ホーネット (CV-12)

[アメリカ海軍]]の航空母艦「[[ホーネット]」

「[ホーネット]」は、アメリカ海軍のエセックス級航空母艦であり、同級の7番艦として就役しました。アメリカ海軍において「ホーネット」の名を受け継いだ艦としては8隻目にあたります。その活躍から「グレイ・ゴースト(The Grey Ghost)」の愛称で呼ばれていました。この愛称は、同型艦「レキシントン」の愛称「ブルー・ゴースト(The Blue Ghost)」との対比から来ているという説があります。

起工から第二次世界大戦

当初、「[ホーネット]]」は「キアサージ」という艦名で、1940年9月9日に建造契約が締結されました。1942年8月3日、バージニア州ニューポートニューズのニューポート・ニューズ造船所で起工しましたが、同年10月26日に空母「ホーネット]」が[[南太平洋海戦で沈没したことを受け、「キアサージ」は「ホーネット」と改名されました。1943年8月30日に進水し、同年11月29日に初代艦長マイルズ・M・ブラウニング大佐の指揮下で就役しました。

「ホーネット」は、バミューダでの慣熟航海の後、1944年2月14日にノーフォークを出航し、マジュロ環礁へ向かい、高速空母任務部隊に加わりました。ニューギニア侵攻作戦の航空支援やカロリン諸島の日本軍基地への大規模な航空攻撃を行った後、マリアナ諸島攻略の準備に入りました。

1944年6月11日にはテニアン島とサイパン島への攻撃、翌12日にはグアム島とロタ島への爆撃を実施しました。6月15日、16日にはサイパン攻略支援のため、硫黄島と父島の日本軍基地を攻撃しました。6月18日午後、日本海軍の第一機動部隊を迎撃するため、高速空母機動部隊に加わり、フィリピン海を通りサイパンへ向かいました。翌19日に始まったマリアナ沖海戦では、「ホーネット」の艦載機は日本軍の空母艦載機が到着する前に、地上基地の航空機をできる限り破壊する攻撃を実施しました。

日本軍は4波に分かれてアメリカ軍空母に接近しましたが、パイロットは経験不足でした。対するアメリカ空母艦載機のパイロットはベテラン揃いで、この差が両者の優劣を決定づけました。日本軍の航空機はほとんどが撃墜され、この戦いは後に「マリアナの七面鳥撃ち」と称されました。日本海軍の第一機動部隊は、空母「飛鷹」を失い、2隻の油槽船を破壊されました。小沢治三郎中将の6月20日の戦闘日誌によると、430機の航空戦力の内、作戦可能なのは35機のみであったと記録されています。

その後、「ホーネット」はマーシャル諸島のエニウェトク環礁を起点に、グアム島から小笠原諸島までの日本軍に対する攻撃、パラオ、フィリピン、沖縄、台湾への攻撃を行いました。10月20日のレイテ島攻略戦では直接支援を行い、レイテ沖海戦では、サマール沖で日本海軍を攻撃し、敵艦隊をシブヤン海経由でボルネオへ撤退させました。

その後数ヶ月間、「ホーネット」はフィリピン海域で敵艦や地上基地への攻撃を続けました。12月30日にはウルシー泊地を出港し、台湾と澎湖諸島を空襲しました。1945年1月3日には、高雄沖でレイテ島への軍隊輸送を成功させ帰還中だった日本陸軍船舶部隊のドック型揚陸艦（陸軍特種船）船団を攻撃し、「神州丸」を大破炎上させました（その後、放棄され漂流中に潜水艦「アスプロ」の雷撃を受け沈没）。ウルシー泊地への帰還途中には、「ホーネット」の艦載機は沖縄の写真偵察を行っています。

2月10日に再びウルシー泊地を出港、東京への大規模な攻撃を行い、2月19日と20日には硫黄島上陸部隊の支援攻撃を実施しました。

関東地区の工業地帯と沖縄への激しい攻撃は継続され、4月1日には沖縄上陸への直接支援を行いました。4月6日には、戦艦「大和」に対する攻撃を他の艦載機と共同で行い、撃沈に貢献しました。その後2ヶ月にわたり、沖縄上陸部隊への直接支援攻撃と、日本の生産能力を奪うための工業地帯への攻撃を継続しました。

6月4日、5日には台風の被害を受け、「ホーネット」は飛行甲板前方が約25フィートにわたり圧壊する損傷を負いました。同型艦「ベニントン」も同様の被害を受けています。その後「ホーネット」はフィリピン経由でサンフランシスコに帰還し、1945年7月7日に到着しました。オーバーホールは9月13日に完了し、復員兵輸送のマジック・カーペット作戦に参加するためマリアナ諸島とハワイへ出航しました。1946年2月9日にサンフランシスコに帰港、1947年1月15日に退役し太平洋予備役艦隊に入りました。

「ホーネット」は第二次世界大戦中の戦功で7つの従軍星章を受章し、殊勲部隊章を授与された9隻の空母のうちの1隻でした。また、日本近海で長期間作戦行動を行い、59回もの日本軍の攻撃に晒されましたが、一度も被弾することはありませんでした。

戦後の活動

「[ホーネット]]」は1951年3月20日に再就役し、ニューヨーク海軍造船所へ向けてサンフランシスコを出港、5月12日に解役され攻撃航空母艦]へ艦種変更されました。[[ジェット機に対応するためSCB-27A改装工事を受け、1953年9月11日に攻撃空母として再就役しました。

