ブータン王国軍

ブータン王国軍（RBA）

ブータン王国軍（RBA）は、ブータンの領土保全と安全保障を任務とする軍隊です。国王が最高指揮権を有し、幕僚長はバトゥー・シェリング中将が務めています。

概要

ブータン軍は、国王、王室、政府要人の安全確保を担うブータン国王親衛隊（RBG）を擁しています。志願制を採用しており、かつては1世帯から1人が入隊する習慣がありました。徴兵制はないものの、20歳から25歳の男性には3年以上の軍事訓練義務があります。緊急時には民兵が招集され、国民は王立ブータン警察（RBP）の治安維持活動を支援します。

歴史

ブータン軍は、1950年代に中国人民解放軍のチベット侵攻を契機に、インドの支援を受けて設立されました。インドは、ブータンを自国の勢力圏に引き入れるため、経済的・軍事的支援を強化しました。1968年までに兵力は4,850人に達し、1990年には6,000人規模にまで増強されました。2003年の対過激派作戦（オールクリア作戦）後には9,000人以上に達しましたが、2008年の民主化以降は兵力が削減されています。

また、ブータン軍将校は2015年に国際連合兵力引き離し監視軍（UNDOF）に司令部要員として参加しました。

インド軍との関係

インド軍は、ブータン軍と親衛隊の要員訓練を担当しています。将官は、インドの国立国防アカデミー（NDA）やインド陸軍士官学校（IMA）で訓練を受けます。インド陸軍工兵隊の国境道路機関「プロジェクトDANTAK」は、1961年以来ブータンで公共設備工事や土木工事を行い、道路、橋、空港などのインフラ整備に貢献しています。これはインドの対中戦略的防衛にも関連していますが、ブータン国民にも経済的利益をもたらしています。

陸軍航空隊

ブータン軍は、重病者や重傷者の航空輸送をインド空軍東部方面軍に依存しています。2003年のオールクリア作戦中には、負傷した兵士がインド空軍のヘリコプターでインドへ搬送されました。

オールクリア作戦

1990年代初期、ブータンからの分離独立を主張する団体が、ブータン南部の密林に拠点を築きました。ブータン政府は1996年に分離主義団体を危険視し始め、インド政府は反政府武装勢力の掃討を求めました。当初、平和的解決を模索していたブータン政府でしたが、2003年12月には軍事掃討作戦を開始しました。

掃討作戦

第4代国王の指揮下、軍と親衛隊は総勢6,000人で、30の拠点を攻撃し、2003年12月27日までに制圧しました。500丁以上のAK-47/56アサルトライフルやロケットランチャーなどの武器、100,000発以上の弾薬を押収し、合計485人の過激派を殺害または逮捕しました。ブータン軍では11人が戦死、35人が負傷しました。

人員

2008年時点では、ブータン軍は8,000人の現役軍人を擁していましたが、兵員数は減少傾向にあります。これは、民兵訓練を強化しながら軍の規模を縮小させる政府の取り組みによるものです。

軍福祉事業

軍福祉事業（AWP）は、1974年に設立されたブータン軍の営利企業であり、退役軍人の雇用や年金、ローンの提供を行っています。また、ゲレフとサムツェにある蒸留所で酒の醸造も行っています。

装備

ブータン軍は、主にインドから提供された武器を装備した軽武装の自動車化歩兵が主体です。

拳銃: FN ブローニング・ハイパワー
小銃: INSAS小銃, AK-101, AK-104, 56式自動歩槍, H&K G3, FN FAL, L1A1, M16A2
火砲: 81mm迫撃砲
装甲戦闘車両: BTR-60
航空機: Mi-8T ヒップC

基地

ブータン軍は、国境前哨のサムツェ県テンドルクのゾンペリに基地を配置しています。

階級

（階級に関する詳細な情報があれば追記）

関連項目

ブータンの軍事
* ブータン国王親衛隊

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