ブルーム (西オーストラリア州)

ブルーム（Broome）

オーストラリア西オーストラリア州キンバリー地域に位置するブルームは、シャー・オブ・ブルームに属する都市です。人口は約1万4千人（2016年）で、ブルーム国際空港が国内外の主要都市や近隣地域とのアクセスを担っています。この地は、パーヌルル国立公園（バングル・バングル）などキンバリー地域の観光拠点としても知られています。

地理

ブルームはダンピア半島の西の付け根、インド洋に面した場所にあります。主な産業は観光と真珠養殖で、州都パースからは北東へ約2,200キロメートル離れています。

気候

ブルームは熱帯に属しますが、低緯度ステップ気候（BSh）に区分されます。年間を通して気温の変化が少なく、雨季と乾季の二つの季節があります。乾季は5月から11月で、晴天が続き最高気温は30℃に達します。雨季は12月から3月で、最高気温は35℃にもなり、スコールや高い湿度に見舞われます。年平均降水量は556mmで、その83.6%が雨季に集中します。

12月は最も暑く、平均気温は30℃を超え、平均最高気温は33.9℃、平均最低気温は26.7℃に達します。過去には45℃まで上昇した記録もあります。一方、最も寒い7月でも平均気温は21.1℃、平均最高気温は28.9℃、平均最低気温は13.9℃と、比較的温暖です。しかし、観測史上最低気温は3℃台まで下がったこともあります。

ブルームはサイクロンなどの熱帯低気圧の影響を受けることもあり、予測できない雷雨が頻繁に起こります。降水量は年によって大きく異なり、1922年1月には2.8mmしか降らなかったのに対し、1997年1月には910.8mmもの降水量を記録しています。

歴史

ブルームは、アボリジニのヤウル人が古くから居住していた地域です。17世紀にはイギリスの航海者ウィリアム・ダンピアが二度来航し、この地域の海岸線に多くの地名を残しました。1879年、西オーストラリアの政治家チャールズ・ハーパーが、真珠産業のための港湾が必要だと主張し、ローバック湾が選ばれました。1883年にジョン・フォレストが港と町の場所を選定し、当時の西オーストラリア知事フレデリック・ブルーム卿にちなんでブルームと名付けられました。

1889年にはシンガポールとブルームを結ぶ海底ケーブルが敷設され、オーストラリアとイギリスが電信で結ばれました。ケーブル・ビーチという名前は、この海底ケーブルの陸揚げ地点に由来します。真珠貝の積み出し港として栄えたブルームでは、多くの人々が真珠産業に従事し、特に日本人潜水夫が大きな役割を果たしました。

1880年代に始まった真珠貝採取は、当初アボリジニが従事していましたが、過酷な労働環境から多くの犠牲者が出ました。後に日本人潜水夫がその中心となり、多くが潜水病などで命を落としました。ブルーム郊外には、919人の日本人潜水夫が眠る日本人墓地があります。

ブルームにはかつて日本人街がありましたが、白豪主義政策の影響を受け、第二次世界大戦中は日系人も収容所に送られました。1942年3月には日本軍による空襲で多数の犠牲者が出ました。戦後、町と真珠産業は徐々に復興し、1960年代の鉱業ブームと観光産業の成長が、ブルームの発展を後押ししました。

2000年代にはインド洋でのガス田開発が活発化し、ブルームがその拠点となるなど、地域経済の成長に貢献しています。

対外関係

ブルームは、日本の太地町と姉妹都市提携を結んでいます。これは、ブルームの経済発展に貢献した日本人移民が太地町出身であったことに由来します。太地町は捕鯨の町として知られていますが、ブルームでは反捕鯨映画「The Cove」が公開された影響で、姉妹都市関係の解消を求める運動が起こったことがあります。しかし、最終的には姉妹都市提携は継続されています。

交通

ブルームにはブルーム国際空港があり、国内外の都市と繋がっています。かつては路面電車（トラムウェイ）がありましたが、現在は廃止されています。都市間バスも運行しており、グレイハウンド・オーストラリアがダーウィンとブルームを結んでいます。また、ブルーム港はローバック湾に位置し、海運の拠点となっています。

観光

ブルームは、ローバック湾に面した美しい海岸線が魅力です。特にタウン・ビーチでは、引き潮の夜に月が海面に映る「月への階段」と呼ばれる現象が見られます。

ガンシューム・ポイントでは、1億3000万年前の恐竜の足跡を見ることができ、歴史的な名残を感じることができます。ケーブル・ビーチは22.5キロメートルも続く広大な砂浜で、海水浴やラクダツアーが人気です。また、このビーチの一部にはヌーディストエリアもあります。ミニール・パークは、ケーブル・ビーチのすぐ東にある砂丘地帯で、自然保護区として管理されています。

ローバック湾は、渡り鳥にとって重要な中継地であり、ブルーム鳥類観測所では、鳥の生態について学ぶことができます。

まとめ

ブルームは、歴史、文化、自然が豊かに融合した魅力的な都市です。多様な歴史的背景を持つこの地は、美しい自然景観とユニークな体験を求める旅行者にとって、訪れる価値のある場所と言えるでしょう。

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