ボクスホール・キャバリエ

キャバリエ：ボクスホールが誇る中型乗用車の歴史

ボクスホール・キャバリエは、ゼネラルモーターズ（GM）のイギリス子会社であるボクスホールが製造・販売していた中型乗用車です。GM傘下のオペル車の姉妹車として、バッジエンジニアリングモデルとして誕生しました。3世代にわたるモデルチェンジを経て、イギリスの道路で長年にわたり存在感を示しました。

初代キャバリエ（1975年 - 1981年）

初代キャバリエは、1975年に登場しました。そのベースとなったのは、同年8月にモデルチェンジされたオペル・アスコナBおよびオペル・マンタBです。ボディタイプは、アスコナBをベースにした2ドア／4ドアセダンと、マンタBをベースにした2ドアクーペの3種類がラインナップされました。エンジンはアスコナBから流用した直列4気筒SOHCエンジンを搭載し、1,584ccと1,897ccの2種類の排気量から選択可能でした。1977年には、さらに1,256ccエンジン搭載モデルが追加され、1,897ccエンジンは1,979ccに排気量が変更されました。さらに1978年には、マンタCCと共通の3ドアハッチバックモデルも追加され、バリエーションの幅を広げました。南アフリカ市場では、シボレー・シェベアとして販売されていました。

2代目キャバリエ（1981年 - 1988年）

1981年に登場した2代目キャバリエは、GMの世界戦略車「Jカー」の第一弾として、オペル・アスコナとともに発表されました。姉妹車種には、いすゞ・アスカやキャデラック・シマロンなども含まれていました。ライバル車として挙げられたフォード・シエラよりも先に発売され、デザインはシエラよりも保守的なものとなりましたが、シエラには設定のなかった4ドアセダンを用意したことが大きな特徴でした。また、後輪駆動（FR）のシエラに対し、前輪駆動（FF）を採用することで、より実用的なパッケージングを実現していました。ボディタイプは、4ドアセダン、5ドアハッチバック、5ドアワゴンの3種類が用意され、エンジンはすべて直列4気筒SOHCで、ガソリンエンジンは1.3L、1.6L、1.8L、2.0L、ディーゼルエンジンは1.6Lが設定されました。特に、2.0Lガソリンエンジンの4ドアセダンと5ドアハッチバックには、「SRi130」というスポーティバージョンが設定され、最高出力130PSを達成しました。

3代目キャバリエ（1988年 - 1995年）

1988年に登場した3代目キャバリエは、オペルではアスコナCの後継であるベクトラAに移行しましたが、ボクスホールではキャバリエの名称が継続されました。ボディタイプは4ドアセダンと5ドアハッチバックの2種類となり、エンジンは直列4気筒SOHCの1.4L、1.6L、1.8L、2.0Lガソリンエンジンと1.7Lディーゼルエンジンが設定されました。後に、2.5LのV型6気筒ガソリンエンジンも追加されました。駆動方式は前輪駆動（FF）が基本でしたが、ビスカスカップリング付きのセンターデフを持つフルタイム四輪駆動（4WD）モデルも設定されました。4WDモデルには、新設計のセミトレーリングアーム式後輪独立懸架が採用されました。その後、GMのオペルとボクスホールの車名統一政策により、後継モデルであるベクトラBでは車名がボクスホール・ベクトラに統一され、1995年にキャバリエの名称は消滅しました。

キャバリエの遺産

キャバリエは、ボクスホールの歴史において重要なモデルの一つです。多様なボディタイプ、実用的なパッケージング、そして信頼性の高いエンジンは、イギリスのドライバーから高い評価を得ました。また、モータースポーツにも積極的に参戦し、イギリスツーリングカー選手権（BTCC）などでも活躍しました。キャバリエは、その時代のイギリスの自動車文化を象徴するモデルとして、今も多くのファンに記憶されています。

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