためです。

発見の歴史

フローレンスは1981年3月2日に、アメリカの天文学者シェルテ・バスによってサイディング・スプリング天文台で発見されました。名前は、看護の先駆者フローレンス・ナイチンゲールに由来しており、1993年4月6日に正式に認可されました。この小惑星は、895日（約2年4か月）周期で太陽の周囲を公転し、軌道離心率は0.42、黄道に対する傾斜角は22度です。

衛星の特徴

2017年の地球接近時に行われたレーダー観測によって、フローレンスには2つの衛星があることが明らかになりました。内側の衛星は直径80-240m、外側の衛星は300-360mと推定されています。この衛星はどちらもフローレンスに潮汐固定されており、形状は細長いとされています。また、これらの衛星は、ヤルコフスキー・オキーフ・ラジエフスキー・パダック効果の影響で、自転の速度が加速され、その結果、フローレンスから放出された物質が集まって形成された可能性が高いと考えられています。

内側の衛星の公転周期は約7時間であり、これは現在知られている60の地球近傍天体の中でも最も短い周期です。外側の衛星は約21-23時間かかると推測されています。

2017年の地球接近

フローレンスは2017年9月1日に、地球-月間の平均距離の約18倍に当たる距離、すなわち0.047237天文単位（約7,066,600km）を通過しました。この際、地球から見える最大の視等級は8.5に達し、南の魚座ややぎ座、みずがめ座、いるか座などを通過する様子を小型望遠鏡でも観察することができました。この接近は、1890年以降最も近く、2500年以降もこれほど近づく可能性はないとされています。フローレンスの前回の接近は1930年でしたが、次の接近は2057年に予定されています。

レーダー観測

2017年の接近中には、アレシボ天文台とゴールドストーン深宇宙通信施設を使った観測が行われました。その結果、フローレンスが2つの衛星を持つことが確認されました。これにより、フローレンスの研究が進むことが期待されています。

今後もフローレンスは、その特異な軌道と衛星の特性など、科学者たちの関心を集め続けることでしょう。

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