「ホーネット」はカリブ海での訓練のため、1954年5月11日にノーフォークを出港し、8ヶ月間の航海に入りました。地中海とインド洋での作戦行動の後、南シナ海で第七艦隊に加わり、1954年7月22日に発生したキャセイ・パシフィック航空機撃墜事件の生存者捜索活動を行いました。7月25日には、「ホーネット」の艦載機は、空母「フィリピン・シー」の艦載機と共に、中国人民解放軍の戦闘機2機を撃墜しました。緊張緩和後、「ホーネット」は1954年12月12日にサンフランシスコに帰還し、サンディエゴで訓練後、1955年5月4日に出港し、再び極東で第7艦隊に加わりました。

「ホーネット」は北ベトナムから南ベトナムに避難する人々を支援し、第7艦隊と共に訓練を行いました。1955年12月10日にサンディエゴに帰港。翌月ピュージェット・サウンド海軍工廠に入り、艦首のハリケーン・バウ化、同時発着艦を可能とするアングルド・デッキ追加などを含むSCB-125改装を受けました。

近代化オーバーホールが完了すると、「ホーネット」はカリフォルニア沿岸で作戦行動を開始しました。1957年1月21日にサンディエゴを出港し、7月25日まで第7艦隊に所属し、極東で活動しました。

1958年1月6日から7月2日まで同様の巡航を行った後、「ホーネット」は対潜水艦作戦支援空母(CVS-12)に艦種変更されました。8月には転換改修のため再びピュージェット・サウンド海軍工廠に入りました。1959年4月3日にロングビーチを出港し、第7艦隊に合流し、日本本土から沖縄、フィリピンにかけて対潜水艦戦術演習を行い、10月に本国に帰還し、西海岸での演習を行いました。

1960年からは、第7艦隊に配属され、南ベトナム沖から日本本土、沖縄、フィリピンにかけて定期的な航海を行いました。1966年8月25日にはアポロ計画の無人宇宙船回収作業を行い、宇宙船は93分間で地球の四分の三を飛行し、ウェーキ島付近に着水しました。月への有人飛行を目指したアポロ宇宙カプセルは、大気圏再突入時の熱で焦がされた状態で「ホーネット」に回収されました。「ホーネット」は9月8日にロングビーチに帰還しましたが、1967年3月27日に再び極東へ向けて出航しました。約1ヶ月後に日本に到着。日本海における海上自衛隊との共同演習中の5月10日と11日にはソ連海軍の駆逐艦に異常接近され、駆逐艦「ウォーカー」が阻止しようとして衝突しました。

5月19日には佐世保に入港しました。その後、1967年の夏の大半をベトナム海域での作戦活動に費やしました。主に対潜哨戒と海上救難の後方支援に使用されました。

1969年には再びアポロ計画に参加し、7月には人類初の有人月面着陸を果たしたアポロ11号の乗組員と司令船を、12月には12号の乗組員と司令船を回収しました。アポロ11号の回収時には、「ホーネット」の格納庫甲板内において、当時のニクソン大統領が、移動式の隔離室に収容されたアームストロング船長以下計3名の乗組員と対面しました。

また、アポロ11号の回収母艦としての任務に就く直前の1969年4月には、日本海上空で発生した北朝鮮空軍戦闘機による米軍の電子戦偵察機EC-121撃墜事件に伴い、「ホーネット」「タイコンデロガ」、フォレスタル級空母「レンジャー」、原子力空母「エンタープライズ」を中心とする第7艦隊所属の艦艇で編成された特別任務部隊に参加しました。

「ホーネット」は1970年6月26日に退役し、1989年7月25日に除籍されました。1991年12月4日に国定歴史建造物に指定され、1998年10月17日にはカリフォルニア州アラメダで博物館として一般公開されました。1999年にはカリフォルニア州歴史建造物に指定され、「ホーネット」は国家歴史登録財に#91002065として登録されています。

ギャラリー

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登場作品

『トリプルX ネクスト・レベル』
中盤のクライマックスで、クーデターを計画する勢力が拠点として使用する航空母艦として登場。格納庫には装甲車両が多数運び込まれている。作中の設定では、この空母はインディペンデンス(CV-62)となっていますが、実際はアラメダに係留されているホーネットで撮影されており、艦橋脇にある「12」の艦番号標識が写っているのが確認できます。この作品はその内容上、アメリカ軍の協力が得られなかったため、撮影は現役を引退した記念艦であるホーネットで行われました。格納庫に運び込まれていたという設定で登場する戦車や装甲車も、撮影用のレプリカ車両です。

関連項目

アメリカ海軍航空母艦一覧
アメリカ海軍艦艇一覧

外部リンク

Aircraft Carrier Photo Index: USS HORNET (CV-12) - Navsource
U.S. Navy - A Brief History of Aircraft Carriers - USS Hornet (CV 12)
USS Hornet Museum
USS Hornet by Dwayne Miles
USS Hornet by the US Navy
Staff And Visitors Report Seeing & Hearing Strange Things
From the Dictionary Of American Naval Fighting Ships
Researcher@Large - CV-12 Hornet Flight deck after June 1945 Typhoon - 1945年の台風の損傷状況のレポートを参照できる
GoogleMapに写っているホーネット
* Navy Ships in WWII Dazzle Camouflage 1944-1945 Aircraft Carriers Fleet Carriers USS Hornet

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